「強い気持ち」で挑んだ岡本大地が逆転優勝!井口卓人は3位でポイントリーダーに迫る
- 開催場所:富士スピードウェイ
- 開催日:2025年09月06日(土) 〜 2025年09月07日(日)

いよいよ終盤戦に突入したGR86/BRZ Cup 2025。第5戦の舞台は、国内最長のストレートを備える富士スピードウェイ。高速コーナーが続くセクター2、上りの峠道を思わせるタイトコーナーが続くセクター3とバランスのとれたセッティングが求められるサーキットだ。
ドライコンディションが保たれた水曜日から練習走行を始めたチームもあったが、台風の影響により、木曜日と金曜日はウェットコンディションに。そのため金曜日の専有走行を控えたチームも多かった。そんななか2分4秒149のタイムで専有トップを記録したのは#88井口卓人(ブリヂストン)。後半にはコースはかなり乾いてきたものの、レコードタイムには程遠かった。
今回のエントリーは31台で、そのうち20台がブリヂストンのPOTENZA RE-10Dを装着する。
⚫️予選
土曜日に行われた予選までには、路面もドライコンディションとなり、やや雲のかかった天候のもと計測が開始された。
コースオープンと同時にピットを離れたのは、初参戦のドライバーひとりだけ。残る30名のドライバーは後半の一発勝負に賭けていた。計測15分の折り返しでコースインした井口が2分1秒055を記録してトップに立つが、直後に#293岡本大地(ブリヂストン)が2分0秒836を叩き出して首位を奪う。
残り3分を切ったところで多くのドライバーが一斉にコースへ。しかし、その矢先に1コーナーでクラッシュが発生し黄旗が提示された。車両はすぐに移動され黄旗は解除されたが、すでにアタックに入っていたドライバーの一部は減速を余儀なくされる。逆に、黄旗解除後に通過したドライバーは狙い通りのタイムを刻み、#1菅波冬悟(DL)が2分0秒515でポールポジションを獲得。#60小河諒(DL)も2分0秒967で3番手につけた。
一昨年の富士大会で優勝経験を持つ#18中山雄一(ブリヂストン)は、黄旗区間で減速するためにアクセルを緩め、予選25位に沈む。さらに不運だったのは、ポイントリーダーの#7堤優威(ブリヂストン)と前回の十勝で初優勝を飾った#97高橋知己(ブリヂストン)ら。ちょうどアタック中に黄旗にかかってしまい、ノータイム扱いに。決勝への出走は嘆願書の提出で許された。
この結果、フロントローは菅波と岡本。3番手に小河、4番手には#31青木孝行(DL)、5番手に井口、6番手には#121蒲生尚弥(ブリヂストン)が並ぶこととなった。
予選2番手を獲得した岡本大地のコメント「練習走行は雨だったので、ニュータイヤのウォームアップの仕方やトラックコンディションがわからず、また直前にはSFライツの走行があったためラバーののり方もわからない、そんな『出たとこ勝負』な感じでしたが、振り返ると自分はこういう状況の予選はわりと結果がいいので、得意なのかもしれません。富士スピードウェイはAコーナーが鍵になるので、いかにここでグリップを発動させられるかだけを考えながらウォームアップしてアタックしました。アタックの感触は本当に良かったです。ポジションも良く、ドライビングもミスなくまとめられました。ただトップが速過ぎですね。それでもチャンスはあると思います。2番手スタートなので、RE-10Dのロングの良さを活かして絶対に勝ちます!」
●決勝
決勝が行われた日曜日は、このところ続いた猛暑から解放され、秋の気配が感じられる富士らしい1日となった。無難なスタートを切ったフロントローの2台に対して、鋭いダッシュを決めていたのはセカンドローの青木と小河だった。
それでも、トップを争うふたりはレコードラインをトレースした走りで1コーナーから2コーナーまでの追撃を振り切り、1周目を終えた段階でトップ争いは一騎討ちに。この段階で序盤のペースに自信を深めた岡本が早めの仕掛けを狙い、コーナーごとに前後左右を入れ替えながら息を呑む好バトルを展開すると、ついに2周目のダンロップコーナーで菅波を抜いてトップに浮上。この間にトップツーと後続との差が詰まる。しかし3周目のヘアピンで、菅波は追いついてきたドライバーに絡まれる格好で接触されてしまい、無念のリタイアとなった。
その後は、ハイペースを保ったままリードを拡げていく岡本の後方で、2番手に上がっていた青木と#2清水英志郎(DL)、井口のバトルが激しさを増していた。6周目に清水をかわした井口は、徐々に青木に迫るも逆転には至らず。3位でゴールしポイントリーダー堤との差を縮めることなった。
その堤は27番手からのスタートとあって、ファステストラップの1ポイントを獲得することに専念。スタートであえて順位を落とした後、2'01.612を記録しファストラップをしっかり決めた。
4位は清水、5位には小河。そして6位でチェッカーを受けたのは25番グリッドからスタートした中山だった。スタート直後や3周目の混乱を巧みにかわし、その後も着実にオーバーテイクを重ねて、さらに最終ラップのGRスープラコーナーで1台をパス。RE-10Dのロング性能を遺憾なく発揮した走りで圧巻のオーバーテイクショーを展開し6ポイントを獲得した。
また、シリーズ開始以来すべてのレースをブリヂストンとともに戦ってきた #5 井上尚志(ブリヂストン)が、今回で通算100レース出場を達成。まさに「皆勤賞」といえる快挙となった。
●第5戦プロフェッショナルシリーズ決勝レースで、優勝した岡本大地のコメント「決勝は強い気持ちを持って走りました。スタートは後ろの青木さんと諒くんがめちゃくちゃ良くて、抜かれそうになったのですが、なんとかライン的にいい場所にいられて耐えることができました。勝負は後半かなと思っていたので、スタートの内圧は低かったのですが、序盤のペースが想像以上に良くて、『もう行けるところがあれば行こう』と、どんどんプッシュしました。水温も上がってきていたので『早めの方がいいかもしれない』と、さらに切り替えたのが良かったと思います。最後の2、3周は落下物でペースを上げられなかったのですが、タイヤ的には最後までプッシュしたまま行けちゃう感じでした。ファステストラップを獲得したSUGOでも、内圧を下げても序盤の感触がいいという特性をつかんでいたので、ここ富士でもこの特性を活かせたと思います。本当に勝てて良かったです!」
●通算100レース出場を達成した井上尚志のコメント
「僕ひとりの力では決して達成できない記録です。本当にスポンサーを含めた関係者の方々、そしてスタッフのみんなのおかげだと思っています。とくに弟の敦史はメカニックとして長く支えてくれて、本当に感謝しています。次戦の101戦目からは、新たな目標に向かって頑張っていきたいと思います」
