seven x seven PORSCHE GT3Rが開幕戦に続き2連勝を飾る

  • 開催場所:鈴鹿サーキット
  • 開催日:2025年04月27日(日) 〜 2025年04月27日(日)
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鈴鹿サーキットで開催されたスーパー耐久第2戦は、お休みクラスであるST-TCRとST-2クラスを除く計8クラス52台が出走した。レースウィークを通して終始天候に恵まれ、ドライコンディションの中レースがスタートした。
レース序盤から中盤にかけて、FCYが合計8回導入されるといった波乱の展開の中、トップクラスであるST-Xでは熾烈なバトルが繰り広げられた。レース中盤から徐々にポジションを上げてきた#666 seven x seven PORSCHE GT3Rが総合優勝を果たし、開幕戦に続いて2連勝を飾った。
本レポートでは、そんなST-Xクラスのバトルをデータから振り返ってみようと思う。5時間にわたる耐久レースを、各チームはどのような戦略で戦ったのか、どの瞬間にレースが動いたのかを紐解いていこう。

stint_ST-X.png まずは各チームの順位とドライバー戦略を見てみよう。S耐ではアマチュアドライバーであるAドライバーと、プロドライバーをどのタイミングで起用するかによって結果に大きく影響する。レギュレーションでAドライバーの5時間レースにおける最低義務周回数(時間)は25%と決められている。今大会の場合、最終的な周回数は126周であったため最低義務周回数は31周だ。
 まず、ポールポジションスタートの#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3はAドライバーであるLee Jeffreyが1stスティントを務めた。スタートからできる限りトップをキープして後半につなげるという戦略だろう。非常にテクニカルでオーバーテイクが難しいとされる鈴鹿サーキットのレースにおいては堅実な戦略と言えるだろう。Lee Jeffreyは最低周回数である31周を終え、CドライバーのJayden OJEDAに交代した。FCYが無ければ規程周回数を満たせなかったのではないだろうか…
対してその他のチームはBドライバー、Cドライバーが1stスティントを務めた。レース序盤でポジションアップした後でAドライバーに交代し、中盤からチェッカーにかけてプロドライバーで戦うという戦略が読み取れる。これらのチームにとっては、いかに早く前に出て後続に差をつけられるかが重要なポイントとなる。
そして2ndスティントでは、#666 even x seven PORSCHE GT3R、#777 D'station Vantage GT3、#23 TKRI松永建設AMG GT3、#31 DENSO LEXUS RC F GT3の4チームがAドライバー同士のバトルとなった。バトルの結果はこの後タイムチャートを見ながら考察していきたい。
3rdスティント以降は多くのチームがプロドライバーへ交代。#111 Hitotsuyama Audi R8 LMSはここでAドライバーである鈴木建自を起用した。
そして最後の4thスティントは全車プロドライバー同士によるバトルとなった。

GapsInClass_sec_ST-X.png
 各チームの戦略を推測ところで、早速レースの状況変化を見ていこう。上のチャートは、トップチームからのタイムギャップを示している。(なお、2分以上のデータは除外)
 まず注目すべきは1stスティントにおける変化だ。ポールポジションからスタートした#33 Lee Jeffreyは1周目で4番手に後退、その後#23 奥本隼士と#101 小川颯太にもパスされた。ここは1stスティントにプロドライバーを起用した各チームが、その狙いを果たした結果となった。代わりにトップに出たのは#31 小林利徠斗だ。#777 藤井誠暢と#666 藤波清斗がその後に続いた。しばらくは10秒以内に5台がいる状況が続き、僅差のまま2ndスティントへ。
 2ndスティントは、#23 DAISUKE、#31 永井宏明、#666 BANKCY 、#777 星野敏のAドライバー対決が繰り広げられた。トップでバトンを受け取った#777 星野敏はその順位をキープしたものの、後半で#666 BANKCYが追い上げ、その差はおよそ15秒に。BANKCYは良い流れをキープしたままCドライバーの近藤翼へ繋いだ。#31 永井宏明もトラブルによるピットストップで一時トップから1分40秒差まで広がってしまったが、20秒縮めて1分20秒差で再び小林利徠斗へ。
 また、1stスティントで順位を落とした#33はCドライバーのJayden OJEDAが怒涛の追い上げを見せた。3番手までポジションを上げ、Bドライバーの太田格之進へと繋いだ。
 3rdスティントでは、#666 近藤翼が交代後まもなく#777 上村優太をパスしてトップに浮上。ライバルチームとの差をじわじわ広げ、最終4thスティントを担当する藤波清斗へ。終盤に#33 Jayden OJEDAが追い上げたものの、藤波がそのまま逃げ切りトップチェッカーを受けた。

