蒲生尚弥の挑戦──新体制初優勝への道

雨の予選、セミウエットの決勝レースと難しい路面コンディションのなかで行われた鈴鹿サーキットでの第6戦で、ポール・トゥ・ウィンを飾った蒲生尚弥選手。ネッツ兵庫レーシングチームのディーラーメカニックたちとともに目指していた勝利を見事な走りで掴み取りました。
今回は、蒲生選手とチームの優勝までの軌跡を本人のコメントとともに振り返ります。




今回の優勝は蒲生選手にとってGR86/BRZ Cupでの3度目の優勝でした。初優勝は開幕初年度2013年の第4戦岡山、2度目の優勝は2019年の第4戦オートポリスと、スーパーGT GT300クラスシリーズチャンピオンを2度(2018年/25年)獲得した蒲生選手にとっても、このワンメイクレースで勝利を挙げることは簡単ではありません。


蒲生 尚弥選手tomica ネッツ兵庫 BS GR86


国内のトップドライバーがワンメイク車両で鎬を削るGR86/BRZ Cupでは、レースに特化したレースメカニックが多くのチームをサポートしています。彼らの洞察力とサーキットならではの技術は、ミリ秒単位で順位が変わるこの厳しいレースを戦ううえでは欠かせません。蒲生選手がともに戦うネッツ兵庫レーシングチームも、参戦当初はレーシングガレージと協力して参戦していましたが、2022年からはディーラーのメカニックが中心となって戦う体制に刷新されました。


ネッツ兵庫レーシングチームネッツ兵庫レーシングチーム


新体制初年度の22年は地元岡山で開催された第5戦で5位入賞を果たしシーズン18ポイントを獲得。翌23年は第6戦鈴鹿で3位表彰台を獲得しシーズン21ポイントを積み上げ、チームの確かな成長を示してきました。
そして昨年(24年)のレースではコンスタントに上位入賞を果たし、第7戦鈴鹿では新体制でのベストリザルトとなる2位表彰台を獲得し、チームとともに喜びを爆発させました。シーズン45ポイントを獲得したチームには確かな上昇気流が起こっていました。


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そして迎えた今シーズン。開幕戦のオートポリスと続くモビリティリゾートもてぎでの第2戦では上位入賞を逃すも、スポーツランドSUGOでの第3戦で2位表彰台を獲得。スケジュールの兼ね合いで欠場となった十勝スピードウェイでの第4戦を挟んで、富士スピードウェイでの第5戦ではアクシデントによりポイントこそ獲得できませんでしたが、予選・決勝の走りからは確かな速さが感じられるレースとなりました。


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第6戦の鈴鹿大会では、ついにその速さが勝利へと結びつきました。ドライでの占有走行からブリヂストン勢トップタイムを記録した蒲生選手は、ウエットコンディションとなった予選でポールポジションを獲得すると、セミウエットの難しい路面で争われた決勝レースでも安定した速さを見せて、トップでチェッカーフラッグを受けました。
「みんなのこれまでの努力を形にするためにも、優勝という結果にこだわりたい」と今シーズンの開幕戦で語っていた蒲生選手。その言葉通り、新体制となったチームの悲願であった優勝を果たしました。


蒲生 尚弥選手
優勝後、昨シーズンからの好調な走りの要因を蒲生選手に伺いました。
「新体制では、1台のマシンで戦ってきたので、情報の少なさという難しさがありました。それでも周囲の松井(孝允)選手や坂(裕之)選手をはじめとしたこのレースの仲間たちと情報を共有して、お互いに高め合って、横のつながりを強くしてきたことも要因の1つだと思います。チームの力、そして横のつながりが今回の優勝という結果につながりました。本当にみなさんのおかげです」


蒲生 尚弥選手蒲生 尚弥選手


チームと一体で戦い、ライバルと互いを磨き合う蒲生選手。
ブリヂストンは、GR86/BRZ Cupを戦うドライバーたちとともに、さらなる高みへと挑み続けます。


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