北海道を拠点とする「アンドリーガルレーシング」のBドライバーとして、2025年はST-5Fクラスに参戦する川福健太(かわふく・けんた)選手。FJ1600のスクールを皮切りに、スーパーFJ、N1耐久、さらにはシミュレーター大会にも参戦するなど、仕事とレースを両立させながらキャリアを積み重ねてきた。11号車・公団ちゃんでのST-5へのスポット参戦から始まったスーパー耐久(以下、S耐)における挑戦は、3年目にして念願のフル参戦に至った。通信系企業に勤務する会社員として日々の業務に携わりながら、モータースポーツに打ち込むその背景には、情熱と工夫、そして周囲の理解があった。
「レースを始めたのは、社会人になってからです。入社後に「モータースポーツを趣味として楽しみたい」と思い、まずはロードスターでサーキット走行会に参加するようになりました。やがて「せっかくならレースにも出てみたい」と思うようになり、FJ1600のレンタルスクールに通いはじめ、そこからスーパーFJに出場するようになりました。
勤め先はワークライフバランスを大切にしており、プライベートの時間をきちんと確保できる環境が整っています。職場では「週末はレースをしている」と話しているので、周囲の理解も得られています。今年7月に部署を異動したのですが、上司があらかじめ僕のレース活動について新しい配属先に説明しくれていたので、出社して3日目にS耐のために休みを取るスケジュールでも、柔軟に対応してもらえました。
週末はレース、平日は仕事という忙しいサイクルですが、そのリズムがむしろ生活の軸になっています。レースで得られる非日常の刺激があるからこそ、平日もしっかり仕事に向き合える。日常があるから、レースの時間がより特別に感じられるとも言えますね。もちろん大変な部分はありますが、自分としてはすごく充実した毎日を過ごせています。いつまでこのペースで走れるかはわかりませんが、乗れるうちはより高いカテゴリーや速いクルマに挑戦して、公式戦で結果を残していきたい。将来振り返ったときに「あのとき頑張ったな」と思えるようなキャリアにしていきたいと思っています。
資金の都合で4輪を離れ、しばらくはレンタルカートばかりやっていた時期がありましたが、2017年にスカラシップをもらって、久々にクルマのレースに戻れたんです。ちょうどその頃からシミュレーターでの競技が盛り上がりはじめて、「大会で優勝すれば実車のレースに出られる」という仕組みも生まれてきました。私もそこに挑戦し、3年目でようやく日本一となり、2020年の86/BRZ Race「Clubman Series OPEN 第8戦」に出場することができました。初めての86レースでポール・トゥ・ウィンを達成できて、「あの新人は誰だ?」と注目してもらえたのは、本当に大きな転機でした。
S耐という存在を初めて意識したのは、スーパーFJでレースデビューしたときでした。併催されていたS耐を目の当たりにして、ピットウォークの華やかさや観客の多さ、サインに応じるドライバーたちの姿に圧倒されました。「これは完全にプロの世界だ」と思いましたし、「いつか自分もあの舞台に立ちたい」と強く感じたのを覚えています。スプリントレースばかり出ていたので、耐久レースのスタイルに最初は戸惑いもありました。でも、耐久ならではのチームワークや、長い時間をかけて勝負する面白さ、全員で戦っている感覚の素晴らしさに今では完全にハマっています。アマチュアでありながらプロのような舞台で戦えるS耐は、僕にとって本当に特別な場所です。
そんなS耐で使用しているブリヂストンタイヤは、とにかく扱いやすくて、フィーリングが自然です。グリップの変化や削れ方、長距離を走ったときの性能の落ち方がとてもわかりやすく、走っていて安心感があります。最初はスリックでのドライビングに対する不安がありましたが、インフォメーションが豊富なので、「こういうふうに走ればいいんだな」というのがすぐにつかめました。たくさんの観客がレースを楽しんで、華やかな演出でも魅了するS耐。会社の同僚にも「S耐に出ている」と言えば、それだけでわかってもらえることも多いし、YouTubeのレース配信を見せると「すごいレースなんだね」と納得してもらえる。そんなステージで走れるようになった今は、「S耐のドライバーとして認知されたい」という思いが強いんです。しっかり結果を残して、長く関わっていけるようにしていきたいと思っています。」
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ブリヂストンは、スーパー耐久を支える“ひと”の力とともに、
その想いがゴールまで届くよう、足元から走りを支えていきます。






















