井尻が最多勝更新で有終の美。チャンピオンは中島が獲得!
- 開催場所:筑波サーキット
- 開催日:2024年10月27日(日) 〜 2024年10月27日(日)
茨城県の筑波サーキットで10月27日、ロードスター・パーティレースⅢ 東日本シリーズの今季最終となる第4戦が開催。
さらにこの日をもって、3代目ロードスターによるNCシリーズのバトルに幕が降りることになった。
その最後の戦いで輝いたのは、やはり井尻 薫。予選から圧倒的なパフォーマンスを披露し、自身の持つ記録更新となる21勝目で締め括った。
なおチャンピオンは中島優太が獲得している。
2006年に始まったNCシリーズは今回が最後のレースで、19年の歴史に幕を閉じることになった。
エントリーは10台。朝一番のブリーフィングではマツダのブランド体験推進本部・ファクトリーモータースポーツ推進部の小早川隆浩さんが、
「NCは今回で最後となりましたが、すべての参戦ドライバーに心から御礼申し上げます」と感謝を述べられた。
9時の段階での気象条件は気温19.3℃・湿度82%・路面温度24.8℃。公式予選は9時25分から15分間で行われた。
●予選
コースオープンと同時に8台のマシンは出ていったが、ランキングトップの195号車・中島優太とスーパー耐久でも活躍している86号車・井尻 薫の2台は、ライバルのアタックを見定めるためか、ピットで待機に入った。走り出した中で最速だったのは163号車の石浜一樹で、タイムは1分9秒943。
それ以外の7台は1分10秒を切れないまま予選時間も半ばとなり、一度ピットに戻る車両が現れても、まだ中島と井尻は動かない。
そして、最初に動いたのは中島。ゆっくりとピットアウトして、かなりのスローペースでウォーミングアップ。
もしかすると井尻のアタックを追走してという作戦だったのかもしれないが、井尻は中島が2周したあたりで、ようやくコースイン。
もう残りは4分で、アタックできるのは2ラップまでという大詰めだった。
しかしながら井尻は、計測1周目のすべてのセクターで全体ベストを刻んで1分9秒359を記録。
これでポールを確信し、クールダウンしてパドックにマシンを戻した。
一方で中島のタイムは思うように伸びなかった。結局、1分10秒270で5番手に沈むことに。
井尻が第2戦を欠場しているため、中島は無事に完走さえすればチャンピオンが獲得できる状況だが、それにしてもこの順位では喜びも半減することは確実。
本人も不本意だったに違いない。井尻に続く2番グリッドは前述のタイムで石浜が獲得。
以下は前戦で3位表彰台を獲得した166号車の荒川智弘が1分10秒072、歴代チャンピオンのひとりである7号車の佐久間行雄が1分10秒103と僅差で続いた。
●決勝
NDクラブマンの決勝レースが終わると、すぐにNCシリーズのスタート進行に移った。
10台のマシンがグリッドに並び、記念すべき最後の決勝レースが12時52分に始まった。
ポールポジションからスタートした井尻は1周目から後続を引き離しにかかり、2周目に突入した時点で2番手と1.2秒のギャップを築く。
その後も4周目に2.0秒、6周目には2.5秒、8周目には3.1秒と周回するごとにリードを拡げていった。
さらに石浜が単独で2番手を走る展開になったが、その後方の3位を争う集団のバトルがこのレースのハイライトになった。
まずは4番グリッドの佐久間がスタートダッシュで荒川をパッシング。
さらに1周目のバックストレートで中島も荒川のインサイドにノーズをこじ入れて、最終コーナーまでに横並びに持ち込んで逆転。
そして予選では7位だった62号車の松浦俊一もこの日は輝いた。
スタートで1台を抜いた後、2周目のダンロップで荒川がわずかに膨らんだのを見逃さず、第2ヘアピンでインに飛び込んで前に出た。
ここでバトルは一度落ち着くのだが、最初は佐久間と中島、松浦の3台だった3位争いの集団が、周回を重ねるごとに増えていった。
残り5ラップとなる10周目には一度は離された荒川も追い付くどころか、48号車の藤澤卓也と13号車の横溝正明も加わって6台がダンゴ状態に。
さらに104号車の内海由多加も視界の中にこの集団を捉えはじめていた。ここで元気がよかったのは横溝で、何度も藤澤にサイドbyサイドまで仕掛けるが、藤澤も譲らなかった。
