【2023年全日本ロードレース選手権 第1戦 もてぎ ST600】大バトルを制したのは昨年最終戦の覇者の井手翔太

全日本ロードレース選手権ST600クラスは、ブリヂストンワンメイクレースとして9年目に突入。引き続き全日本4クラス中で最も多くのエントリー台数を誇る注目クラス。そして昨年のチャンピオン、荒川晃大はST1000クラスにスイッチ。ゼッケン1番不在のシーズンとなる。

開幕戦もてぎは33台がエントリー。木曜日から特別走行が開始され、各車、調整を重ねる。木曜日、金曜日共に10台から12台がトップから1秒以内と、今季も混戦になることを予感させていた。

【予選】土曜日の予選は30分間のタイムアタック。3周目に芳賀涼大が1分52秒362とコースレコードを更新してリーダーボードのトップに浮上。そのまま全日本初ポールポジションを獲得した。父であり監督でもある元MotoGP、SBKライダー芳賀紀行から「よくやった」と言われ「初めて褒められたかも」と笑顔を見せた。

2番手は阿部恵斗で1分52秒714。3番手が1分52秒745の羽田太河。以下、⾧尾健吾、井手翔太、小山知良、伊達悠太、伊藤元治、鈴木光来までの10台が1秒以内にひしめいた。

【決勝】曇天で始まった日曜日。ST600クラスがスタートすることには薄陽が射していた。
優勝候補の一角、羽田は昨年のペナルティ消化でピットスタート。16周のレース。ホールショットを奪ったのは⾧尾。3コーナー立ち上がりでポールシッター芳賀が首位奪取。2周目に長尾をかわして2番手に浮上したのは井手。長尾はペースが上がらず、鈴木、小山に次々にかわされる。
3周目が終了するころには芳賀、井手、鈴木、小山の4台が集団から抜け出してトップ集団を形成。4台はドッグファイトを展開。4周目には鈴木が首位浮上。5周目には井手が首位奪取と激しい展開に。その間に阿部、西村硝が追い上げ、トップ集団は6台に膨れる。
7周目。芳賀がV字コーナーで転倒。これで井手と鈴木が一騎打ち、小山、阿部、西村が表彰台争いに。井手と鈴木は順位を入れ替えながらの激しい戦いに突入する。

レース後半。セカンド集団から阿部が抜け出し、トップ2台との差を詰める。
残り5周は3台がそこここで順位を入れ替えながら激しい争いを展開。その間に再び小山が追いついて、4台でのバトルが開始される。残り3周。井手が抜け出して3台との差を広げ始める。鈴木、阿部、小山は2位争いを激化させる。

最終ラップ。阿部が井手との差を詰める。しかし井手は前を譲らず、昨年の最終戦から年をまたいで2連勝。阿部は僅差の2位。表彰台争いは鈴木に軍配が上がり、全日本初表彰台を獲得した。
また、ピットスタートの羽田は6位でフィニッシュした。

●井手翔太（予選5位／決勝1位）
「計画では最初から前に出てぶっちぎる作戦でした。でもスタートしてみたらフロントがきつくてブレーキングしても止まれませんでした。1台抜くのに命がけでした。トップで走るのがしんどかったので阿部選手に前に出てもらい、最後3周で前に出られればいいと思いました。そこは計画どおりにいきました」