【2023年全日本ロードレース選手権 第3戦 SUGO JSB1000】レース1で岡本裕生がJSB1000クラス初優勝、連勝が止まった中須賀克行はレース2で優勝

全日本ロードレース選手権第３戦SUGOのJSB1000クラスは開幕戦、第２戦に次いで2レース制。3戦目ながら5～6レース目が開催される。

【予選】土曜日は予選とレース1が組まれ、ウイーク中で最も忙しい一日。予選は9時10分から30分間のタイムアタック。昨日の午後から降り続く雨が朝まで残り、小雨が降る中での予選となった。完全なウエットコンディションの中で周回ごとにタイムを詰めていったのは中須賀克行（ブリヂストン）。2周目は1分44秒台、3周目は1分42秒台、以下1分40秒台、1分39秒台と、路面コンディションを確認しながら着々とタイムを更新していく。
セッション残り5分。中須賀は1分37秒台に突入していた。ここで2番手に上がったのがレインマスター星野知也（DL）。それでも1分39秒818と中須賀には遠く及ばない。中須賀はさらに1分36秒945と1分36秒台に突入。残り3分。岡本裕生（ブリヂストン）が1分39秒台に入り2番手浮上。しかし最後の最後に星野が岡本に対して0.023秒という僅差で2番手を奪回。一方、中須賀は星野に対して2秒以上の大差をつけてのポールポジション獲得となった。

中須賀は「コンディションが悪く中でもリスクを負って走った結果。決勝はドライでもウエットでも混戦になるだろうから、気を引き締めたい」と語る。

【決勝レース1】土曜午後には雨は上がったものの、路面はハーフウエット状態。ウエット宣言下でスタートが切られた。ホールショットを奪ったのは星野。中須賀、岡本と続く。馬の背で星野の両脇から中須賀、岡本がパスしていく。オープニングラップを制した中須賀の背後にピタリとつけたのは岡本。２周目には順位を入れ替える激しいバトルが見られる。この間にセカンド集団から上がってきた水野涼（ブリヂストン）が２台との差を詰め、そこに亀井雄大（ブリヂストン）が続く。
水野と岡本の2位争いが激化。中須賀はトップ独走状態に移行する。6周目に6番手を走行していた作本輝介（ブリヂストン）が転倒。7周終了時点で中須賀は2秒半のアドバンテージを築いて完全独走状態。後方では岡本と水野の2位争いが続く。亀井はここから完全に離されて単独4番手で周回。

レース折り返しの11周。岡本がファステストラップをたたき出しながら中須賀との差を詰め始める。後方では5番手を走行していた津田拓也（ブリヂストン）が転倒。14周目終了時点で岡本は中須賀との差を1.1秒にまで詰めた。水野は完全に岡本に離されて単独3番手で周回。岡本は16周目には完全に中須賀の射程圏内に。残り3周、1コーナーで岡本がトップ浮上。少しずつ中須賀を引き離しにかかる。ラストラップ、雨粒が落ちてきたことを示すレッドクロス旗が振られる。しかし状況が変わることなく、岡本はそのままトップでチェッカー。岡本は中須賀を倒してJSB1000クラス初優勝を飾った。

●岡本裕生（予選3位／決勝1位）
「最後までいいアベレージタイムを刻めました。タイヤが減ってからも、減ったなりの走らせ方をすることができました。タイヤが減っても大きく滑ることもなく、最後までしっかりと走りきることができました」

【決勝レース2】朝から気温が上昇した日曜日。JSB1000クラスのレース2が開催された午後には少し雲が厚くなり、風も強まった。22周のレースで好スタートを切ったのは中須賀。岡本、清成龍一（ブリヂストン）と続いて3台でトップ集団が形成される。セカンド集団の先頭は新庄雅浩（ブリヂストン）。2周目には9番手まで後退していくが、それでも十分なアピールだった。替わって4位争い集団のトップに立ったのは亀井。ヤマハファクトリー2台から引き離されて単独3番手走行を開始した清成を追いかけ始める。2周目。8番手を走行していた秋吉耕佑（ブリヂストン）が転倒。清成との差を詰め切れない亀井に、水野、作本が追いついて、3台の3位争いが開始される。中須賀、岡本は後続を大きく引き離してテールtoノーズのまま周回を重ねる。8周目、作本が亀井の前に出る。翌9周目には水野も亀井を捕らえる。アステモホンダの2台はあっという間に清成との差を詰める。11周目には水野が作本の前に出る。

15周目、1コーナーで岡本が中須賀のインをつく。馬の背で中須賀が岡本の前に出る。後方では水野が清成を捕らえて3番手に浮上。さらに翌周には作本が水野を捕らえるという激しい3位争いが展開される。トップ争い、3位争い共に激しくなる一方のレース終盤。ラスト3周。岡本がファステストラップをたたき出して中須賀を追う。ラスト2周で岡本のマシンが暴れて少し間が空いてしまう。これで勝負あり。中須賀は岡本を突き放して優勝。
最後まで激しく順位を入れ替えながら争われた作本と水野は、最終ラップに2台そろってコースから飛び出してしまう。これで2台のすぐ後ろを走っていた清成が表彰台を獲得した。

●中須賀克行（予選1位／決勝1位）
「昨日に比べて路面温度が10度以上高かったのですが、朝フリーでは確認できず、決勝でぶっつけでした。そういう意味で不安要素があったのですが、22周という周回数でも昨日よりも速いアベレージを刻めました。温度が上がることでグリップ自体は落ちてきましたが、コントロール性能はしっかり保ってくれました。おかげで最後までいい走りをファンの皆さんに見せることができました」