【2023年全日本ロードレース選手権 第4戦 筑波 J-GP3】大和颯が世界戦経験者を相手に善戦し若松怜と共にトップ争いを展開

全日本第４戦筑波ラウンドはJ-GP3のみの開催。予選、決勝ともに日曜日に行なわれる１ディのスケジュールが組まれた。

【予選】午前中の予選は30分間のタイムアタック。各車セッション開始と同時に積極的にアタックを開始する。セッション開始５分ほどで59秒847と真っ先に１分の壁を破ったのは大和颯（ブリヂストン）。昨日の練習走行でトップタイムをマークした木内尚汰（ブリヂストン）も周回ごとに自身のタイムを詰める。木内はセッション開始10分ほどで59秒933と1分を切って2番手につける。

セッション中盤は膠着状態に突入。そして残りタイム10分を切ったところで再びリーダーボードが動き出す。まずは高杉奈緒子（ブリヂストン）が59秒744でトップ浮上。さらに残り3分を切ったところで尾野弘樹（DL）が59秒688で高杉をかわしてリーダーボードのトップに浮上。木内が自身のタイムを更新する59秒796をマークするも、3番手にとどまる。そしてそのまま尾野が今季2回目のポールポジション獲得。ブリヂストン勢は高杉が2番手、木内が3番手とフロントロウ2席を獲得。大和は4番手グリッドを獲得。トップ4台のみが59秒台という予選だった。

【決勝】梅雨の中休みで気温が上がった週末。日曜日は朝から薄い雲が強い日差しを少しだけ和らげてくれた。それでも蒸し暑さは真夏並み。

午後1時40分に25周の決勝の火蓋が切って落とされた。好スタートを切ったのはポールシッター尾野。背後につけた高杉の前に出たのは木内。木内は尾野に一騎打ちのトップ争いを挑む。高杉は大和と表彰台争いを展開しながら前の2台を追いかける。６周目を終了するころにはトップ争いと表彰台争いが一つになり、4台での争いに移行。

9周目の1コーナーで木内がトップ浮上。ヘアピンで尾野が首位奪回。木内には大和が順位を入れ替えながらのバトルを挑まれる。12周目。トップ争いを展開していた高杉が1コーナーで転倒。これで赤旗が提示される。

14周で仕切り直しのレース、再び尾野がレースをリード。オープニングラップから後続を引き離しにかかる。
後方では木内と大和が2位争いを展開しながら尾野を追いかける。2周目に7番手あたりを走行していた徳留真紀（ブリヂストン）が転倒。木内と大和が尾野との差を詰める。同時に4番手単独走行の様相を呈していた若松怜（ブリヂストン）がトップ3台との差を詰め、4台でのトップ争いに移行。

5周目、木内が1コーナーで転倒。これで優勝争いは尾野、大和、若松の3台に絞られる。後方では武中駿（ブリヂストン）、彌榮郡（ブリヂストン）、池上聖竜（DL）がセカンド集団を形成。

レース終盤、尾野と大和のバトルが激化。若松は徐々に単独3番手走行に移行。最終ラップ、大和が尾野に迫るも前に出ることはできず0.085秒差で尾野がポールtoウィン。大和は「後ろからプレッシャーをかける作戦だった。どこでも抜ける感じはあったが、裏ストレートで離されてしまった。すごく悔しい」とコメント。尾野は大和に対して「『いつでもいけるぞ』という余裕を感じていた」と名勝負を振り返った。

●大和颯（予選4位／決勝暫定2位）
「ブリヂストンタイヤはタイトに曲がるバンク角が深いところでもねばってくれて、開けていく力を持っています。25周というレースディスタンスの中で、尾野選手と比べてタイヤライフの落ちがありませんでした。マネージメントもしやすく、グリップが薄くなってきたと感じたらさらにバンク角を深くすればグリップ力が戻ります。尾野選手よりもタイトに曲がることができ、加速に対して強いタイヤだと思います」

＊補足：大和はレース後に国内競技規則　付則4 4-1-3-1違反（黄旗区間の追い越し）により30秒加算となり、最終結果は若松が2位、大和は19位となった。