• 開催場所:スパ-フランコルシャン
  • 開催日:2023年06月17日(土) 〜 2023年06月18日(日)
【2023 FIM 世界耐久ロードレース選手権 EWC】Rd.2 スパ24時間 トラブルを乗り越えてYART YAMAHA Official EWC Teamが優勝!

2023年シーズンのFIM 世界耐久ロードレース選手権 EWC 第2戦の舞台はベルギー スパ・フランコルシャンで開催されるスパ24時間。
昨年からEWCのレーススケジュールに復帰し、全長6.985kmは世界でも有数のロングコース。また山中に位置するとあって、高低差104mとアップダウンが激しく、2~4コーナーとなるオー・ルージュ~ラディオンは超高速のS字セクション+急激な登りはスパ・フランコルシャンの特徴的な名物セクション。
SPA_1.jpgまた天候が変わり易く、「スパウェザー」と呼ばれる不安定な気象状況と、コース長が長い事も相まって一部だけ雨が降り、その箇所だけ路面が濡れているといった状況はもライダー達を大いに苦しめる。
今大会では通常2日かけて行われる走行スケジュールを、フリー走行時間の短縮などの変更と2回の予選を1日で行うとしたタイトなスケジュールで設定されている。
水曜日には特別フリー走行枠がほぼ1日設けられ、ほとんどの参戦チームがこの走行に参加。ブリヂストンがサポートする3チーム、#1 F.C.C. TSR Honda France (Ho)、#7 YART Yamaha Official EWC Team (Ya)、#12 YOSHIMURA SERT MOTUL (Su)も走行を行い、36チームが参加したこの走行で上位を占めた。

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公式スケジュールが開始となる6/16(金)は午前中に1時間のフリー走行が行われ、#7 YART Yamahaがトップタイムを記録。2番手に#12 YOSHIMURA SERT、#1 F.C.C. TSRは4番手となり、この後に行われる予選に向けて好調な滑り出しを見せた。
現地時間の正午から行われる予定だった予選1回目は、10分遅れで走行が開始。ここまでのフリー走行前セッションでトップタイムを記録していた#7 YART Yamaha Official EWC Teamは、3人のライダー全員が2分19秒台と各腕章ライダーのセッション全てでトップタイム。チーム内の速いライダー2名の平均タイムで順位が決まる予選。この時点で平均タイムは2’19.251で暫定トップとなる。2番手は2’20.308で#1 F.C.C. TSR Honda France。3番手に2’20.388で#12 YOSHIMURA SERT MOTULとなり、ブリヂストン勢が1-2-3位を独占となる。
予選2回目がスタートする15;15には気温・路面温度がさらに上昇し、ラップタイムの更新は難しくなってきた。
SPA_2.jpg暫定トップの#7 YART Yamahaは無理にタイムを出しに行く走行は控えている模様。この状況下でもタイムを更新してきたのは昨年のスパ24時間の覇者である#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM (BMW, DL)。ライダー3人中、2人が予選1回目のタイムを更新し、総合でも2番手まで浮上。#12 YOSHIMURA SERTも2人目のS. GUINTOLIがタイムを更新するが、総合では3番手となる。予選1回目では暫定2位となっていた#1 F.C.C. TSR Honda Franceはタイム更新はならず、総合4番手で予選は終了した。

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24時間レース決勝スタートとなる土曜日は好天に恵まれ、気温27℃、路面温度46℃と汗ばむ陽気の中、現地時間14:00にルマン式スタートで決勝の火蓋が切られた。
抜群のスタートでホールショットを獲ったのは3番手スタートの#12 YOSHIMURA SERT MOTUL。次いで4番手からスタートした#1 F.C.C. TSR Honda Franceが続き、ポールスターとの#7 YART Yamaha Official EWC Teamはスタートで出遅れ、8番手辺りで1コーナーをクリアしていく。
レース序盤でBS勢の3台はトップグループを形成するが1時間も経たない頃からセーフティーカーが介入する。数分後に解除となるが、序盤は転倒者やマシントラブルでオイルがコース上に撒かれ、処理に時間が掛かる事で、複数回セーフ―ティーカーが入る状況が6時間経過辺りまで続いた。
レースは#1 F.C.C. TSR Honda Franceがトップを走行。1スティントの周回数がYOSHIMURA SERT MOTULやYART Yamahaより2-3周多く、時間と共にピットインのタイミングが違う事で、順位の変化はピットイン次第となり、YOSHIMURA SERT MOTULとYART Yamahaをジリジリと引き離していく。SPA_3.jpgこの中で最初に遅れ始めたのは#12 YOSHIMURA SERT MOTUL。6時間が経過する頃、ピットアウト時に何かトラブルが発生し、ピットボックス内で修復。この影響で上位2台から1周ほどの遅れをとってしまう。
その後はF.C.C. TSR HondaとYART Yamahaのトップ争いとなるが、セーフティーカーの介入が何度か有り、ピットインのタイミングも違う事も影響して、何度かトップが入れ替わる。
夜間の走行に入っても状況は変わらず、#1 F.C.C. TSR Honda France、#7 YART Yamaha Official EWC Team、上位2台から1周遅れで#12 YOSHIMURA SERT MOTULと3台のBS勢が1-2-3位を独占し周回を重ねる。

