【2022年全日本モトクロス選手権 Rd.1 HSR九州大会 IA2クラス】IAクラス2年目のシーズンを迎えた柳瀬大河が、15分＋1周ｘ3ヒートの超スプリントレースで奮闘！

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、4ヵ所のコースで全7戦が予定されている。IA2クラスは、開幕戦および第6戦関東大会が3ヒート制となるため、年間16ヒートの設定。通常の2ヒート制だとレース時間は30分＋1周だが、3ヒート制の場合は15分＋1周に短縮されるため、スタートダッシュがいつも以上に重要となる。
突如3ヒートでの開催となった開幕戦の舞台は、熊本県のHSR九州。ホンダの熊本製作所に隣接した複合モータースポーツ＆研修施設の一角にあるこのモトクロスコースは、阿蘇の外輪山を望むフラットな土地に設けられていて、広いコース幅と超ハイスピードレイアウトを特徴とする。本来の土質は阿蘇の噴火に由来する黒土だが、今大会の前に大量の山砂を搬入しながら入念な整備が加えられ、セクションによっては粗目の砂がかなり敷き詰められた状態。一方で、固く締まった黒土の路面が露出したり、黒土に深めのワダチが刻まれるセクションが出現したり、黒土と山砂がミックスされた区間があったりと、攻略が難しい路面状況となった。天候は土日とも晴天に恵まれ、日曜日の最高気温は25℃まで上昇。日差しも強く、初夏を思わせるような陽気となった。ホコリの発生を抑えるため頻繁に散水を実施。ライダーは、スタート直前まで続けられた散水による路面変化も考慮しながらレースに臨んだ。
昨年度のランキングトップ3が相次いで最高峰クラスにステップアップしたことから、IA2は#4 鳥谷部晃太（Yamaha,BS）が昨年度のランキング最上位。ブリヂストン勢では、2階級特進で昨年からIA2を戦う#10 柳瀬大河（Honda,BS）や、IA2での優勝経験があり昨年までしばらくIA1に参戦していた#36 横澤拓夢（Honda,BS）らの活躍にも期待が集まる。
しかしこの開幕戦では、横澤はマシントラブルにより予選落ちとなった。

■決勝ヒート1
予選ではジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）を猛追して、決勝での好成績にも期待が集まった#10 柳瀬大河（Honda,BS）。しかし決勝ヒート1では、スタート前にホールショットデバイスがセットできていない状態でスタートすることになり、1周目10番手と大きく出遅れた。ブリヂストンユーザーでは、#18 福村鎌（Suzuki,BS）が1周目2番手と健闘。
#4 鳥谷部晃太（Yamaha,BS）は8番手からのレースとなった。2周目、福村はミスにより17番手まで大きく後退。柳瀬は、福村の後退もあってまずは8番手までポジションを上げた。
3周目に6番手まで順位を上げた柳瀬は、4周目から田中淳也（Yamaha,DL）の背後につけるも、パッシングのチャンスを得られず。6周目にようやく攻略に成功すると、今度は鈴村英喜（Honda,DL）に迫った。そして7周目に鈴村をパスして、柳瀬は4番手にポジションアップ。しかし15分＋1周の短いレースは8周でチェッカーとなり、追い上げもここまで。柳瀬は、表彰台圏内にあと一歩と迫る4位となった。鳥谷部は7位でフィニッシュした。

■決勝ヒート2
このレースでは#10 柳瀬大河（Honda,BS）が好スタートを決めて、2番手からレースに臨むと、ジェイ・ウィルソン（Yamaha,DL）の先行を許したものの3番手で1周目をクリア。2～3周目にかけ、柳瀬は2番手の小川孝平（Yamaha,DL）から4秒ほど遅れて周回を重ねた。すると、レースが早くも後半に入った5周目以降、小川がミスにより連続してラップタイムを落とし、これで柳瀬が接近。両者の背後には中島漱也（Yamaha,DL）も近づき、三つ巴の2番手争いとなった。
迎えた最終ラップの8周目、柳瀬は中島の先行を許して4番手に後退。柳瀬は諦めることなく中島を猛追し、再逆転を狙ったが、コーナーでフロントタイヤとリヤタイヤが別々のワダチに入ってしまい、これで激しく転倒してしまった。なんとか再スタートは切ったがスロー走行となり、鈴村英喜（Honda,DL）にも抜かれた柳瀬は5位でチェッカーを受けた。#4 鳥谷部晃太（Yamaha,BS）はリタイヤ。#18 福村鎌（Suzuki,BS）も10位に終わった。

■決勝ヒート3
ホールショットを奪ったのは#18 福村鎌（Suzuki,BS）。さらに眞野凌輔（Suzuki,BS）が続くと、1周目を福村が3番手、眞野が4番手でクリアした。#10 柳瀬大河（Honda,BS）はスタートで出遅れて、オープニングラップは9番手。しかも混戦の中でうまくペースを上げられず、2周目までこの順位をキープした。その2周目、福村は6番手まで後退。しかし翌周には眞野を抜いて、福村は5番手争いのグループで先頭に立った。
この集団には、眞野や柳瀬も加わっていたが、両者とも順位を上げられず、眞野は3周目以降に順位を落として8番手。これで柳瀬はひとつポジションを上げたものの、前のライダーには離されてしまった。福村は、西條悠人（Kawasaki,DL）の猛攻に耐え続けていたが、ラスト2周となった7周目に逆転を許して6番手。最後はやや離されてしまい、福村は6位入賞となった。柳瀬は7位、眞野は8位でチェッカーを受けている。

●柳瀬大河（決勝ヒート1／4位、ヒート2／5位、ヒート2／7位）
「予選ではいい走りを披露できたのですが、決勝ではヒート1とヒート3でスタートに失敗して出遅れてしまいました。それでもヒート1は、ある程度のところまで追い上げられたのですが、ヒート3はまるでペースを上げられず、不本意な走りになってしまいました。スタートがうまく決まったヒート2は、せっかく好スタートを決めたのに、最後にミスして転倒。リザルトに結びつけることができませんでした。タイヤは全走行でBATTLECROSS X20をチョイス。金曜日にコースウォークしているときには、一瞬だけよりソフト路面向きなX10もありかも……と思ったのですが、コースをすべて歩いたところ、カタい路面のセクションもけっこうあったので、X20という結論に至りました。実際に走ってみてからは、X20以外の選択肢はあり得ず、タイヤに関しては迷うことなくレースに挑めました。次戦以降、決勝でもより高い順位でゴールできるよう、トレーニングを重ねていきます」