【2023年全日本モトクロス選手権 Rd.9 MFJ-GPモトクロス大会 IA1クラス】大倉由揮がランキング2位、富田俊樹がランキング3位を獲得。ヒート１、ヒート２では大城魁之輔が表彰台に！

全9戦で競われた今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、いよいよシーズン最終戦。第61回MFJ-GPモトクロス大会が、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。今季第3戦でも使用されたSUGOインターナショナルモトクロスコースは、ロードレースやトライアル、エンデューロやスーパーモトの全日本選手権も開催している複合モータースポーツ施設内にあり、山と丘の斜面に設けられている。
コースは、昨年9月にも大幅改修が施されるなど、頻繁にレイアウト変更が施されており、今大会も基本構成を今春の状態から継承しつつ、ジャンプやコーナーなどのセッティングが見直された。序盤に待ち受ける上り急こう配の「大坂」をはじめ、自然の起伏を活かした豊富なアップ＆ダウンは健在。コース後半の「ヨーロピアンセクション」などハイスピード区間も多い。

路面は粘土質で、乾くと締まってハードパックになるが、事前に掘り起こしと散水が施されたことで、走行により深めのワダチやギャップが発生するベストコンディションとなった。天候は、各クラスの予選が実施された土曜日が晴れ時々曇り。決勝レースが繰り広げられた日曜日は降雨が心配されていたが、日中は曇天で、朝には一時薄日が差すほどだった。ただし非常に寒くて最高気温は9℃にとどまり、ヒート2が実施された時間帯はかなり暗かった。

■決勝ヒート1
ホールショットを奪ったのは#1 富田俊樹（Yamaha,BS）。これに#4 大城魁之輔（Honda,BS）が続いたが、両者ともにジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）の先行を許し、1周目はウィルソン、富田、大城、#8 内田篤基（Kawasaki,BS）、#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）、#9 星野優位（Yamaha,BS）のオーダーとなった。2周目、星野は能塚智寛（Kawasaki,DL）に抜かれて7番手。3周目には大城が富田をパスして2番手に浮上し、内田が大城に続こうとしたときに富田がミスし、接触を受けた内田が転倒により19番手まで後退した。5周目には、富田が転倒して5番手にダウン。この段階で、2番手の大城はウィルソンに8秒ほど離されていた。大城と3番手の渡辺は約3秒のギャップ。レース中盤、大城と渡辺の間隔はほとんど変わらず、3～4秒程度で推移した。10周目には渡辺が少しタイムを落とし、これで大城と渡辺の間隔は約5秒に拡大し、渡辺と4番手を走る能塚は3秒程度まで近づいたが、翌周からは大城と能塚もややペースダウン。3台は最後まで近づくことなく、15周でチェッカーとなったレースを大城が2位、渡辺が3位でゴールした。富田は粘る星野を寄せつけず5位。星野が6位となった。

■決勝ヒート2
#4 大城魁之輔（Honda,BS）がホールショット。#9 星野優位（Yamaha,BS）が2番手、ヒート1は8位に終わった#6 大倉由揮（Honda,BS）が3番手で1周目をクリアした。2周目、大倉はジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）に抜かれて4番手に後退。3周目には星野と大城もウィルソンの先行を許した。4周目の上位勢はウィルソン、大城、星野、大倉、#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）、能塚智寛（Kawasaki,DL）、#1 富田俊樹（Yamaha,BS）のオーダー。ここからウィルソンが徐々にリードを拡大し、大城も後続を引き離したことから、ウィルソンと大城は単独走行になっていった。一方、3番手争いは7周目の段階でも接戦で、星野を大倉、能塚、富田、渡辺の4台が僅差で追う状態。8周目には7番手まで一気に順位を下げ、代わりに大倉が3番手に浮上した。しかし翌周、大倉は能塚にパスされて4番手。10周目には富田も大倉の攻略に成功した。レース終盤、能塚が3番手集団から少し抜け出し、星野は脱落。これで富田と大倉と渡辺の4番手争いとなった。この中で大倉と渡辺が激しいバトルを繰り広げ、この間に富田がリードを拡大。ラスト2周となった13周目に、渡辺が再び大倉を抜いた。そして大城が2位、富田が4位、渡辺が5位、大倉が6位で今季最終レースをゴールした。

大城魁之輔（決勝ヒート1／2位、ヒート2／2位）
「第7戦の決勝ヒート1で足を負傷して以降、あまりにも酷いレースが続いてきたので、両ヒートとも2位になれたことで少しほっとしました。リザルトをまとめるという課題も、この最終戦でようやく克服でき、その点も評価できるとは思います。ただし勝ったわけではないので、満足はしていません。ジェイ・ウィルソン選手に勝ちたいと開幕戦の段階からずっと言い続けてきて、シーズン最後のレースとなったヒート2では、ようやくスタートからトップを走るというチャンスを得たのに、あっさり抜かれてしまいました。本当はもっと粘りたかったのですが、実力が足りていませんでした。タイヤは、土日どもにソフト路面用のBATTLECROSS X20を使いました。とくに日曜日は、気温が低く陽射しや風がなかったことにより蒸発が遅かったせいか、散水の影響が残り続けて土が常に湿っているような状態。自分はX20のワイドレンジな性能に絶大な信頼を寄せているので、ほとんどの路面状況でX20を選ぶのですが、日曜日はよりX20に向いているコンディションだったと思います。今季はケガが続き、正直なところ苦しいシーズンになってしまいましたが、ケガも自分の責任ですし、年間を通して戦い抜くことがチャンピオンになるためには絶対に必要なことだと思うので、そこは大きな反省点。とはいえ、成長できた部分もあったと思います。