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トップを争う2台に変化が出たのは14時間が経過した頃。YART Yamahaがピットインの際にフロントタイヤ交換で不具合が出た為、予定外のブレーキキャリパー交換を実施。この作業でタイムをロスし、F.C.C. TSR Hondaがトップに。YART Yamahaは約30秒のピットロスで今度は15秒ほどの差でトップを追う展開に変わった。
2台のトップ争いは一定間隔を保った状態で周回。夜が明けて周囲が明るくなってきた頃、2台の順位が入れ替わり、ピットインのタイミング違いで付かず離れずの展開に。その後は徐々に差が広がり始めるが、1分以上の差となる事は無く、何かあれば順位が変動するほどの差でしかない。SPA_4.jpgこのトップ争いに変化があったのは残り7時間を切った頃。2位を走行する#1 F.C.C. TSR Honda Franceにトラブルが発生。ピット作業に5分ほど掛けて修復しコースに復帰するが、トップYART Yamahaとの差は2周に広がってしまい、3位のYOSHIMURA SERT MOTULの後方、1周遅れの3位にまで後退。その後方を走る#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMは1周の差があるが、まだ先が読めない展開。
各チームはトラブル発生には気を使いながら時間を消化。BS勢の1-2-3で周回を重ねゴールを目指していたが、残り3時間半となった頃に#12 YOSHIMURA SERT MOTULが予定外のピットインでマシンをピットボックスに入る。メカニックの修復作業でコースへ戻るが、#37 BMWの2周後方でのレース復帰となってしまった。
レースも終盤となり、残り1時間となったあたりでは雨雲が接近。ポツポツと雨が降り始める。コース上を濡らすほど雨は強く無いが、トップのYART Yamaha Official EWC Teamは慎重に走行。2位のF.C.C. TSR Honda France、J.HOOKはYART Yamahaより10~15秒ほど速いラップタイムで周回し、2台の差は2周以上あった差が1周遅れまで詰まってきた。このままの状況が続けばラップタイムの差から最後は逆転する可能性もあったが、雨はそれ以上降らず、2台は1周の差のまま周回。SPA_5.jpgいくつかのトラブルを乗り越え、長い24時間のレースを572周走破した#7 YART Yamaha Official EWC Teamがトップでチェッカーを受け、2020年のエストリル12時間以来、3年振りの優勝!
2位に#1 F.C.C. TSR Honda Franceが入り、ブリヂストンサポートチームは前戦のルマン24時間に続き、2戦連続で1-2フィニッシュを達成した。
3位に#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが入賞。#12 YOSHIMURA SERT MOTULは4位でゴールした。

スパ24時間でYART Yamaha Official EWC Teamはトータル64ポイントを獲得し、合計118ポイントでシリーズランキングトップ。前戦のルマンで優勝、今大会2位のF.C.C. TSR Honda Franceが117ポイントでランキングは2位へ。4位でゴールしたYOSHIMURA SERT MOTULは66ポイントでランキング4位となった。

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◆YART - YAMAHA代表 Mandy Kainz
「言葉が見つかりません。これまで何度もここに近づきましたが、運が味方してくれたことはありませんでした。それだけに24時間耐久レースの優勝は、チームにとって本当に大きな意味があるのです。何が起きても、私たちは信じることをあきらめませんでした。ウイークを通してハードワークを続け、準備してくれたチームのみんなに対しては、どんなに感謝しても足りません。今日はすべてが揃い、この快挙が実現しました。3人のライダーも本当に素晴らしく、全ラップで全力でプッシュして勝利を持ち帰って来てくれました。彼らを誇りに思います。ヤマハ、ブリヂストン、そしてチームメンバーのひとりひとりに感謝しています。私たちは、ついに成し遂げたのです!」

