井口卓人がシリーズチャンピオンを獲得 レースは中山雄一が逆転勝利で初優勝を飾る

  • 開催場所:富士スピードウェイ
  • 開催日:2023年11月25日(土) 〜 2023年11月26日(日)
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2023 第7戦 プロフェッショナルシリーズ

新型のトヨタGR86とスバルBRZが導入されて2シーズン目を迎え、ここまで大激戦を繰り広げてきた、GR86/BRZ Cupの最終戦は11月25〜26日に、静岡県の富士スピードウェイで開催された。国内最長のストレートからフルブレーキングを要する1コーナーを備えるセクター1、続くセクター2は高速コーナーが続く一方で、セクター3はまるで峠道のようなテクニカル区間という、昔の超高速レイアウトとは好対照な、一癖も二癖も持つコースが舞台である。

最終戦にチャンピオン候補として臨んだのは、#88井口卓人(ブリヂストン)と#7堤優威(ブリヂストン)、そして#10菅波冬悟(DL)の3人。金曜日の専有走行では菅波が5番手で、堤が7番手、井口が12番手だった。トップは#123松井孝允(DL)の2分1秒055。しかし専有走行の結果がそのまま予選につながらないのが、GR86/BRZ Cupのジンクスだ。
今回のエントリーは今季最多41台となり、そのうち27台がPOTENZARE-09Dを装着する。

●予選
金曜日までは穏やかな天候だったものの、予選が行われた土曜日からは冬の気配が漂い始めた。温度も下がって、冷たい空気はエンジンを気持ちよく回したものの、問題は著しく下がった路面温度だった。舗装されたランオフエリアが広い富士だけに、赤旗が出されたり、途中で唐突にダスティになったりすることは少ないため、アタックを前半に行うドライバー、後半に行うドライバーが明確に分かれていた。
前半にアタックしたドライバーのなかでトップに立ったのは、#80伊東黎明(DL)で、2分0秒100をマーク。レコードタイムを大幅に更新する。これに続いたのが堤だった。後半アタックのドライバーで、このふたりの間に割って入ったのが、2分0秒105を記録した#18中山雄一(ブリヂストン)と2分1秒106を記録した#38坪井翔(ブリヂストン)だった。
その結果、中山がブリヂストン勢の最上位となり、堤は4番手に。これに対して、菅波こそ5番手だったものの、井口はトップからわずかコンマ5秒遅れながら、17番手という結果になり王座獲得に黄信号が点ってしまう。
なお、6番手には#31青木孝行(ブリヂストン)が、8番手には#199平良響(ブリヂストン)が、そして10番手には#121蒲生尚弥(ブリヂストン)がつけていた。

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●予選2番手を獲得した#18中山雄一のコメント
「フロントロー、そしてブリヂストンユーザーの中では一番速かったので、良かったです。寒くなることを見越して、計測2周目からのアタックをテストしていたのが、うまくいきました。予選後半に出て行ったので、前半にアタックしたドライバーが、どのようにタイヤを温めて、どれくらいのタイムを出しているかを見られたのも良かったですね。2周目からアタックしているドライバーもいたので、アウトラップと計測1周目に入念にタイヤを温めて、計測2周目にすべてを集約するというイメージでアタックしました。タイヤだけでなく、僕自身も富士でのロングランには自信があるので、ブリヂストンの強みをしっかりと活かして、決勝レースも頑張りたいと思います」

