小野寺俊&KEI NAKAMURAという最強コンビが想定通りの圧勝!
- 開催場所:十勝インターナショナルスピードウェイ クラブコース
- 開催日:2024年06月30日(日) 〜 2024年06月30日(日)
~恒例の「3時間耐久」は全クラス出走可能へ!~
十勝スピードウェイで最も知られたレースは、国内唯一の24時間耐久だった「十勝24時間レース」だろう。コース建設が始まった当初から24時間レースは企画され、グランドオープンを迎えた1993年の翌年には、日本国内では26年ぶりとなる24時間レースが開催されたのである。その後、十勝24時間レースは14年間にわたって継続開催されたのだが、経営状況の悪化やコースオーナーの変化などあり、2008年にその幕を閉じてしまう。
その状況に変化が現れたのは2015年に入る頃だった。十勝でのシングルシーターカーのレースはFJ1600やザウルスJr.などだったが、徐々に衰退し、VITA-01が人気を集めるようになってきていた。運営団体のVITA倶楽部でも各地のサーキットでVITA-01によるセミ耐久レースを開催しており、そしてとうとう2017年、十勝でもVITA-01をメイン車両とする特別レースとして「TOKACHI3時間耐久レース」がスタートを切るのだ。ただし、VITA-01だけでは参加台数が確保できない事情や、レース展開をさらに面白くするためもあり、性能差が大きい初代ヴィッツのN1仕様車も加えることにしたのである
それから7年、今年からはさらに参加車両枠を拡大し、クラブマンカップに設定されているすべてのクラス車両が参戦可能とする大英断。これによって耐久レースの戦略的な面白さがさらに広がったのは間違いあるまい。
~TS-86/BRZクラスには3台が出走!~
耐久レースに参戦が許されたTS-86/BRZ(3クラス)なのだが、参加台数は残念ながら3台と“少数精鋭”状態。通常のシリーズ戦には多い時だと7~8台の参加があったのだが、耐久レースとあって2~3名でチームを組まねばならず、レギュラードライバー同士でペアとなったのだから、これも仕方があるまい。
優勝候補の筆頭は、このクラスのレースが始まって以来負けなしのKEI NAKAMURA選手と、2位入賞は確実に手にしてきた小野寺俊選手のペアが駆る#34だろう。
さらに、レース序盤には速さを見せる三浦稔呂選手がN1-1000クラスのトップドライバーである中村高幸選手をペアに迎えた#360。
また#17にはメインドライバーである陰能裕一選手が安藤義明選手、中谷健太郎選手をチームに加えている。
そして、この紹介順で予選グリッドが決まったのである。
とはいえ、わずか3時間でも耐久レースである。ラップタイムの遅い車両を次々とパスしなければならないリスクはあり、ピット戦略の違いもあるわけで、予選グリッドはさほどの意味を持たない。そのあたりはどのチームもしっかりと了解したうえで決勝のスタートが切られた。
~慌てず、騒がず、小野寺&NAKAMURA組の“横綱相撲”!~
耐久レースとはいえ、使用タイヤについては通常のレースと同じレギュレーションが適用されている。つまりTS-86/BRZについては指定タイヤのブリヂストンPOTENZA RE-71RSを使わなければならないのだ。このRE-71RS、一般公道走行もできる市販タイヤであり、新品タイヤには希望小売価格が明記されたラベルが貼り付けられている。
実は昨年の富士24時間レース、オフィシャルタイヤだった韓国のハンコックが工場火災のため供給不能となり、そのためST-4とST-5クラスにはこのRE-71RSが提供されることになったことがある。
参戦チームの中には、市販ラジアルであることに不安もあったようだが、走り出してみると「ラップタイムは1秒落ちくらいだが、一気にグリップが落ちることもなく安定していた」という声が大半だったという。そのST-4こそ86/BRZの対象クラスであり、この十勝での3時間耐久に参戦した3チームとも、このタイヤを使っての長時間走行に懸念を持つチームはなかった。
どのチームも、燃料は満タンでタイヤは4本とも新品というほぼ同じレース戦略。また決勝のスタートドライバーはA登録とされており、予選順位どおりに#34は小野寺選手、#360は三浦選手、#17は安藤選手がセフティカー先導のローリングに出てゆく。
1周でレッドランプが消え、決勝がスタート。ポールの小野寺選手が先陣を切るが、間もなく三浦選手がパス。いつものスプリントでも三浦選手の序盤の速さは定評があり、トップに立つのだ。ただ三浦選手は予想より早めの18周目にピットインし、そこからは小野寺選手が安定したラップタイムを刻み、完全な独走状態に持ち込んでしまう。
このクラスは最低2回のピットストップが課せられており、その戦略はチームによって差はあるが1時間ごとのピットインは定石であり、スタートから2時間を過ぎる頃が最後となるはず。
#360の中村選手、「タイヤのグリップはそれほど落ちていないから交換は必要ないと思うが、燃料消費が予想以上で、給油はします」とピットクルーと作業。
#17の陰能選手は、「イチかバチか、無給油で行こうと思ってますが、ちょっとタイヤの消耗がある。レース後の再車検でスリップサインが出ていたらマズイのでリアの2本は交換します」と、中谷選手と交代してピットアウト。
そして、一回目のピットストップではドライバー交代せず、2時間15分以上も走り続けた#34の小野寺選手がようやくピットイン。右側2本のタイヤを交換し、20リッターの給油も済ませてNAKAMURA選手がピットアウト。
この時点で、ベストラップを叩き出す追走を見せた#17中谷選手とは2周以上のリードを奪っていた。
そこからはNAKAMURA選手にとってはクルージングと同様の走りでチェッカー。この圧倒的な勝利、北海道のモータースポーツ界を長年にわたってリードしてきたNAKAMURA選手、小野寺選手にとっては当然の結果だろうし、その実績と自信がもたらしたと言えるだろう。
また、優勝者と共に、このTS-86/BRZによる耐久レースを大いに盛り上げてくれた残る5名のドライバーと、チームのピットクルーの諸君に「ありがとう!」と心からの謝意を表したいと思うのである。
決勝
- 開催日:2024/06/30
- 天候:Fine
- 路面:Dry
- 決勝出走:3
- 完走:3
- (3.406km x 97laps = 330.369km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 34 | 小野寺 俊 /KEI NAKANURA | BS | シンシア★SYSTEM-R★86 | 97 | 3:00:06.010 | ||||||
2 | 17 | 安藤 義明 /陰能 裕一/中谷 健太郎 | BS | 爆走!安藤組・ステップ86 | 94 | 3:00:16.013 | ||||||
3 | 360 | 三浦 稔呂 /中村 高幸 | BS | 三浦としなが歯科クリニック・86 | 92 | 3:00:43.347 |