レース結果

コース:スパ-フランコルシャン

決勝

  • 開催日:2023/06/18
  • 決勝出走:36
  • 完走:23
  • (6.985km x 572laps = 3995.42km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 N.カネパ/M.フリッツ/K.ハニカ BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 572 302 2:21.015 24:01:17.766
2 1 J. フック/M.D.メリオ/A.ティシェ BS Bridgestone F.C.C.TSR Honda France CBR1000RR-R ホンダ 571 1 167 2:21.291 24:01:50.268
3 37 M.レイターバーガー/I. ミハルヒク/J. グアノニ DL BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM M1000RR BMW 569 3 382 2:21.315 24:01:50.080
4 12 G.ブラック/S.ギュントーリ/E.マッソン BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000 スズキ 567 5 164 2:20.578 24:01:46.325
5 11 R. ド プニエ/渡辺 一樹/G.ルブラン PI TEAM KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR ZX-10RR カワサキ 562 10 2 2:22.594 24:01:59.137
6 99 L.マヒアス/F. マリノ/B.マッケルズ DL KM99 YZF-R1 ヤマハ 561 11 467 2:22.755 24:03:05.453
7 55 S.スチェット/V. スチェット/G. レイモンド DL NATIONAL MOTOS HONDA CBR1000RR-R ホンダ 556 16 3 2:24.765 24:01:45.266
8 33 K. カリア/C. ガマリノ/G. ポンス DL TEAM 33 LOUIT APRIL MOTO ZX-10R カワサキ 556 16 129 2:24.302 24:03:20.924
9 44 J.ニゴン/L. ガベリーニ/A.マスボウ DL HONDA NO LIMITS CBR1000RR-R ホンダ 553 19 148 2:24.623 24:02:13.551
10 333 F.アルト/S. オデンダー/L. メルカド PI HONDA VILTAÏS RACING CBR1000RR-R ホンダ 552 20 88 2:22.701 24:01:33.398
11 41 C.リーシュ/W. テッセル/J. ハルド DL CHROMEBURNER RAC41 HONDA CBR1000RR-R ホンダ 547 25 3 2:24.994 24:02:47.094
12 27 T. ワード/D. シューブリッジ/T. オリバー DL TRT 27 / Bazar 2 La Becane GSX-R1000 スズキ 544 28 13 2:26.209 24:01:42.679
13 65 C.ナポリ/G.デハーイェ/D. ルービン PI Motobox Kremer Racing YZF-R1 ヤマハ 543 29 386 2:25.968 24:03:13.659
14 119 J. クレタロ/A. ロディ パック/C. コルトー DL Slider Endurance YZF-R1 ヤマハ 540 32 87 2:26.239 24:03:01.169
15 24 L. クレソン/J. ピロ/K.デニス DL BMRT 3D MAXXESS NEVERS ZX-10R カワサキ 536 36 2 2:24.480 24:02:32.488
16 777 C.バーグマン/D.ウェブ/K. クルゼミエン DL Wójcik Racing Team STK 777 YZF-R1 ヤマハ 528 44 6 2:26.093 24:02:50.004
17 4 H.クレア/B. ギテット/R. ラモス アルバロ PI TATI TEAM BERINGER RACING ZX-10R カワサキ 527 45 412 2:23.127 24:01:40.309
18 34 J. ボンネット/石塚 健/M. ジャコマッツオ DL JMA RACING ACTION BIKE GSX-R1000 スズキ 527 45 177 2:28.311 24:03:14.867
19 14 B. コバックス/E.ブーロム/M. ヴグリネック DL MACO RACING Team YZF-R1 ヤマハ 504 68 147 2:24.361 24:03:03.555
20 16 X. ヴァン ダフェレン/M. ヴァン ライテンベーク/J. アイケレンブーム DL Holland Motorstore Racing YZF-R1 ヤマハ 479 93 60 2:30.503 24:02:27.582

予選

  • 開催日:2023/06/16
  • 決勝出走:36
  • (6.985km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 7 N.カネパ/M.フリッツ/K.ハニカ BS Bridgestone YART - YAMAHA YZF-R1 ヤマハ 02:19.251
2 37 M.レイターバーガー/I. ミハルヒク/J. グアノニ DL BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM M1000RR BMW 02:20.210
3 12 G.ブラック/S.ギュントーリ/E.マッソン BS Bridgestone YOSHIMURA SERT MOTUL GSX-R1000 スズキ 02:20.285
4 1 J. フック/M.D.メリオ/A.ティシェ BS Bridgestone F.C.C.TSR Honda France CBR1000RR-R ホンダ 02:20.308
5 333 F.アルト/S. オデンダー/L. メルカド PI HONDA VILTAÏS RACING CBR1000RR-R ホンダ 02:20.939
6 99 L.マヒアス/F. マリノ/B.マッケルズ DL KM99 YZF-R1 ヤマハ 02:21.192
7 96 C.ペロラリ/R. タンブリーニ/A.ポリッタ PI MOTO AIN YZF-R1 ヤマハ 02:22.006
8 4 H.クレア/B. ギテット/R. ラモス アルバロ PI TATI TEAM BERINGER RACING ZX-10R カワサキ 02:22.318
9 11 R. ド プニエ/渡辺 一樹/G.ルブラン PI TEAM KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR ZX-10RR カワサキ 02:22.503
10 77 S. モライス/I.ビニャーレス/M.ギネス PI Wójcik Racing Team EWC 77 YZF-R1 ヤマハ 02:22.627