決勝
- 開催日:2025/09/07
- 天候:Cloudy
- 路面:Dry
- 決勝出走:31
- 完走:29
- (4.563km x 10laps = 45.63km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 293 | 岡本 大地 |
BS
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ネッツトヨタ南国 5Zigen BS GR86 | 10 | 20'33.274 | ||||||
2 | 31 | 青木 孝行 | DL | ケーエムエス フェニックスDL_GR86 | 10 | 20'38.054 | ||||||
3 | 88 | 井口 卓人 |
BS
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東京スバル BS BRZ | 10 | 20'38.747 | ||||||
4 | 2 | 清水 英志郎 | DL | K-one 愛知トヨタ GR86 | 10 | 20'40.514 | ||||||
5 | 60 | 小河 諒 | DL | OTG DL GR86 | 10 | 20'41.000 | ||||||
6 | 18 | 中山 雄一 |
BS
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IBARAKI TOYOPET GR86 | 10 | 20'41.307 | ||||||
7 | 34 | 佐々木 雅弘 |
BS
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小倉クラッチ BS OTG GR86 | 10 | 20'43.447 | ||||||
8 | 87 | 久保 凜太郎 |
BS
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千葉スバル BS BRZ | 10 | 20'43.739 | ||||||
9 | 17 | 谷口 信輝 |
BS
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K-one 愛知トヨタ GR86 | 10 | 20'46.088 | ||||||
10 | 89 | 奥本 隼士 | DL | 栃木スバル DL BRZ | 10 | 20'46.954 | ||||||
11 | 98 | 元嶋 佑弥 |
BS
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神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 10 | 20'47.290 | ||||||
12 | 504 | 冨林 勇佑 | DL | エナジーハイドロゲン EXEDY・DL GR86 | 10 | 20'50.324 | ||||||
13 | 97 | 高橋 知己 |
BS
![]() |
神奈川トヨタ ☆ DTEC GR86 | 10 | 20'51.624 | ||||||
14 | 330 | 平良 響 |
BS
![]() |
OKINAWA GR86 | 10 | 20'51.674 | ||||||
15 | 123 | 松井 孝允 | DL | NETZ富山Racing GR86 | 10 | 20'53.789 | ||||||
16 | 76 | 森川 基雄 |
BS
![]() |
ウィニング制動屋 NUTEC GR86 | 10 | 20'56.141 | ||||||
17 | 7 | 堤 優威 |
BS
![]() |
CABANA BS GR86 | 10 | 20'56.788 | ||||||
18 | 12 | 地頭所 光 |
BS
![]() |
こばんにゃんねるGR86 | 10 | 20'58.377 | ||||||
19 | 5 | 井上 尚志 |
BS
![]() |
レストアパーツBSまんさくGR86 | 10 | 21'00.199 | ||||||
20 | 90 | 翁長 実希 | DL | OTG 滋賀トヨタ GR86 | 10 | 21'00.623 | ||||||
21 | 910 | 坂 裕之 | DL | MプランニングDLエンドレスGR86 | 10 | 21'06.062 | ||||||
22 | 550 | 宗藤 昌太朗(MUNETO SYOUTAROU) | DL | 名神タイヤGR86 | 10 | 21'06.644 | ||||||
23 | 8 | 渡辺 圭一 |
BS
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JCS GR 浦和美園 GR86 | 10 | 21'10.710 | ||||||
24 | 141 | 石井 和仁 |
BS
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N千葉スンバドア緑GR86 | 10 | 21'11.277 | ||||||
25 | 160 | 吉田 広樹 |
BS
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GR G 浦和美園 IDI BS GR86 | 10 | 21'18.861 | ||||||
26 | 32 | 市森 友明 |
BS
![]() |
大阪トヨタ North NiX GR86 | 9 | 18'54.114 | ||||||
27 | 70 | 服部 尚貴 | DL | OTG DL GR86 | 7 | 15'00.269 | ||||||
28 | 186 | 佐藤 凌音 |
BS
![]() |
Star5 AVANTECH GR86 | 7 | 15'41.024 | ||||||
29 | 56 | 鶴賀 義幸 |
BS
![]() |
栃木トヨタT2FACTRY BS GR86 | 7 | 15'43.118 | ||||||
- | 1 | 菅波 冬悟 | DL | OTG 滋賀トヨタ GR86 | 4 | DNF | ||||||
- | 121 | 蒲生 尚弥 |
BS
![]() |
tomicaネッツ兵庫 BS GR86 | 3 | DNF |