ヴィッツ王者の日野皓介が開幕戦を制する!

  • 開催場所:岡山国際サーキット
  • 開催日:2024年02月18日(日) 〜 2024年02月18日(日)
2024年岡山チャレジカップNゼロ86 第1戦

2月18日、岡山国際サーキットで2024年の「OKAYAMAチャレンジカップレース」シリーズの第1戦が開催された。ブリヂストンのポテンザRE71-RSをワンメイク指定タイヤとする「Nゼロ-86」のクラス1も開幕。昨年は「Nゼロ Vitz(ヴィッツ)」でシリーズチャンピオンに輝いた日野皓介が、駆動方式が変わった86でも速さを発揮。ステップアップしたデビュー戦を勝利で飾った。

全国各地の地方シリーズでも飛び抜けて早い開幕を迎えるのが、ここ岡山のチャレンジカップレース・シリーズだ。2024年も2月に開幕し、最終の第7戦は12月1日にフィニッシュを迎える予定になっている。また前日の2月17日の18時からは、2023年の表彰セレモニー(シリーズランキング認定証授与式)が開催された。Nゼロ-86のクラス1はチャンピオンの大崎達也が出席。岡山国際サーキットの杉浦隆浩支配人からチャンピオンの認定証を授与された。
大崎は「このシリーズはタイヤのパフォーマンスが高いので、ウエットでもドライでも、それをどう活かして戦うのかを学びました。その成果が、GRのシリーズ最終戦のクラブマンでの優勝にもつながったと思います。今年の岡山は一昨年にヴィッツをシェアしていた日野くんがNゼロ-86に出るので、GarageNチームとしての2連覇を目指して、できる限り応援に来ようと思っています」とコメントした。
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■予選
さて、一夜明けて18日の開幕戦だが、Nゼロ-86のクラス1へのエントリーは3台。♯24の日野皓介が27歳、♯88の相原泰佑が35歳、♯456の渡部智仁が若干19歳という…全員が初めてのフレッシュなメンバーだったが、残念ながら渡部は欠場。どうやら1週間ほど前の練習時にアクシデントが発生し、修復が間に合わずに参戦を見送ったという情報だ。この♯456は大崎が昨シーズンに走らせた実績ある個体で、ぜひとも第2戦以降からの登場を待ちたい。
昨年はウエットの洗礼を受けた開幕戦だが、今年は春らしいレース日和に恵まれた。オンタイムの10時20分から15分間で開幕戦の予選がスタート。広島県在住の日野はここ岡山がホームコース。ヴィッツの前はミッション付きのカートでも通算10年近く走り込んだキャリアの持ち主で、アタックはわずかに2ラップ。そこで1分51秒906という好タイムを叩き出すと、これ以上頑張っても削るのは困難と判断。早々にピットに戻って決勝へ少しでも温存しようという作戦に出た。
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一方で相原は、そのキャリアを聞いてビックリ。コペンGRスポーツを操るドライバーとして、2022年と2023年の世界ラリー選手権「ラリージャパン」で2年連続クラス優勝を果たした張本人だという。しかも本籍はダイハツで、現在はGRカンパニーに出向中。つまりラリーに参戦するのは本来業務の一環で、“市販車の開発に活かすため”となる。ただ、このNゼロ-86レースへの参戦は自身のドライバーとしてのキャリア向上も見据えた自己研鑽で、マイカーとして購入したばかりとのこと。
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つまりぶっつけ本番で挑んだ相原だが、しっかり洗礼を受けることになる。駆けつけた仲間もラリーには詳しくても、スプリントレースは専門外。このサーキットも10年ぶりという相原は15分の予選を最後まで走りきったが、ベストは4周目の2分02秒339にとどまった。一番の敗因はタイヤの内圧を間違ったところで、終了後は300kPaあたりを示していた。ポテンザRE71-RSにとっても、ここまで内圧が上がってしまうと、本来のグリップを発揮できなくなるのは明白だろう。

