【2023年全日本モトクロス選手権 Rd.7 HSR九州大会 IA1クラス】決勝ヒート1では大城魁之輔が2位、IAオープンを含む大会総合成績では大倉由揮が4位獲得

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、今大会を含み残り3戦。IA1クラスとIA2クラスのみに限定された第7戦HSR九州大会が、開幕戦でも使用された熊本県のHSR九州で開催された。
ホンダの熊本製作所に隣接した複合モータースポーツ＆研修施設の一角にあるHSR九州のモトクロスコースは、阿蘇の外輪山を望むフラットな土地に設けられていて、広いコース幅と超ハイスピードレイアウトを特徴としてきたが、昨年の改修によりテクニカル区間が増加。今大会は、今季開幕戦に続いてそのレイアウトを基本的に踏襲しながら、ジャンプやリズムセクションの変更など、一部がリセッティングされた。本来の土質は阿蘇の噴火に由来する黒土だが、近年は山砂を搬入しながら整備されている。

今大会は日曜日のみのワンデースケジュールで開催され、全日本最高峰クラスとなるIA1クラスは、公式練習を兼ねた20分間のタイムアタック予選、20分＋1周の決勝ヒート1とヒート2を実施。さらに、この2ヒート総合成績で上位15位までに入ったライダーのみ、IA2クラスの2ヒート総合成績上位15台と混走する15分＋1周のIAオープン決勝に出走できるという、変則的な3ヒート制で競われた。
大会当日は朝から強めの雨が降り、前日まではドライだった路面コンディションは徐々に悪化。雨を予想して路面は全体的に固められており、予選の段階ではまだ比較的走りやすい状態だったが、走行と降り止まない雨の影響ですぐに荒れ、決勝はマディコンディションで競われることになった。
なおブリヂストン勢では、このHSR九州で開催された今季開幕戦で負傷したヤマハファクトリーチームの#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）が、今大会で戦列復帰を果たした。

■決勝ヒート1
#4 大城魁之輔（Honda,BS）がジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）とホールショットを争い、2番手でレースをスタート。能塚智寛（Kawasaki,DL）を挟んで#8 内田篤基（Kawasaki,BS）が4番手で続いた。やや出遅れた#6 大倉由揮（Honda,BS）は、スタート直後のジャンプで他車と接触して転倒。ほぼ最後尾からの追い上げを強いられた。#1 富田俊樹（Yamaha,BS）は1周目7番手。復帰戦の#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）は予選でマシントラブルに見舞われ、予選と決勝の間隔が非常に短いスケジュールだったことから修復が間に合わず、リタイアの決定を余儀なくされた。
レースはウィルソンが序盤からリードを拡大し、大城は能塚を約2秒差で引き連れたまま2番手をキープ。4番手の内田は単独走行となり、富田は4台による5番手争いに加わった。レース中盤、大城はジャンプの着地で足首を激しく痛め、ジャンプを跳ばない走りにシフト。それでもラップタイムは大きく落ちることなく、終盤には3番手の能塚をやや離した。そしてレースは10周でチェッカー。大城は2位で表彰台に登壇した。内田は単独走行を続けて4位。富田は7周目に池谷優太（Honda,DL）を抜いて6位となり、大倉は8位まで追い上げてゴールした。

■決勝ヒート2
#4 大城魁之輔（Honda,BS）が小方誠（Honda,DL）とホールショット争いを繰り広げ、2番手で1コーナーをクリア。しかし1周目にジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）らの先行を許して大城はやや後退し、代わりに#8 内田篤基（Kawasaki,BS）が3番手に浮上した。2周目には、#6 大倉由揮（Honda,BS）が大城をパスして5番手。3周目から内田は能塚智寛（Kawasaki,DL）の追撃を受け、翌周に先行を許した。この周、6番手を走っていた大城が転倒して、11番手まで後退。これにより、上位5台と6番手以下が完全に切り離された状態となった。
レース後半、内田に引き離された4番手の内田には、少しずつ大倉が近づき、8周目には攻略に成功。その後、大倉はリードを拡大した。そしてレースは再び10周でチェッカー。大倉が4位、内田が5位となった。スタート直後に7番手を走っていた#1 富田俊樹（Yamaha,BS）は、ペースが上がらず8位。転倒した大城は、9位まで追い上げてフィニッシュした。#3 渡辺祐介（Yamaha,BS）は、ヒート1を走れなかったことから、予選から大きく変化した路面状況への対応に苦しみ10位でゴール。とはいえ2ヒート総合成績で15位以内に入り、IAオープン決勝の出場権利を得た。

●大倉由揮（決勝ヒート1／8位、ヒート2／4位、IAオープン／4位）
「ヒート1はスタートで出遅れてしまい、前を走っていたライダーがバランスを崩し斜めにジャンプを跳んできて、それを空中で上から踏むような感じになり、自分も転倒しました。スタートの悪さが不運を招いて最後尾となり、レース時間も短めだったことから、最後は6番手争いまで追いついたのに、攻略しきれず8位に終わりました。ヒート2もスタートが悪く、それでも少しずつ順位を上げられたのですが、4番手まで浮上した段階でトップの3台はだいぶ離れていて、悔しさが残るレースでした。IAオープンは1周目に2番手まで上がれて、ジェイ・ウィルソン選手に迫ることができました。しかし途中でちょっとミスして離れてしまい、その後に能塚智寛選手が接近してきたところで自分が転倒。それでもまだ3位は狙える位置だったのですが、半周後にもう一度クラッシュしてしまいました。非常にもったいない内容でしたが、走りは確実に成長している手応えがあるので、残り2戦で勝利を狙います。タイヤは、フロントにソフト路面用のBATTLECROSS X20、リアにサンドやマッドに適したBATTLECROSS X10を選択。スタート直後のストレートに照準を合わせたチョイスで、最初から迷うことはありませんでした」