【全日本ロードレース選手権 第5戦 鈴鹿 JSB1000 レース-1 】

全日本ロードレース最終戦の舞台は鈴鹿サーキット。最高峰クラスであるJSB1000は野左根航汰（ブリヂストン）が開幕6連勝を飾っている。来季は世界スーパーバイク選手権へのフル参戦を発表した野左根としては、全戦全勝を世界への手土産にしたいところ。
木曜日から始まったウイークを好発進したのはディフェンディングチャンピオン中須賀克行（ブリヂストン）。木曜日の特別走行も金曜日の合同走行もトップタイムをマーク。対する野左根は二日間共に2番手タイム。ディフェンディングチャンピオンの意地と、挑戦者の意地がぶつかり合う。さらに両日共に3番手タイムをマークしたスポット参戦の渡辺一樹（ブリヂストン）にも注目が集まる

土曜日は青空が広がったものの、朝は冬の到来を思わせるほどの寒さとなった。40分間のタイムアタック形式で始まった予選。真っ先に2分4秒台をたたき出してリーダーボードのトップに名前を掲げたのは中須賀。清成龍一（ブリヂストン）が2分5秒台で2番手につける。初タイトル獲得目前の野左根はセッション中盤に2番手浮上。再逆転をねらった清成は転倒。これで赤旗中断となる。 残り20分ほどでセッション再開。すぐにペースアップした野左根。2分4秒台にタイムを入れるが、中須賀には0.006秒届かない。 残り10分ほどで5番手につけていた渡辺一馬（ブリヂストン）の転倒で2回目の赤旗。 残り10分で三度のコースイン。残り5分で中須賀が自身のタイムを更新。2分4秒128で今季初のポールポジションを獲得。野左根は2番手。渡辺一樹が3番手フロントロウ獲得となった。

土曜日午後に行なわれたレース1。好スタートを切ってホールショットを奪ったのは中須賀。しかし真後ろにつけた野左根がオープニングラップで中須賀を捕らえるとトップ浮上。中須賀はぴたりと野左根の背後につけて、ヤマハファクトリーレーシングチームがランデブー走行。この2台に続いたのは渡辺一樹。3台でトップ集団が形成される。 中須賀は野左根をコンマ1秒以内に捕らえたまま周回。渡辺一樹は2台にコンマ5秒ほどの距離を保って周回を重ねる。 12周目。いよいよ中須賀が野左根をパス。再びトップに躍り出た。必死に中須賀のすきをねらう野左根。見事なブロックを見せる中須賀。野左根は最後まであきらめずにアクセルを開けたものの再び前に出ることはできず、中須賀が今季初優勝。野左根は2位で全日本最高峰クラス初タイトル獲得となった。

●中須賀克行（予選1位／決勝1位） 「想定していたよりも路面温度が下がったのですが、硬いタイヤでもしっかりと機能してくれました。そのおかげで2周を残したところで前に出ることができ、しっかりとタイムを稼げるところで稼げたことが勝因につながりました。最後までいいパフォーマンスを発揮してくれたブリヂストンタイヤには、感謝しかないです」

●東雅雄（株式会社ブリヂストン　モーターサイクルレーシングマネージャー） 「新チャンピオンを獲得した野左根選手とチームの皆様にお祝い申し上げます。今シーズンの野左根選手は、毎戦、強い走りを見せてくれました。今大会でも新チャンピオンにふさわしい走りだったと思います。中須賀選手、渡辺一樹選手とのトップ争いの中で、チャンピオン獲得の目標と、優勝したい気持ちを持ちながら冷静にレースできていたのではないでしょうか。ここまで勝ち星のなかった中須賀選手は今季初優勝を挙げました。うれしかったのではないでしょうか。まだ最後のレースが残っています。明日もまたすばらしいトップ争いを期待しています」