【2023年全日本モトクロス選手権 Rd.8 埼玉トヨペットCUP IA1クラス】決勝ヒートⅡでは、ケガから復帰したばかりの星野優位がジェイ・ウィルソンを倒して勝利！

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、今大会を含み残り2戦。全日本格式の全クラスを対象とした第8戦埼玉トヨペットCUP（従来の関東大会）が、今季第2戦でも使用された埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催された。
コースは荒川と入間川に挟まれた河川敷に設けられていて、アップダウンがほとんどなくタイトターンとジャンプが多く幅が狭い、スーパークロス風のレイアウトを特徴としてきた。ただし、昨秋の全日本実施前に大幅なリニューアルが施され、以前とは逆の反時計回りにされると同時に、コース前半部分にフラットな中高速セクションを追加。今大会は、そのレイアウトを基本的には踏襲しながら、各部のセッティングが見直されたコースが使用された。
全日本最高峰クラスとなるIA1クラスは、土曜日にレース形式の予選、日曜日に3ヒートの決勝を実施するスケジュール。土曜日の朝に一時的な集中豪雨があり、この影響で路面コンディションが大幅に悪化したことから、土曜日は昨年追加された中高速セクションをショートカットしたコースが用いられ、予選時間も7分＋1周に短縮された。ただし、土曜日の昼前からは晴天に恵まれ、次第に路面状況が回復。日曜日も朝に雨が降ったが、降雨量は前日ほど多くなく、日中は曇りのち晴れで天候が大きく崩れることはなかったため、決勝はフルコースに戻され、当初の予定どおり15分＋1周の3ヒート制で競われた。なおオフロードヴィレッジの路面は粘土質で、乾けば締まってハードパックになるが、水分を含むと深いワダチが発生しやすく、下に埋まった固い層が露出すると滑りやすくなる。これらの攻略も上位進出のカギとなった。

■決勝ヒートⅠ
ホールショットのジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）をトレイ・カナード（Honda,DL）と#6 大倉由揮（Honda,BS）、#8 内田篤基（Kawasaki,BS）が追ったが、スタートから2個目のコーナーでカナードの接触を受けた大倉がクラッシュ。大倉のマシンに#1 富田俊樹（Yamaha,BS）と#4 大城魁之輔（Honda,BS）が突っ込み、大倉はリタイアした。このアクシデントで内田が3番手、#7 大塚豪太（Honda,BS）が4番手。
レース序盤、内田は大塚をやや離しつつ、カナードを約3秒差で追った。しかし内田は4周目にミスし、これでカナードとのギャップは約9秒差に拡大。
一度は遅れた大塚が、2～3秒差で内田を追い続けた。そしてレースは11周でチェッカー。内田が3位、大塚が4位でフィニッシュした。
ケガからの復帰戦となった#9 星野優位（Yamaha,BS）が、大塚を3～4秒差で追い続けて5位。安原志（Kawasaki,DL）の追撃に耐えた#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）が6位となった。大城は10位、富田は13位だった。

■決勝ヒートⅡ
トレイ・カナード（Honda,DL）がホールショット。これに#9 星野優位（Yamaha,BS）と#6 大倉由揮（Honda,BS）が続いた。#8 内田篤基（Kawasaki,BS）はスタートでゲートに引っかかり最後尾からのレース。1周目、ジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）が大倉と星野を抜き、さらに大倉も星野をパスした。これでカナード、ウィルソン、大倉、星野の順で2周目に突入。ここでカナードとウィルソンが接触し、カナードがトラブルによりリタイア、ウィルソンは15番手まで順位を下げた。
大倉と星野は、4周目から僅差のトップ争い。翌周、星野が先行した。しかし大倉はその後も大きく離されることなく、1～2秒差で星野を追撃。大倉の約2秒後方には小方誠（Honda,DL）も続いたが、7周目に#1 富田俊樹（Yamaha,BS）を抜いたウィルソンが、8周目に小方をパスした。
レース終盤、星野と大倉はウィルソンの接近を許したが、レースは11周でチェッカーとなり、逃げ切った星野が優勝、大倉が2位となった。ヒート1で転倒した影響が残る富田は9周でリタイア。#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）が5位となった。

■決勝ヒートⅢ
レースは再びトレイ・カナード（Honda,DL）のホールショットで幕を開け、これをジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）と#6 大倉由揮（Honda,BS）、#8 内田篤基（Kawasaki,BS）、#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）が追ったが、2周目前半にカナードが転倒リタイア。これで大倉が2番手、内田が3番手、渡辺が4番手となった。3周目、渡辺が転倒により15番手後退。大倉は3秒ほど先行するウィルソンを追い、その背後には内田が近づいてきて5周目には接近戦となった。
しかし翌周からは大倉が再び内田を引き離しはじめ、両者のギャップは約2秒に。一方、大倉はなおもウィルソンを追い続けたが、ラップタイムはほぼ互角だった。そしてレースは、ヒート1やヒート2よりも1周少ない10周で終了。大倉が2位、内田が3位となった。#4 大城魁之輔（Honda,BS）は、レース中盤から小方誠（Honda,DL）を僅差で追い続けたが、最後まで逆転のチャンスを得られず5位。最後はこの大城に迫った#7 大塚豪太（Honda,BS）が6位となった。

●星野優位（決勝ヒート1／5位、ヒート2／優勝、ヒート3／７位）
「今年2月末に股関節脱臼という大きなケガを負い、そこからは本当に辛いリハビリを続けてきました。8月後半からようやくライディングを再開。とはいえレースを戦えるような感じではなく、10月に入ってようやく本格的な乗り込みを開始した程度です。そのため今大会も、準備万端だったわけではないのですが、自分では好調な感覚もあり、ある程度の自信を持って臨むことができました。ヒート1は、復帰して最初の決勝なので、慎重に走りました。ヒート2は、マディからドライへと変化する途中の、もっとも好きなコンディション。それだけに好成績を狙っていましたが、とはいえジェイ・ウィルソン選手やトレイ・カナード選手は、まともに勝負して勝てる相手ではないことは重々承知しています。ところが、両者の接触によるクラッシュで、思いがけずチャンスが到来。120％の走りというわけではなかったのですが、チャンスを生かすことができてよかったです。ヒート3は、その前のレースで結果を残せたので、安全運転で終えました。タイヤは、土日どもにソフト路面用のBATTLECROSS X20をチョイス。日曜日は、もう少し乾けばミディアムのX31も検討したかもしれませんが、ワダチの中は比較的柔らかく、それでいて固い層が露出している場所もあったので、ワイドレンジなX20が最適だと考えました。今回の復帰は、本当に多くの方々に支えてもらったおかげだと感謝しています。最終戦も出場するので、また頑張ります。応援ありがとうございます！」