●決勝
日曜日は、引き続き冷え込むとの予報とは裏腹に、好天に恵まれたばかりか温度も上昇して絶好のレース日和となった。フロントローからスタートを切る中山が、どんなダッシュを決めるか、さらにチャンピオンの行方が注目された。
そのスタートでは中山が鋭いダッシュを決め、ポールシッターと並んで1コーナーに飛び込むも、ブレーキ合戦の末にロックさせて、若干ではあるがオーバーシュートしてしまう。それより不運だったのはポールシッターだった。4番グリッドスタートの堤と接触してスピンアウト。コントロールを失ったところへ後続車両が飛び込み、あえなくリタイアとなってしまう。そして、その混乱の中でマシンを止めたドライバーの中には井口の姿が。これで悲願の王座獲得に赤信号が点ったかと思われた。
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このアクシデントにより、セーフティカー(SC)が出され、間もなく赤旗となる。この混乱を巧みに回避してトップに立っていたのが青木で、堤が2番手。そして中山は3番手で戦線に復帰していた。
しばしの中断の後、SCスタートでレースは再開され、1周の先導でリスタートが切られる。今度はスムーズに1コーナーを全車クリアしていき、青木と堤、そして中山がポジションをキープする。間もなく堤に対してドライビングスルーの指示が。1コーナーでの接触に対するペナルティだ。6周目にピットイン、堤は大きく順位を落とす。
これで2番手に中山が順位を戻し、3番手は#34佐々木雅弘(ブリヂストン)、坪井が続いて、最初のスタートで混乱を巧みに回避した#293岡本大地(ブリヂストン)が5番手に。佐々木、坪井、岡本が、青木と中山のトップ2台にプレッシャーをかけ始める。しばらく均衡状態を保っていたレースは、最終ラップになっていきなり動く。まずは100Rで中山が青木のインを刺し、ヘアピンの立ち上がりでトップに浮上!
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さらに7周目に坪井をかわしてポジションを上げていた岡本も佐々木を抜いて3番手に。上位のつば迫り合いは最後まで続くも、からくも逃げ切った中山がGR86/BRZ Cupの初優勝を飾った。
2位は青木、3位は岡本、さらに佐々木、坪井、蒲生、久保凜太郎(ブリヂストン)の順でPOTENZA RE-09Dユーザーが上位を独占することとなった。
そして25位でチェッカーを受けた堤が井口を上回るポイントを獲得できなかったことで、井口が悲願の2023シーズンのシリーズチャンピオンを獲得した。
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●第7戦ブロフェッショナルシリーズ決勝レースで、優勝した#18中山雄一(ブリヂストン)のコメント
「スタートダッシュがうまくいって横に並びかけることができて、ブレーキング勝負になったのですが、結果的には止まり切れなかった。ただ、その後に混乱が起きても3番手で戻ってこられて、そこは良かったと思います。赤旗再開後は前の選手がドライビングスルーでいなくなったので、結果的に2番手に繰り上がり、トップはどこが弱いのか見つけつつ狙っていました。ただ後ろのペースも良かったので、自分も攻められる展開でしたが、なんとかブロックできて。最終ラップまで僕はグリップが残っていましたが、トップはかなりプッシュしていたのがわかっていたので、僕は温存できていたメリットをうまく使って、100Rで抜くことができました。決勝の強さは86レースを始めた時からありましたが予選が課題で、でも今回は予選とスタートの両方ともが決まって、その後の展開は自分にも味方をしてくれましたし、自分やタイヤの強みを活かせて戦えました。今年は毎戦、課題をクリアしてひとつひとつ積み上げられて、最後に優勝できたので、すごくいいシーズンになりました。チームにもすごく感謝しています」



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●2023プロフェッショナルシリーズチャンピオンを獲得した#88井口卓人(ブリヂストン)のコメント
「POTENZA RE-09Dの状況に左右されない高いグリップ性能というアドバンテージがあったおかげで、5月の開幕戦から11月の最終戦まで、常に安定したパフォーマンスで走ることができました。また、RE-09Dの優れたロング性能によって、決勝でもポジションを上げて、上位でチェッカーを受けることができました。そこでポイントを積み重ねることができたことが、最終的にシリーズタイトルに繋がってきたと思います。今年は、チーム運営に携わりながら、毎戦チームと一緒に結果を出してきたので、ドライバーをやっている以上にいい経験ができて、とても充実したシーズンでした。応援ありがとうございました。」




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レース公式WEB: https://toyotagazooracing.com/jp/86brz/
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タイヤ製品情報: https://tire.bridgestone.co.jp/potenza/re09d/

レース結果

コース:富士スピードウェイ

[Professional Series]

