2019年 全日本ジムカーナ選手権 第8戦

全日本ジムカーナ選手権第8戦が、宮城県南部に位置するスポーツランドSUGO 西コースで開催された。
コースはカートコースだが、ショートカットシケインで前半と後半に分かれ、前半は270度ターンが1回、後半は360度ターンと180度ターンが各1回と、ターンセクションは3箇所のみ。あとはカートコースなりの走り方を要求される設定となる。
金曜日・土曜日の練習日は晴れて路温も50℃を超える暑さであった。決勝日も予報では曇り時々晴れとのことだったが、朝から予想外の霧が出て小雨が降り、路面はウェットに。SCクラス以外のクラスは2本目にタイヤを換えるとペナルティを取られるため、午後もこのままウェットなのかドライになるのかの予想からタイヤ選択をすることになる。溝の浅いタイヤか深いタイヤか、またSタイヤを履く選手はウェット用タイヤかドライ用タイヤか。この選択が午後になって明暗を分ける。雨は1本目の途中で止み、徐々に路面も乾いてきて、午後は完全にドライ路面となる。1本目のタイムは全く関係がないくらいに2本目はタイムアップ合戦となり、全クラスで2本目のタイムで勝負が決まった。
そんな中、RE-12D TYPE Aを履くPNクラスのPOTENZA装着勢は、1本目のウェット路面ではPN1クラス・PN2クラス・PN3クラスで1位から3位までを独占し、ウェット路面での強さを証明。2本目のドライ路面でも強さを発揮し、PN2クラスで既にシリーズチャンピオンを決めている山野哲也（アバルト124スパイダー／ブリヂストン）が今季7勝目。河本晃一（フェアレディZ／ブリヂストン）が2位に入る。PN3クラスでも西野洋平（86／ブリヂストン）が今季4勝目 を挙げ、ユウ（86／ブリヂストン）が2位と上位を独占。PN1クラスでは1本目トップだった小林規敏（ロードスター／ブリヂストン）が2位と惜しくも優勝を逃したが、表彰台の一角を占める活躍を見せた。
SAクラスとSCクラスのPOTENZA装着勢は、RE-11Sを履いた選手は駆動輪にWH2を選択したが、一部の選手がRE-12D TYPE Aを選択。Sタイヤ勢を相手にどう戦うか注目を集めたが、SA4クラスで菱井将文（ランサー／ブリヂストン）がRE-12D TYPE Aでオーバーオールタイムを叩き出し、今季5勝目を挙げてシリーズチャンピオンを獲得。また、SCクラスでもRE-12D TYPE Aを履いた西原正樹（インプレッサ／ブリヂストン）が今季4勝目と、それぞれSタイヤ勢を凌駕する結果を残した。

＜PN2クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（2006年以降にJAF登録された1600cc超の2WD車。改造範囲が最も狭い）
前戦でシリーズチャンピオンを決めている山野哲也（アバルト124スパイダー／ブリヂストン）が、1本目のウェット路面でトップタイムをマーク。河本晃一（フェアレディZ／ブリヂストン）が2位に付ける。ドライとなった2本目でも河本のタイムを山野が1秒上回り、山野の今季7勝目。
●山野哲也選手「今回はシリーズチャンピオンを獲得した後の戦いだったので、チームとしては勝ちを獲りに行くというよりは新しいセッテイングにチャレンジするというスタンスで臨みました。また来年以降もシリーズチャンピオンを獲るために、セッティングの幅を広めて将来の引き出しを増やそうと考えたのです。その新しいセッテイングが有効であることが証明できた今日の勝利でした。RE-12D TYPE Aというタイヤは、開幕戦の寒い雨から昨日の様な酷暑の中まで、また今日みたいに突然気温が下がって路面が濡れても、ずっとトップに居続けることができる凄いタイヤです。このタイヤに巡り会えたことに感謝しています。」

