【全日本モトクロス選手権 IA1クラス 第6戦】 山本 鯨が開幕戦以来、今季2度目のパーフェクト優勝を達成！　成田 亮は両ヒート3位表彰台を獲得、小島庸平が両ヒート4位入賞を果たす。

MFJ全日本モトクロス選手権シリーズ第6戦近畿大会は、奈良県山辺郡山添村の名阪スポーツランドで開催された。会場の名阪スポーツランドは、全体が山砂のサンド路面で、適度なアップダウン、その中に配されたテクニカルなコーナーやジャンプが特徴のコース。
今回は、尾根の向こう側に展開するセクションの繋ぎを大きく変えた他、ゴールに戻るストレートをショートカットするなどレイアウトの変更が行われ、元々1周のベストタイムが2分に満たないハイスピードではあったが、IAクラスのトップタイムが1分30秒を切るスプリントコースに生まれ変わった。
前回東北大会から2カ月近い夏のインターバルを挟んで行われた大会は、土日共快晴に恵まれ日中は気温も30度近くまで上昇。会場が中部、近畿両エリアからアクセスし易い場所であること、また、3連休中の開催とあって、土曜日が1653人、日曜日が4632人、2日間合計で6285人とここ数年では最も多い観客が訪れ、汗ばむような陽気の中で各クラス繰り広げられた熱いバトルを楽しんだ。

■IA1 ヒート1
成田 亮(ﾎﾝﾀﾞ-ﾌﾞﾘﾁﾞｽﾄﾝ)、山本 鯨(ﾎﾝﾀﾞ-ﾌﾞﾘﾁﾞｽﾄﾝ)、岡野 聖(ﾔﾏﾊ-DL)の好スタートで開始されたレースは、成田と山本が1コーナーでラインを入れ換える隙に岡野がトップに浮上し、山本、岡野、成田の順で1周目のコントロールラインを通過。
2周目、予選から圧倒的な速さを見せていた山本が、岡野をパスしてトップに浮上する。一気にリードを広げたい山本と、山本に食い下がる岡野のトップ争いは、徐々に後続を引き離し、成田が単独3番手を走行する展開に。
レースの折返点となった11周目、なかなか自分のペースに持ち込めない山本は、一旦岡野を前に前に出し、背後に付いてライン取りや様子を伺う作戦に出る。
レース時間が残り10分を切った15周目、再度ペースを上げた山本は岡野を捉えると一気にトップ奪い返し、今度は確実にリードを広げ始める。
終盤、2番手の岡野に対し5秒近いリードを築いた山本は、残り周回を確実に走りきってトップでチェッカー。岡野に続き成田が3位で表彰台に登壇。小島庸平(ﾎﾝﾀﾞ-ﾌﾞﾘﾁﾞｽﾄﾝ)が4位、大塚豪太(ﾎﾝﾀﾞ-ﾌﾞﾘﾁﾞｽﾄﾝ)は7位でフィニッシュした。

■IA1 ヒート2
ヒート1優勝の勢いを駆って、鮮やかなホールショットを決めたのは山本。その山本を先頭に、オープニングラップは山本、成田、岡野の順でコントロールラインを通過し、表彰台争いは、ヒート1と同じ顔ぶれとなる。
序盤、山本が一気にリードを広げる一方で、成田と岡野の2位争いは接近戦となり、直前のテストで鎖骨を骨折し手術を受けていた成田は、6周目に岡野の先行を許し3番手へと順位を下げる。
しかしこの時点で山本は、10秒近くリードを広げており、2番手岡野との差が若干詰まることはあっても、後続を寄せつけない走りを見せた山本が、スタートtoフィニッシュの快心のレース運びで圧勝し、山本は開幕戦九州大会以来となるパーフェクト優勝を達成。
岡野が2位。成田はこのヒートも3位で、第2戦関東大会から連続9ヒート、今シーズン11回目の表彰台に登壇。
ブリヂストンライダーでは、小島がオープニングラップ6番手から二つ順位を上げこのヒートも4位。大塚は第1ヒートに続き7位でチェッカーを受けた。

◆山本 鯨 - Honda Team HRC
「前回の藤沢に続きサンドトラックの名阪スポーツランド。事前テストからずっとX10で乗り込んできたので、タイヤの選択で迷うことはありませんでした。ただ、ここはジャンプの手前などに岩盤が埋まっている場所があり、不用意にアクセルを開けるとホイルスピンしてしまうので、そこだけは慎重に走っていました。ヒート1は自分のリズムが悪くて若干苦戦しましたが、ヒート2はスタートから思い通りの展開で勝つことができました。タイヤに関しては全くネガな部分はなくて、スタートはほぼ完璧に決まったし、路面が荒れていく中でも終盤までしっかりとカバーしてくれので、それが今回の大きな勝因になったと思います。」

◆若林朋之 - 株式会社ブリヂストンMCタイヤ開発部
「まずはHRCの山本選手、パーフェクトウィンおめでとうございます。事前テストでは昨年からコースレイアウトが変わり、更にこのレースウィークにも変更があり、対応に苦慮されたと思います。そんな中でも山本選手は、フロントにソフトパターン、リアにサンドマッドパターンを装着、圧倒的なパフォーマンスを見せつけてくれました。両ヒートで3位に入ったチームメイトのHRC成田選手は、練習走行時のフィーリングを受け、リアはソフトパターンを選択、新しいコースレイアウトに対応する形で高い戦闘力を示してくれました。また、プライベータの小島選手も両ヒートで4位を獲得するなど、多くのライダーの足元を支えました。次回、第7戦は10月12-13日に初戦と同じ熊本県のHSR九州で開催されます。事前の合同テストはありませんが、過去のデータと最新のコースコンディション、最新マシンセッティング等を照らし合わせ、最適なタイヤを投入します。」