決勝

  • 開催日:2023/11/26
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:40
  • 完走:37
  • (4.563km x 10laps = 45.63km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 18 中山 雄一 BS Bridgestone IBARAKI TOYOPET GR86 10 40'35.979
2 31 青木 孝行 BS Bridgestone ケーエムエス フェニックスGR86 10 40'36.396
3 293 岡本 大地 BS Bridgestone BRMトヨタカローラ高知GR86 10 40'37.167
4 34 佐々木 雅弘 BS Bridgestone 小倉クラッチ REVO BS GR86 10 40'37.625
5 38 坪井 翔 BS Bridgestone MYCARS/SD-STYLE GR86 10 40'37.967
6 121 蒲生 尚弥 BS Bridgestone tomicaネッツ兵庫 GR86 10 40'38.280
7 87 久保 凜太郎 BS Bridgestone 千葉スバル BS BRZ 10 40'41.069
8 10 菅波 冬悟 DL OTG TN滋賀 GR86 10 40'42.034
9 98 元嶋 佑弥 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 10 40'43.569
10 199 平良 響 BS Bridgestone COROLLA MIE GR86 10 40'43.949
11 1 冨林 勇佑 DL エアバスターEXEDY DL GR86 10 40'43.964
12 60 小河 諒 DL OTG DL GR86 10 40'45.237
13 3 一条 拳吾 BS Bridgestone KIMI GR86 10 40'45.498
14 556 呉 良亮 DL 86RACER' SIDI GR86 10 40'48.089
15 17 奥本 隼士 BS Bridgestone AT K-one Racing GR86 10 40'48.562
16 700 地頭所 光 BS Bridgestone Wrigson/カバナ GR86 10 40'50.481
17 11 脇阪 寿一 BS Bridgestone 奏の森 Resorts BS GR86 10 40'50.996
18 56 鶴賀 義幸 BS Bridgestone 栃木トヨタT2FACTRY BS GR86 10 40'51.507
19 910 坂 裕之 DL MプランニングDLエンドレスGR86 10 40'53.315
20 70 服部 尚貴 DL OTG DL GR86 10 40'54.052
21 112 石森 聖生 BS Bridgestone 奏の森 Resorts GR86 10 40'54.931
22 340 三宅 淳詞 NE 4MINUTES GR86 10 40'58.887
23 114 翁長 実希 DL RSS DUNLOP GR86 10 41'01.114
24 909 小暮 卓史 DL RECARO DL BRZ 10 41'02.008
25 7 堤 優威 BS Bridgestone CABANA BS GR86 10 41'03.121
26 186 勝木 崇文 DL Star5 DL ダイシン 86 10 41'03.132
27 12 銘苅 翼 BS Bridgestone こばんにゃんねるGR86 10 41'04.617
28 160 吉田 広樹 BS Bridgestone 埼玉トヨペットGB BS GR86 10 41'05.316
29 76 森川 基雄 BS Bridgestone ウィニング制動屋 NTC GR86 10 41'09.809
30 225 小山 美姫 BS Bridgestone KTMS TGR-DC GR86 10 41'10.178
31 5 井上 尚志 BS Bridgestone レストアパーツBSまんさくGR86 10 41'10.840
32 770 山田 遼 BS Bridgestone HYPERWATER/カバナ GR86 10 41'11.578
33 55 鎌倉 裕貴 BS Bridgestone Ys PRODUCE GR86 10 41'13.215
34 62 加藤 潤平 BS Bridgestone ATRACT/K 高砂エアテックキーステージ21 BRZ 10 41'13.685
35 550 宗藤 昌太朗 DL 名神タイヤGR86 10 41'14.628
36 8 渡辺 圭一 BS Bridgestone JCS GR 浦和美園 GR86 10 41'29.372
37 120 甲野 将哉 BS Bridgestone こばんにゃんねるGR86 8 37'08.213
- 80 伊東 黎明 DL OTG DL GR86 0 DNF
- 123 松井 孝允 DL NETZ富山Racing GR86 0 DNF
- 88 井口 卓人 BS Bridgestone 東京スバル BS BRZ 0 DNF
[Professional Series]