＜PN3クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（2012年以降にJAF登録された1600cc超2000cc以下のRWD車。改造範囲が最も狭い）
前戦までで3勝ずつのユウ（86／ブリヂストン）と西野洋平（86／ブリヂストン）の戦い。1本目のウェット路面ではユウがトップタイムを出し、西野が2番手タイムで後ろにつく。ドライの2本目、ユウが出したタイムを西野が0.1秒上回り、西野の今季4勝目となる。これにより次戦で西野が勝てばシリーズチャンピオン。しかしユウが勝てば最終戦までもつれ込むことになる。何れにしてもチャンピオン争いはこの2名に絞られた。
●西野洋平選手「金曜日・土曜日と暑いコンディションの中でセッテイングを煮詰めてきましたが、突然今日気温・路温が下がってしまいました。しかし、大きくセッテイングを変えることなく走ることができたのが良かったのかなと思います。RE-12D TYPE Aは昨日までの50℃を超える路温でも、今日の様に30℃をようやく超えるくらいの路温でも、安定したタイムを出せるので、タイヤを信じて安心して攻めることができたのが勝因ですね。」

＜SA4クラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A装着＞（4WD車。改造範囲が広い）
今季初めて決勝にRE-12D TYPE Aを履いた菱井将文（ランサー／ブリヂストン）。1本目はパイロンタッチをしてしまい下位低迷となるが、2本目に本領発揮。怒濤の走りでライバル津川信次（ランサー／DL）のタイムを0.6秒上回るオーバーオールタイムを出し、今季5勝目でシリーズチャンピオン獲得。2016年のN4クラス以来、SAクラスに移行してからの初のチャンピオンとなる。

●菱井将文選手「ようやくチャンピオンの座を取り戻しました。嬉しいです。今回は最初から決勝にRE-12D TYPE Aを履くつもりで金曜日・土曜日と練習してきましたが、今日の1本目までタイヤの使い方を模索していました。で、2本目になってようやく使い方の方向性が見えてきたので、これなら行けるという思いで走りました。途中オーバースピードでヒヤッとしたこともありましたが、タイヤのフィーリングは最後まで変わらなかったので、走り易かったですね。これでRE-11SとRE-12D TYPE Aの違いがよく分かったので、今後も使える場面では積極的にRE-12D TYPE Aを投入していきたいです。」

RE-12D TYPE ARE-12D TYPE A＜SCクラス優勝、POTENZA RE-12D TYPE A 装着＞（改造範囲がかなり広い）
SA4クラスの菱井選手と同じく、今季初めて決勝にRE-12D TYPE Aを履いた西原正樹（インプレッサ／ブリヂストン）が1本目からトップタイムをマーク。2本目は更にタイムを上げ、今季4勝目。シリーズチャンピオンに大手をかける。
●西原正樹選手「今回金曜日からRE-12D TYPE Aを履きましたが、最初はクルマとのマッチングが悪く、セッテイングを煮詰めて行って土曜日の最後になってようやくセットが決まったので、今日はそのセットのまま行きました。セッテイングが決まれば凄くフィーリングが良く、攻めることができるタイヤです。1本目は少しウェット路面だったので大事をとってUSEDタイヤでしたが、2本目に新品を投入しました。やはり新品タイヤは元気よく走れますね。これであと1つ勝てばチャンピオンです。絶対に獲ります！」

★ブリヂストン　レースタイヤエンジニア　本田真悟のコメント
第8戦は、1ヒート目がWET路面、2ヒート目DRY路面と変化し、2ヒート目でいかに速く走行するかが勝負を決めることになりました。PNクラス向けのRE-12D TYPE Aは、今回のコンディションでも高いポテンシャルを発揮し、PN1クラスは2位、PN2・PN3クラスでは1-2位を獲得できました。特に、PN3クラスでは、計測タイムだけで見ると、上位4台を占める結果になりました。また、主にRE-11Sを使用するSA・SCクラスでも、今回はSA3・SA4・SCクラスでRE-12D TYPE Aを使用、SA3：2-3位、SA4・SCクラスで1位と、好成績を残すことができました。各クラスで、優勝および表彰台を獲得されたドライバーの皆様、おめでとうございます。
RE-12D TYPE AおよびRE-11Sの持つポテンシャルを十分に発揮し、毎戦好成績を残せたことで、第7戦でのPN2：山野選手・SA3：西森選手のシリーズチャンピオン獲得に続き、今回はSA4：菱井選手もチャンピオンを獲得できました。チャンピオン獲得の山野選手、西森選手、菱井選手、おめでとうございます。
残り2戦、PN3・SCクラスでのシリーズチャンピオン獲得、PN2クラスでの年間最多勝記録の更新、それぞれの可能性に向けてサポートしていきますので、応援よろしくお願いします。