■決勝
決勝を前にしたサーキット上空には“晴れの国、岡山”に相応しく太陽も顔を見せ、汗ばむほどのコンディションになった。グリッドにはN1-86の4台とNゼロ-86のクラス2の1台が前に、さらに後方にはN1ロードスターの7台も混走で整列。これにNゼロ-86のクラス1の2台を加えると、合計13台が並ぶことになった。マシンのポテンシャルを考えるとスリックタイヤを履くN1-86が圧倒的に速いはずだが、ドライバーの技量などで必ずしもそうはならない。昨年の最終戦でNゼロ-86のクラス1の大崎が、排気量で上回る同じくNゼロ-86のクラス2の2台より先着したことも本サイトでお伝えした通りだ。
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10ラップで争う決勝は、ほぼオンタイムの14時28分にスタート。ここで素晴らしいダッシュを見せつけたのは、Nゼロ-86の2台だった。実は今回、1台のみの参戦でシリーズは不成立になったNゼロ-86クラス2の♯7下坂和也は、昨年のN1ロードスターのチャンピオン。下坂がアウト側から、そして日野がイン側から、それぞれN1-86勢を抜き去って1コーナーへ進入。さらにクラス2の下坂は唯一の2.4ℓエンジンを搭載。オープニングラップを全体2位で帰ってくると、ストレートでの加速を活かしてN1勢と真っ向勝負。堂々の総合3位でフィニッシュしている。クラス1の日野もスタートダッシュに成功。N1勢2台をかわして1コーナーに進入していった。その後も86とロードスターNDのN1マシン(ナンバーなしのレース専用車)と堂々のマッチアップ。
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さすがにクラス違いのライバルには無理なブロックは避けて先行を許すものの、前年のNゼロ Vitz王者に相応しいテクニックで渋とく全体でも上位グループをキープ。あわよくばクラス2の下坂を追い上げようかという空気も漂ってくる戦いぶりだった。
一方の相原は、別の次元で戦っていた。予選のラップタイムで劣るロードスターのN1マシン勢にもオープニングラップであえて全車に先を譲り、レース全体の最後方から決勝を戦う作戦を構築。ライバルには先を譲りつつ、テクニックを磨く10ラップにしようというメニューを自らに課した。
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また予選後に発覚したタイヤの内圧だが、決勝に向けて下げようとしたものの、今度は逆に最低地上高の規定に接触するリスクが判明。完走して結果を残すことも今回の参戦の目的とのことで、あえて高めの内圧で決勝にも臨んでいた。
かくして、2台のNゼロ-86クラス1の間には、今回の決勝ではバトルは生まれなかった。ところが、総合でもオープニングラップの5位から上位をキープし続けた日野は、8周目の1コーナーでN1-86勢の1台が路面に残してしまったオイルに足を取られてスピン。幸いマシンにダメージはなく、総合の順位をふたつ落としただけで事なきを得た。つまり最終の順位は総合7位で、Nゼロ-86クラス1では堂々の初優勝。ステップアップしての初戦でいきなり結果を出して見せたのだ。ちなみにレースは8周目からセーフティカーが導入されて追い越しが禁止になり、結局そのまま全車がチェッカーフラッグを受ける展開となった。
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戦い終えた2名は、ブリヂストンの赤いキャップでポディウムに登壇。
ウイナーの日野選手コメント
「予選は自己ベストなのですが、分析すると1分49秒8までは短縮できるはずなので、まだ練習が必要です。決勝はオイルに乗ったことに気づかずスピンしてしまいました。このタイヤでレースできるのは幸せですね」
日野選手コメント
「内圧は大失敗でしたが、それでも走り切れたのはタイヤのおかげですね。いい練習になりました。10月の最終戦にも参戦予定なので、少しは成長して戻ってきたいです」と笑顔で振り返った。

今年もOKAYAMAチャレンジカップレース(岡チャレ)は全7戦で構成されるが、Nゼロ-86のシリーズは全4戦の設定。次の戦いは6月29〜30日(岡チャレ第5戦)と10月13日(岡チャレ第5戦)に、開幕戦同様の10周スプリントでの戦いが予定されている。


OKAYAMA チャレンジカップ Nゼロ-86 公式ページ
http://www.okayama-international-circuit.jp/hashiru/race/car/cc_ae86.html



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商品紹介ページ:https://tire.bridgestone.co.jp/potenza/re71rs/

レース結果

コース:岡山国際サーキット

[OKAYAMA チャレンジカップNゼロ86クラス]

決勝

  • 開催日:2024/02/18
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:3
  • 完走:3
  • (3.703km x 10laps = 37.03km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 下坂 和也 FIRST GR86 AGM 10 22'28.874
2 24 日野 皓介 パルテック GarageN 86 10 22'34.235
3 88 相原 泰祐 DSP-R トヨタ 86 10 22'44.329
[OKAYAMA チャレンジカップNゼロ86クラス]

予選

  • 開催日:2024/02/18
  • 天候:Cloudy
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:3
  • 完走:3
  • (3.703km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 下坂 和也 FIRST GR86 AGM 1'50.690
2 24 日野 皓介 パルテック GarageN 86 1'51.906
3 88 相原 泰祐 DSP-R トヨタ 86 2'02.339