予選

  • 開催日:2023/11/25
  • 天候:Cloudy
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:40
  • (4.563km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 80 伊東 黎明 DL OTG DL GR86 4 2'00.100
2 18 中山 雄一 BS Bridgestone IBARAKI TOYOPET GR86 3 2'00.105
3 38 坪井 翔 BS Bridgestone MYCARS/SD-STYLE GR86 3 2'00.106
4 7 堤 優威 BS Bridgestone CABANA BS GR86 2 2'00.141
5 10 菅波 冬悟 DL OTG TN滋賀 GR86 3 2'00.186
6 31 青木 孝行 BS Bridgestone ケーエムエス フェニックスGR86 4 2'00.304
7 1 冨林 勇佑 DL エアバスターEXEDY DL GR86 3 2'00.314
8 199 平良 響 BS Bridgestone COROLLA MIE GR86 3 2'00.362
9 123 松井 孝允 DL NETZ富山Racing GR86 4 2'00.394
10 121 蒲生 尚弥 BS Bridgestone tomicaネッツ兵庫 GR86 3 2'00.424
11 293 岡本 大地 BS Bridgestone BRMトヨタカローラ高知GR86 3 2'00.442
12 34 佐々木 雅弘 BS Bridgestone 小倉クラッチ REVO BS GR86 5 2'00.471
13 87 久保 凜太郎 BS Bridgestone 千葉スバル BS BRZ 3 2'00.497
14 160 吉田 広樹 BS Bridgestone 埼玉トヨペットGB BS GR86 4 2'00.503
15 770 山田 遼 BS Bridgestone HYPERWATER/カバナ GR86 3 2'00.593
16 98 元嶋 佑弥 BS Bridgestone 神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 4 2'00.648
17 88 井口 卓人 BS Bridgestone 東京スバル BS BRZ 3 2'00.680
18 556 呉 良亮 DL 86RACER' SIDI GR86 5 2'00.849
19 60 小河 諒 DL OTG DL GR86 4 2'00.868
20 3 一条 拳吾 BS Bridgestone KIMI GR86 3 2'00.883
21 17 奥本 隼士 BS Bridgestone AT K-one Racing GR86 4 2'00.913
22 910 坂 裕之 DL MプランニングDLエンドレスGR86 3 2'00.930
23 56 鶴賀 義幸 BS Bridgestone 栃木トヨタT2FACTRY BS GR86 5 2'00.985
24 11 脇阪 寿一 BS Bridgestone 奏の森 Resorts BS GR86 3 2'00.991
25 114 翁長 実希 DL RSS DUNLOP GR86 4 2'01.078
26 340 三宅 淳詞 NE 4MINUTES GR86 4 2'01.108
27 225 小山 美姫 BS Bridgestone KTMS TGR-DC GR86 4 2'01.109
28 70 服部 尚貴 DL OTG DL GR86 5 2'01.248
29 550 宗藤 昌太朗 DL 名神タイヤGR86 4 2'01.360
30 700 地頭所 光 BS Bridgestone Wrigson/カバナ GR86 4 2'01.395
31 909 小暮 卓史 DL RECARO DL BRZ 4 2'01.463
32 186 勝木 崇文 DL Star5 DL ダイシン 86 3 2'01.482
33 62 加藤 潤平 BS Bridgestone ATRACT/K 高砂エアテックキーステージ21 BRZ 3 2'01.535
34 112 石森 聖生 BS Bridgestone 奏の森 Resorts GR86 3 2'01.577
35 120 甲野 将哉 BS Bridgestone こばんにゃんねるGR86 4 2'01.617
36 12 銘苅 翼 BS Bridgestone こばんにゃんねるGR86 5 2'01.628
37 76 森川 基雄 BS Bridgestone ウィニング制動屋 NTC GR86 4 2'01.763
38 5 井上 尚志 BS Bridgestone レストアパーツBSまんさくGR86 4 2'02.015
39 55 鎌倉 裕貴 BS Bridgestone Ys PRODUCE GR86 5 2'02.323
40 8 渡辺 圭一 BS Bridgestone JCS GR 浦和美園 GR86 4 2'03.163