局面が動いたのが12周目の1コーナーだった。中島がアウト側から佐久間に並びかけて並走状態に持ち込むと、S字の先の第1ヘアピンでイン側の中島が先行して3位の座が逆転した。
さらにファイナルラップの1コーナーも見応えがあった。まずは松浦が佐久間のイン側から横並びに持ち込み、その後の立ち上がり加速で上回って第1ヘアピンまでに先行。
また横溝は逆に藤澤のアウト側から1コーナーを上手に回り込むと、ついに前に出ることに成功した。
こうした順位変動が接触なしで終わったのは、まさにNCの最後を飾るレースに相応しい。
最後にチェッカーを受けた64号車の古田健二を含めて、10名のNCファイターたちには心から賛辞を送りたい。
改めて整理すると、最後はペースをコントロールした井尻が先頭でチェッカー。
石浜も前戦の4位を上回る自己最高の2位でポディウムに初登壇。3位の座には中島が立ってチャンピオン獲得に花を添えた。
また今回のNCシリーズは出走10台のため、4位の松浦と5位の佐久間までが入賞となった。
優勝した井尻選手コメント
「前戦では中島選手に抜かれてしまったので、今回はしっかりスタートを決めて、その後も気を引き締めました。最終戦で優勝できたことは嬉しいです。NCはアライメントの幅が広く、今でもベストのセットで走れているか分かりません。間違いなく自分のスキルを上げてくれました」とコメントした。
シリーズチャンピオンの中島選手コメント
「最終年にタイトルを取れたことは誇りに思います。2年前は最終戦で2位に入ればチャンピオン獲得という状況で落としています。それを引きずっていたのですが、やっと乗り越えられました。ただ今日はバランスも含めて上手くいかず、万全で臨めなかったのは悔しかったです」
冒頭でも触れたが、この最後の戦いの舞台で井尻はNCシリーズで21勝目となり、自らの持つ最多勝記録を更新。
また佐久間はこの日、NB時代を含めて通算の最多出場回数を87戦まで更新している。
正式表彰式では各クラスの入賞者にトロフィーなどが授与されたあと、小早川さんよりマツダとMAZDA SPIRIT RACING代表からの感謝状が出場者全員に贈られた。
さらに筑波サーキットのホームストレートに10台のNCマシンが並べられ、ファイナルを戦った10名のパーティレーサーたちとの記念撮影に臨んだ。
今年のパーティレースも残すのは2ラウンドのみとなった。
まずは11月9日の土曜日に、ジャパンツアーシリーズの第7戦が西日本シリーズの第4戦とダブルタイトルで、岡山国際サーキットにて開催される。
さらに12月8日の日曜日に大分県のオートポリスで、ジャパンツアーシリーズの今季最終となる第8戦が予定されている。
決勝
- 開催日:2024/10/27
- 天候:Cloudy
- 路面:Dry
- 決勝出走:10
- 完走:10
- (2.045km x 15laps = 30.675km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 86 | 井尻 薫 | BS | e-Jan ロードスター | 15 | 17'46.083 | ||||||
2 | 163 | 石浜 一樹 | BS | ELEVレーシングロードスター | 15 | 17'50.813 | ||||||
3 | 195 | 中島 優太 | BS | TCR ロードスター | 15 | 17'59.633 | ||||||
4 | 62 | 松浦 俊一 | BS | 小原笑店レーシングロードスター | 15 | 18'03.660 | ||||||
5 | 7 | 佐久間 行雄 | BS | TCR012ロードスター | 15 | 18'04.378 | ||||||
6 | 166 | 荒川 智弘 | BS | つなぎてプロセスロードスター | 15 | 18'04.630 | ||||||
7 | 13 | 横溝 正明 | BS | カスターDOロードスター | 15 | 18'05.123 | ||||||
8 | 48 | 藤澤 卓也 | BS | ロードスター | 15 | 18'05.493 | ||||||
9 | 104 | 内海 由多加 | BS | おりこう堂ロードスター | 15 | 18'09.617 | ||||||
10 | 64 | 古田 健二 | BS | グラシアエセナリ・ロードスター | 15 | 18'30.896 |