【全日本モトクロス選手権 第5戦 HSR九州 IA1クラス】 シーズン2度目のトリプルヒートで山本 鯨が3-1-1位!3戦連続総合Vでプレミアクラスの連覇に王手!!

全日本モトクロス第5戦九州大会は、特別格式の第58回MFJ-GPモトクロス大会として、熊本県菊池郡大津町のHSR九州オフロードコースで開催された。会場のHSR九州は本田技研熊本製作所の敷地内にあるモータースポーツ施設で、阿蘇を見渡す雄大な景観の中にあるオフロードコースは、ほぼフラットなレイアウトに大小のコーナー、コンビネーションジャンプやフープスを配した全日本きってのハイスピードコース。火山灰中心の黒土は硬く締まると滑りやすく、またホコリも出易いために入念な掘り起こしと散水を繰り返すことで、土日ともほぼベストのコンディションを維持した。本来は4月と10月の2開催が予定されたが、コロナ禍による度重なるスケジュールの変更や中止により11月にずれ込んで、事実上シーズン3戦目として行われた。快晴に恵まれた2日間、地元九州はもとより、今年レースの開催がなくなった関西や中国エリアからも熱心なファンが足を運んで、土日合わせ2951名が白熱したバトルを楽しんだ。

■IA1　ヒート1
前回SUGO大会に続き15分＋1周のトリプルヒート制が採用されたIA1クラス。第1ヒートはここまで5ヒート中3勝をマークして、開幕から2戦連続総合優勝を飾っている山本 鯨(ﾎﾝﾀﾞ_ブリヂストン)の鮮やかなホールショットで幕を開けた。駆け引きなどする間もない超スプリントレース。2番手で1コーナーをターンした富田俊樹(ﾔﾏﾊ_DL)がオープニングラップで山本の前に出る。山本もこれに応戦。レース前半しっかりと富田をフォローしチャンスを伺っていた山本は、4周目に一気にペースを上げると富田に並びかけ、絶妙なライン取りで富田をクリーンにパスしトップに再浮上。ところが直後、これに応戦した富田がジャンプを飛び過ぎてコーナーを曲がり切れずに山本に接触。このアクシデントで転倒を喫した山本は、4番手までポジションを落してしまう。すぐに再スタートし追撃を開始した山本は、残り3周で古賀太基(ｶﾜｻｷ_DL)をパスし3番手に浮上するが、その時点で先行する富田と2番手能塚智寛(ﾎﾝﾀﾞ_DL)との間にはかなりの差が開いており、終盤確実に走り切った山本は3位でチェッカー。開幕からの連続表彰台登壇を6に伸ばした山本に続き、ブリヂストン勢では星野優位(ﾔﾏﾊ)が4位、小方 誠(ｶﾜｻｷ)が5位でフィニッシュした。

■IA1　ヒート2 昼休み時間のコース補修でかなりの散水が行われ、コースの大半がウェットとなった第2ヒート。ホールショットを決めたのは今シーズンからIA1にスイッチした道脇右京(ﾎﾝﾀﾞ_ブリヂストン)。山本、能塚、小島庸平(ﾎﾝﾀﾞ_ブリヂストン)が並びかけるように1コーナーをターンし、オープニングラップは山本が道脇、能塚を捉えてトップに浮上する。非常にスリッピーな路面コンディションも意に介さぬ勢いで一気にペースを上げた山本は、後続を突き放しにかかり早くも独走態勢を築き始める。後方では能塚が転倒し古賀が2番手に浮上。小島も一時3番手に順位を上げるが、こちらは混戦の中で3周目に6番手へと後退。レースは2番手古賀の接近を許さぬ隙のない走りを見せた山本がトップでチェッカーを受け第1ヒートの雪辱を果たす。山本が所属するチームの監督兼ライダーとしてベテランらしい走りを見せた小島は今季自己ベストの6位に入賞。大塚豪太(ﾎﾝﾀﾞ_ブリヂストン)、星野優位、小方がこれに続きフィニッシュした。

■IA1　ヒート3 ファイナル第3ヒート。得意のスタートを決めた山本がオープニングラップを制するも、このヒートは能塚が山本に食い下がり、両者はレース開始直後からサイドバイサイドの激しいバトルを展開。2周目、地元開催で気合の入る能塚が山本の前に出て逃げきりを図ろうとするが、山本も一歩も引かず能塚を激しく攻めたてる。迎えた5周目、山本のプレッシャーを受け続けた能塚が単独転倒。その隙にトップを奪い返した山本は、後半渡辺祐介(ﾔﾏﾊ_DL)、富田の追撃を受けるも両者に付け入る隙を与えず、最後まで確実にリードを保った山本が逃げきってこのヒートも制覇。開幕から3戦連続の総合優勝も手にした山本は、シーズン優勝回数を5に伸ばし、ポイントランキングでも2番手富田との差を31ポイント差に拡大。連覇に王手をかけた山本は、最終戦第1ヒートでのタイトル決定に向け次戦関東大会に臨むこととなった。このヒート、ブリヂストン勢では小方が4位、星野優位が6位、小島が7位、大塚が9位でフィニッシュした。

●山本 鯨（予選1位／決勝第1ヒート3位／第2ヒート1位／／第3ヒート1位／総合1位） 「ここHSR九州と自分の走りの相性の良さは、過去の勝率からも分かっていて、余計に各ヒートを大事にという気持ちでレースに臨みました。ヒート1の接触転倒は、あくまでレースアクシデントですが、自分に甘い部分があったのも事実。その分第2、第3ヒートはしっかりと取れたので全体としていい結果になったと思っています。午後のレースは散水で滑り易い状態になりましたが、コンディションが難しくなればなるほど自分には有利になるし、それはブリヂストンのタイヤパフォーマンスにも言えることだと思っています。実際、黒土のスリッピーな部分でも不安は全く感じなかったし、全ヒートでスタートも決まって、タイヤの性能に支えられた部分も大きかったと感じています。」