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企画記事の2本目は前嶋選手です。自分でチームを立ち上げて走っていたご経験もお持ちで「若手には、まだ負けたくない」とおっしゃる前嶋選手ですが、これからのキャリアを考えている若手に非常に参考になるお話が聞けました
Z33・Z34を武器に、ST-3を中心として複数のクラスで戦い続けてきた前嶋秀司(まえじま・しゅうじ)選手。40年ほど前、地元のショップからの誘いで訪れた富士スピードウェイの雰囲気に心を奪われ、モータースポーツの世界へ。22歳で富士フレッシュマンレースにデビューすると、初戦2位、翌戦ポール・トゥ・ウィンと確かな結果を残し、やがてインテグラのワンメイクレースで初タイトルを獲得。その後、N1耐久を経てS耐へ。自らチームを立ち上げてチャンピオンに輝くなど、息の長いキャリアを築いてきた。そんな前嶋選手に、印象的な激戦の記憶、そして現在のS耐へのまっすぐな想いを語ってもらった。

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「S耐には、前身のN1耐久シリーズ時代から参戦してきましたが、なかでも忘れられないのはZ33でST-3に挑んだ2008年のシーズンです。とにかく速いクルマに乗って目立ちたいというストレートな思いがあったんですが、なかなかそのチャンスが巡ってこない。いわゆる“シート”が空かず、声をかけても話が進まなかった。それなら自分でやるしかないと、資金をかき集めてチームを立ち上げました。
その年は、マネジメントからレースまで全部自分。大変でしたけれど、最終戦でE46 M3との激しい争いを制してチャンピオンを獲れたときは、本当に嬉しかったですね。S耐を長くインサイドから見てきた立場からも、今のS耐は本当に盛り上がっていると感じます。主催者の努力もあって観客の数は着実に増え、レース関係者からの注目度も高まっています。ドライバーの育成や経験の場としても、非常に価値のあるシリーズだと思います。
そうした環境の中で、自分自身もさまざまなタイヤを経験してきましたが、ブリヂストンは本当に優秀です。どんなレベルのドライバーが使っても摩耗の差が出にくく、扱いやすさと操縦安定性がとても高いレベルでバランスしている。まさに耐久レースのために作られたタイヤだと感じます。スリックでブリヂストンを使うのは、EG6のシビックレース以来かもしれませんが、想像以上のタイムが出て、本当に驚かされました。
そんな今のS耐で、自分がどこまでやれるか──。若手には、まだ負けたくないという気持ちがあります。でも一方で、気負わずのんびり走りたいという思いもあって、決勝では自分からセーブしてしまうことも。ただ、目の前にライバルがいると、やっぱりスイッチが入るんですよね。その“スイッチ”をもっと自由自在にオンオフできるようになりたい、というのが今の目標です。そして、私たちより上の世代の方々が現役で頑張っているのを見ると、''自分もいける''と思うんですよね。まだまだ本気で競い合いたいですね。」

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ブリヂストンは、スーパー耐久を支える“ひと”の力とともに、
その想いがゴールまで届くよう、足元から走りを支えていきます。