LastLapTime_sec_ST-X.png
 続いて、ラップタイムチャートを見てみよう。本来は生データで比較するべきところだが、スーパー耐久は様々な車種が混走するためトラフィックが多く、ラップタイムが大きく振れるため非常にノイジーである。加えて周回数も多いため、生データのままでは非常に見にくい。そこで、ここではFCYやピットストップ等による大幅なタイムダウンがあるラップのデータは除外した上で、10ラップの移動平均タイムで比較してみる。こうすることで、ラップタイムの振れが小さくなり、おおよそのラップタイムの傾向を把握することが可能となる。
 まずはAドライバーとプロドライバーとの差を見てみよう。Aドライバーは幅があるもののおよそ2'09"前後で、プロドライバーはおよそ2'05"前後でタイムが推移しており、その差は1周あたりおよそ4秒。一般人からするとAドライバーのタイムはとてつもなく速いのに、それより4秒も速いプロドライバーは異次元ともいえる。
 さて、2ndスティントで追い上げを見せた#666 BANKCYだが、なんと終盤はプロドライバーと同等レベルの2'06"台までタイムを上げてきており、Aドライバーの中でも頭一つ抜きん出ている。BANKCYからバトンを受け取った近藤翼も全体最速のペースでラップを刻んだ。1stスティントと最終スティントを担当した藤波清斗も、最後まで安定感のあるラップタイムでライバルチームによる追い上げを許さなかった。
#666のチーム戦略、そして3人の速さと安定感で勝ち取った総合優勝であった。

さて、今回データからレースを振り返ってみたが、いかがだっただろうか。
スーパー耐久はYouTubeのLive配信に加えて、タイミングモニターでリアルタイムのレース状況を見ることが可能だ。
5時間に及ぶ耐久レースだからこそチームの戦略も様々で、どのチームも勝利に向けていろいろな工夫を凝らしている。データを見ながらチーム戦略を予測し観戦するのも、レースを楽しむ方法の一つである。
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レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-X]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:6
  • (5.807km x 126laps = 731.682km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 666 BANKCY /藤波 清斗/近藤 翼/渡会 太一 BS Bridgestone seven × seven PORSCHE GT3R 126 5:00'27.389
2 33 Lee Jeffrey /太田 格之進/Jayden Ojeda BS Bridgestone Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3 126 5:00'35.316
3 777 星野 敏 /上村 優太/藤井 誠暢 BS Bridgestone D'station Vantage GT3 126 5:01'40.280
4 23 DAISUKE /奥本 隼士/中山 友貴 BS Bridgestone TKRI松永建設AMG GT3 126 5:02'03.045
5 31 永井 宏明 /小林 利徠斗/嵯峨 宏紀 BS Bridgestone DENSO LEXUS RC F GT3 125 5:01'06.093
6 101 鈴木 建自 /小川 颯太/P.ジェームス/猪爪 杏奈 BS Bridgestone Hitotsuyama Audi R8 LMS 124 5:01'33.290

レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-Z]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:12
  • 完走:11
  • (5.807km x 119laps = 691.033km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 52 山﨑 学 /吉田 広樹/服部 尚貴/野中 誠太 BS Bridgestone 埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2 119 5:00'48.860
2 885 HIRO HAYASHI /平中 克幸/国本 雄資/佐野 雄城 BS Bridgestone シェイドレーシング GR SUPRA GT4 EVO2 119 5:01'45.187
3 22 北園 将太 /久保 凜太郎/平安山 良馬 BS Bridgestone EBI GROUP Cayman GT4 RS CS 119 5:02'13.467
4 26 大塚 隆一郎 /富田 竜一郎/篠原 拓朗/荒 聖治 BS Bridgestone raffinee 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4 118 5:00'38.156
5 25 田中 優暉 /松田 次生/名取 鉄平/佐藤 公哉 BS Bridgestone raffinee 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4 118 5:00'51.716
6 21 山脇 大輔 /S.ウォーキンショー/A.ブレッサン/M.サロ BS Bridgestone Hitotsuyama Mercedes-AMG GT4 118 5:01'11.570
7 34 藤井 優紀 /大草 りき/安田 裕信/加納 政樹 BS Bridgestone TECHNO FIRST FUNDINNO R8 LMS GT4 117 5:00'53.417
8 20 松本 貴志 /平峰 一貴/大木 一輝/J.K.トレルイエ BS Bridgestone NANIWA DENSO TEAM IMPUL Z 117 5:02'02.472
9 51 落合 俊之 /箕輪 卓也/白木原 清秀/樋口 紀行 BS Bridgestone WAKAYAMA TOYOTA with HOJUST GR Supra GT4 EVO2 116 5:01'49.983
10 315 HAN LICHAO /DENG YI/WANG HAO/SHI WEI BS Bridgestone PRIME RACING TOYOTA GR SUPRA GT4 115 5:01'26.568
11 5 下垣 和也 /冨田 自然/森田 真心/加藤 正将 BS Bridgestone マッハ車検 GR Supra GT4 EVO2 83 5:02'34.973
- 111 Samuel HSIEH /LEE MARCHY/YAN ANDY BS Bridgestone AMG GT4 42 DNF

レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-Q]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:4
  • 完走:3
  • (5.807km x 112laps = 650.384km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 61 伊藤 和広 /山内 英輝/井口 卓人/花沢 雅史 BS Bridgestone SUBARU High PerformanceX Future Concept 112 5:00'43.151
2 104 大政 和彦 /山下 健太/中山 雄一/河野 駿佑 BS Bridgestone GR Yaris DAT Racing Concept 112 5:01'39.000
3 12 川田 浩史 /堤 優威/関 豊/前田 育男 BS Bridgestone MAZDA SPIRIT RACING RS Future concept 111 5:01'06.649
- 55 寺川 和紘 /井尻 薫/阪口 良平 BS Bridgestone MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept 111 DNF

レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-1]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:2
  • 完走:2
  • (5.807km x 120laps = 696.84km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 2 井田 太陽 /加藤 寛規/高橋 一穂/吉本 大樹 BS Bridgestone シンティアム アップル KTM 120 5:00'58.882
2 47 星野 辰也 /浜 健二/田中 哲也/樺木 大河 BS Bridgestone D'station Porsche 992 120 5:01'55.141

レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-3]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:4
  • 完走:4
  • (5.807km x 115laps = 667.805km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 15 前島 秀司 /長島 正明/銘苅 翼/元嶋 成弥 BS Bridgestone 岡部自動車フェアレディZ34 115 5:02'24.968
2 39 藤田 真哉 /眞田 拓海/伊藤 鷹志 BS Bridgestone エアバスター WINMAX RC350 TWS 114 5:00'39.601
3 38 今井 慎吾 /丸山 陽平/林 智大 BS Bridgestone TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS 112 5:00'40.054
4 16 田中 徹 /清水 啓伸/三宅 淳詞/小松 響 BS Bridgestone 岡部自動車フェアレディZ34 108 5:00'47.442

レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-4]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:9
  • 完走:7
  • (5.807km x 111laps = 644.577km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 66 猪股 京介 /徳升 広平/藤原 優汰 BS Bridgestone odula TONE MOTUL ROADSTER RF 111 5:01'49.320
2 41 石井 宏尚 /冨林 勇佑/尾崎 俊介 BS Bridgestone エナジーハイドロゲン EXEDY GR86 111 5:02'20.727
3 3 坂 裕之 /菅波 冬悟/小河 諒/島谷 篤史 BS Bridgestone ENDLESS GR86 111 5:02'28.447
4 884 影山 正彦 /清水 英志郎/山田 真之亮 BS Bridgestone シェイドレーシング GR86 111 5:02'33.351
5 216 ISHIKEN(石川賢志) /佐々木 孝太/石森 聖生 BS Bridgestone HMRスポーツカー専門店GR86 109 5:02'09.362
6 18 浅野 武夫 /伊藤 慎之典/三上 和美/藤原 大暉 BS Bridgestone WedsSport GR86 105 5:00'55.027
7 60 塩谷 烈州 /大原 佳祐/湊 雅之/梅原 拓臣 BS Bridgestone Zenyaku GR86 105 5:02'48.080
- 290 横尾 優一 /伊藤 大輔/西村 和則/小尾 夏月 BS Bridgestone AutoLabo Racing 67 DNF
- 37 ジョニー 小倉 /大谷 飛雄/山本 龍/野上 敏彦 BS Bridgestone DXLパワーミネラルEVO☆NOPRO☆NCロードスター 28 DNF

レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-5F]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:7
  • 完走:6
  • (5.807km x 103laps = 598.121km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 67 安井 亮平 /内山 慎也/椋本 陵 BS Bridgestone YAMATO FIT 103 5:01'11.238
2 110 松田 利之 /関家 真久/前田 樹 BS Bridgestone ACCESS BRADEN VITZ 103 5:02'03.384
3 17 加藤 芳皓 /谷川 達也/小西 岬 BS Bridgestone DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2 103 5:02'19.540
4 11 面野 一 /大島 良平/三輪 英則/ピストン 西沢 BS Bridgestone SAKAE MOTOR SPORTS FIT 102 5:02'02.669
5 222 竹内 敏記 /墨 真幸/西畑 正樹/伊藤 裕士 BS Bridgestone DURANCE J-net Cars Tokai FIT 102 5:02'24.475
6 821 佐藤 勝博 /川福 健太/上田 浩司/志賀 卓弥 BS Bridgestone アンドリーガル Moty's Fit 99 5:02'00.314
- 4 太田 侑弥 /蘇武 義和/瀬戸 貴巨/HIDEBOO BS Bridgestone THE BRIDE FIT 54 DNF

レース結果

コース:鈴鹿サーキット

[ST-5R]

決勝

  • 開催日:2025/04/27
  • 天候:Fine
  • 路面:Dry
  • 決勝出走:8
  • 完走:6
  • (5.807km x 104laps = 603.928km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 27 杉野 治彦 /古谷 悠河/勝木 崇文 BS Bridgestone Maple Hiroshima MAZDA ROADSTER 104 5:01'39.511
2 76 山本 司 /加藤 潤平/恵木 勇哉/酒井 仁 BS Bridgestone PROGRESS 高砂 ロードスター 104 5:02'59.444
3 65 外園 秋一郎 /伊藤 裕仁/丹羽 英司/平田 剛 BS Bridgestone odula TONE 制動屋 ROADSTER 103 5:01'23.372
4 120 上田 純司 /南澤 拓実/松原 泰世/加藤 達彦 BS Bridgestone 倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 103 5:01'37.049
5 88 村上 博幸 /太田 達也/黒沼 聖那/吉田 総一郎 BS Bridgestone 村上モータースMAZDAロードスター 102 5:02'15.013
6 89 MAKOTO /米川 直宏/岩岡 万梨恵/樋渡 まい BS Bridgestone 村上モータースMAZDAロードスター 101 5:02'15.064
- 50 洪 銘蔚 /伊東 康宏/瀬 イオナ BS Bridgestone LOVEDRIVE ロードスター 67 DNF
- 610 佐藤 元春 /柴田 優作/浅井 康児/山本 謙悟 BS Bridgestone KOSHIDO RACING ロードスター 58 DNF