【2023年全日本モトクロス選手権 Rd.1 HSR九州大会 IA2クラス】3ヒートで競われた開幕戦で、横澤拓夢が2度の表彰台登壇を果たして総合3位を獲得！

今季の全日本モトクロス選手権シリーズは、6ヵ所のコースで全9大会（IA1クラス、IA2クラスのみ）が予定されている。昨年と比べて2大会が増え、2017年以来の大会数に。また、2013年以来10年ぶりに北海道大会が開催され、2年ぶりに中国大会が実施されるなど、シリーズが充実化されている。さらに、2020年に全日本最高峰のIA1に初めて導入された1大会3ヒート制が今年も増加。IA2は年間21レースで競われる。今年も熊本県のHSR九州で実施された開幕戦は、IA1とIA2ともに決勝時間が15分＋1周となる1大会3ヒート制となった。HSR九州のモトクロスコースは、ホンダの熊本製作所に隣接した複合モータースポーツ＆研修施設の一角にある。阿蘇の外輪山を望むフラットな土地に設けられていて、広いコース幅と超ハイスピードレイアウトを特徴としてきたが、昨年の改修によりテクニカル区間が増加。今大会もそのレイアウトを踏襲しながら、一部セクションが変更された。本来の土質は阿蘇の噴火に由来する黒土だが、今大会の前に大量の山砂も使いながら入念な整備が加えられ、セクションによっては粗目の砂がかなり敷き詰められた状態。一方で、黒土の路面が露出したセクションや、黒土と山砂がミックスされた区間もあり、攻略が難しい路面状況となった。
土日とも晴天に恵まれたが、金曜日までの降雨により土曜日の午前中はマディコンディション。その後、徐々に路面状況は回復し、日曜日はベストな状態となった。
昨年度チャンピオンのジェイ・ウィルソンがIA1クラスに参戦することから、IA2クラスは今季もチャンピオン不在のシーズン。#5 横澤拓夢（Honda,BS）のみがヒートレースの優勝経験者という状況で開幕戦を迎えた。

■決勝ヒート1
ホールショットの西條悠人（Kawasaki,DL）を、#5 横澤拓夢（Honda,BS）と#11 阿久根芳仁（Kawasaki,BS）らが追ってレースがスタート。レース序盤、横澤は西條に3秒ほど先行されたが、4～5周目には少し距離を詰め、両者のギャップは約1.5秒程度になった。しかし翌周以降、再び西條と横澤は約2秒差となり、その後は膠着状態が続いた。
レース後半、横澤の背後には3周目に阿久根を抜いた中島漱也（Yamaha,DL）が迫り、9周目のラストラップには僅差の争いとなった。しかしここは横澤が順位を死守。優勝の西條に続き、横澤は2位でチェッカーを受けた。阿久根はラスト2周でビクトル・アロンソ（Yamaha,DL）にも抜かれて5位。#3 柳瀬大河（Honda,BS）が6位だった。

■決勝ヒート2
田中淳也（Yamaha,DL）を、鴨田翔（Kawasaki,DL）や#11 阿久根芳仁 （Kawasaki,BS）、西條悠人 （Kawasaki,DL）が追う展開。1周目、阿久根は鴨田をパスしたが、逆に中島漱也 （Yamaha,DL）の先行を許した。2～3周目にかけ、上位勢は数珠つなぎ状態。4周目の段階で中島がトップ、田中が2番手、ビクトル・アロンソ（Yamaha,DL)が3番手だった。
アロンソから2秒ほど間隔を開けて阿久根ら6台が続くと、5周目にアロンソはミスで6番手後退。これで3番手に浮上した阿久根は、約2秒前を走る田中を追った。最終ラップとなった9周目、阿久根の背後には西條と鴨田と浅井亮太（Yamaha,DL）が迫ったが、阿久根は最後までポジションをキープ。これにより、IA初表彰台登壇となる3位を獲得した。

■決勝ヒート3
1周目クリアの段階で、上位勢はビクトル・アロンソ（Yamaha,DL）、浅井亮太 (Yamaha,DL)、#11 阿久根芳仁 (Kawasaki,BS)のオーダー。2周目、スタート直後は7番手あたりと出遅れていた#5 横澤拓夢 (Honda,BS)が鴨田翔 (Kawasaki,DL)をパスして4番手に順位を上げ、翌周には阿久根と横澤が3番手争いを繰り広げた。そして4周目に横澤が先行した。
横澤が3番手に浮上した段階で、2番手の浅井は10秒近くも先行。同じ4周目、阿久根は鴨田に抜かれて5番手に後退し、3番手の横澤は約2秒後方に鴨田を引き連れて走行を続けた。そしてレースはアロンソが優勝し、浅井が2位。横澤は3位となり、3ヒート総合成績でも3位をマークした。阿久根は6周目にも順位を落としたが、6位入賞を果たした。

●横澤拓夢（決勝ヒート1／2位、ヒート2／12位、ヒート2／3位）「ヒート1はスタートが決まり、トップの西條悠人選手を数秒差で追っていたのですが、レース前の散水量が多くて近づくと泥を浴び、視界不良で離され……という感じでした。速いラインも限られていたし、最後は今季初のレースということでカタくなったのもあり、2位で終わってしまいました。ヒート1終了からヒート2のスタートまで、間隔が約1時間半しかなく、汗をかきやすい体質ということから、ヒート2は水分不足でカラダがつってしまい低迷しました。ヒート3はしっかり体力を回復させて臨むことができたのですが、スタートで出遅れすぎてしまい、3番手に浮上した段階でトップの2台に逃げられていたのが悔やまれます。タイヤは、土曜日の練習走行と予選、決勝日朝の練習走行までは、リヤのみマディ路面用のBATTLECROSS X10を履いていたのですが、決勝3レースは前後とも軟質路面用のX20をチョイスしました。決勝では、路面のカタい部分が露出した区間も多かったし、一方で散水や山砂の影響によるソフトなセクションもあったので、X20にとってベストな状況だったと思います」