【S耐に集う人々】速さと経験を、チームの力に"──末廣選手が語るS耐での役割

TCRやGT4といった車両での実戦経験を重ね、今シーズンは再びST-TCRクラスに参戦する末廣武士(すえひろ・たけし)選手。上位カテゴリーを目指すドライバーに実戦の機会を提供し、手厚くサポートするチームBirth Racing Project(バース・レーシング・プロジェクト)に所属し、マシン開発やパーツ評価なども含め幅広い役割を担っている。
FJ1600を皮切りにスーパーFJでは岡山シリーズ王者、日本一決定戦で優勝。JAF F4ではMVPも受賞するなど、フォーミュラ時代から確かな実績を積み重ねてきた末廣選手は、その後スーパー耐久に舞台を移し活躍を続けている。
いまでは“支える側”の視点も併せ持ち、プロドライバーとして走りながらチームの中核としてジェントルマンや若手ドライバーを牽引する存在となった末廣選手。今回は、そんな彼に耐久レースの魅力と現在のスタンスについて聞いた。

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「スーパー耐久に初めて出たのは2010年です。当時はST-2クラスで、ランエボとインプレッサがしのぎを削っていた時代でした。僕はRS小川というランエボのチームからスポットで出場し、翌2011年からフル参戦しました。それ以前はフォーミュラで活動していました。FJ1600、スーパーFJ、F4と進んで、フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)まで経験しています。阪口良平さんに声をかけていただいたことがきっかけで、そこから箱車にチャレンジするようになりました。2015年からはずっとS耐に出続けています。もう10年以上ですね。現在所属しているバースには2018年から関わっています。小川さんのチームで2017年まで走っていたんですが、2018年にTCRマシンでの参戦が始まったタイミングで声をかけていただき、最初はスポット参戦。その翌年からフル参戦となり、いまに至ります。2019年からは「BMW & MINI Racing」などにも並行して参戦し、マシン作りやコーチング、タイヤテスト、パーツ開発など、メーカーからの依頼にも幅広く対応しています。自分の経験を活かせる場が広がっていることはありがたいですね。バース・レーシング・プロジェクトは、ジェントルマンドライバーが安心して長くレースを楽しめるような環境づくりを大事にしているチームです。現在の耐久レースは、プロとジェントルマンの混成が主流になってきています。だからこそ、ベースの部分をしっかり整えるのが重要だと考えています。

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そして今年からは、奥住慈英(おくずみ・じえい)選手と井本大雅(いもと・たいが)選手という若いふたりがチームに加わりました。若手にもステップアップの機会をつくれるように、ここで経験値を積んでもらうためのしっかりした“土台”になれたらと思っています。スーパー耐久の魅力は、なんといっても走行時間の長さです。レースウィークは木曜・金曜にも豊富な練習時間があって、決勝もひとり1時間以上走れます。TCRやGT4、GT3といった“旬”のマシンに乗れるという点でも、ジェントルマン、若手どちらにも価値のあるカテゴリーだと思います。以前のタイヤは車種によって合う・合わないがはっきりしていましたが、ブリヂストンはコントロール性が高くてバランスも良く、どのクラスでも扱いやすい。さらにライフにも余裕があるので、戦略の幅が広がって、よりレースがしやすくなりました。長く走るレースという視点から見ても、とてもフィットしていると思います。スーパー耐久ではこれからも自分自身が現場で走り続けながら、ジェントルマンも若手もそれぞれの力を最大限に発揮できる、厚みのあるチームづくりに貢献したい。それがいまの自分の役目だと思っています。」



ブリヂストンは、スーパー耐久を支える“ひと”の力とともに、
その想いがゴールまで届くよう、足元から走りを支えていきます。