ジムカーナドライバーのレース以外の部分が垣間見れるリレーインタビュー第4回は前回の河本選手が、「彼の電撃移籍にびっくりした」という小林規敏選手です。今回もブリヂストンのWEB会議システムを使ってインタビューを実施していきます。
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河本選手(以下、河本):コバちゃん凄くお久ぶりです。
小林選手(以下、小林):お久しぶりです。中国フェスティバルのTAMADAぶりですかね?
河本:いつも中国フェスティバル呼んで頂いてありがとうございます。毎年楽しく走らせてもらっています。
小林:遠いところからいつも来ていただきありがとうございます。
河本:いやいや、呼んでいただけるだけでうれしいです。ところでコバちゃんは在宅勤務しているの?
小林:いやまだなっていなくて、明日から在宅になりますね。ちょっと遅いんですよね・・・
河本:そうなのね、確かに関東はすぐに在宅勤務になったりしてたけど、地域や状況によってちょっと温度差あるかもね?さてこのコロナ禍になって色々生活も仕事変わって大変だと思うけど。一番大きく変わったのは、やっぱり全日本ツアーが無くなった事だよね。毎年やってきた事がぽっと無くなって気分的にはどう?落ち着かないって感じ? それとも逆に、ゆったりしてる感じ?
小林:ぽっかり空いた感じです。
河本:やっぱりね~。
小林:毎週ではないですけど、3~4週間おきに遠くに遠征していたのでそれが無くなると・・・あっ、でも体はすごく楽ですね(笑)
河本:そうなんだよね。体も精神的にも実はちょっと楽だよね(笑)
小林:でも張り合いがないって感じですね・・・
河本:そう。このバランスを保っていくのは難しいよね。
小林:そうですね(笑)
河本:今回コバちゃんのことを色々調べてきたんですよ。コバちゃんが全日本を追い始めたのは2011年なんですね?
小林:そうですね。良く競技結果出てきましたね(笑)
河本:実はJAFのホームページで名前を入れると成績が出てくるんです。それによると最初は2010年にJAFカップに出て、翌年の2011年から全日本にスポット参戦してるんですね?どんなきっかけでジムカーナを始めたんですか?
小林:きっかけは会社の先輩がジムカーナをやっていて、練習会に遊びに来ないか?と言われて行ったのがきっかけです。
河本:そこで乗った車がランサーなの?(笑)
小林:そうですね(笑)
河本:いきなりランサーとはすごいね。
小林:でもGSRのデフ無しだったので、ジムカーナにはちょっと向いてない仕様でしたね。脚だけ変えていてちょっと走れるかな?って感じでした。
河本:4駆はむずかしいよね。それが何年くらいの話?
小林:2008年ですね。
河本:全日本に出る3年前か。
小林:ちょこちょこタカタで走っていたんですね。
河本:その頃乗っていた車はなんだったの?
小林:ランサーエボリューションⅤです。
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当時乗っていた三菱ランサーエボリューションⅤ


河本:4駆乗りだったんだね。ジムカーナは地方選手権に出ていたの?
小林:ランサーでジュニアシリーズに2年くらい出たんですが、そこのクラスにはデフ付きのランサーがいて2位しか取れなかったんです。
河本:さすがにデフ無しの車両でデフ付きに勝つのは辛いね・・・。そこから次にインテグラTypeRに乗り換えたのはどういう理由?
小林:金本さんという方に目をかけてもらっていて、2009年の西日本フェスティバルに金本さん所有のバリバリの競技車+Sタイヤ仕様のランサーで出ないか?って話を頂いたので出場したら、勝っちゃったんですよね。
河本:西フェス獲ったんだ!すごい!
小林:西フェスで勝った時に、ちゃんと競技したいなぁ~と思ったんですけど、ランサーをジムカーナ仕様に仕立てると当時の収入だととても払える値段じゃなかったんですよ(笑)
河本:ほんと4駆は値段が張るからね~(笑) (2輪駆動乗りからすると)デフが余計に2つ付いてる時点でナンセンスだよね~(笑)
小林:自分の収入で出来るって考えると、その当時はヴィッツとかもあったんですけどヴィッツはちょっとなぁ~と思って。(笑)
河本:ちょっとなぁ~っていうのは格好良いクルマに乗りたい?
小林:そうですね、あと速いクルマに乗りたいと思って。
河本:ドライバーの憧れだよね、そっち方向に俺もいっちゃうのでわかる気がする。
小林:それを考えるとインテグラあたりかな?と思って探し出したら、たまたま近場でジムカーナしてた車両があったので乗り換えました。
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乗り換えたインテグラTypeR

河本:シビック、インテグラを買っておけば戦闘力もあるし楽しめるっていうのがあるよね、2010年だとどちらも全盛期ですもんね。そして、そこから全日本への道がスタートしたんですね。2011年からN2クラスに出場し始めて、全日本で初めての表彰式って覚えてますか?
小林:覚えてますね~。
河本:2014年第8戦本庄で3位表彰に登ってるんですね。本庄は広島から遠いけどコースはどんな印象でした?
小林:初めて走ったんですけど。元々タカタを走っていたので、スピードレンジ的には同じくらいで、コーナリングスピードはタカタより低くて直線が長いだけという感じだったので個人的には好きなコースでしたね。
河本:なるほど。
小林:時計回りで最終コーナーの手前に高い縁石のシケインがあるじゃないですか?皆さんに聞きながら、縁石がっつり乗らないとダメだよって言われてホイールが割れるんじゃないかとびくびくしながら走りました。
河本:洗濯板みたなところね、あそこでアーム曲げてる人を見てるからびくびくしながらだよね。
小林:タカタも昔のコースだと似たようなシケインがあったので、勢いで行くしかないかなと思っていきました。
河本:気持ちよくいって表彰台といい感じでしたね。で、その後、表彰台のてっぺん獲ったのはいつか覚えてる?
小林:覚えてますね。
河本:表彰台で泣いていたコバちゃんを未だに思い出すよ。それが2016年の第7戦恋の浦、参戦5年目での優勝。どうでした?
小林:やっとか~という感じでしたね。
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全日本初優勝し仲間から手荒い祝福をうける

河本:ちなみに好きなコースはTAMADA、タカタって書いてありましたけど、勝率が高いのは恋の浦なんだよね?本人的には相性は?好きなコースなの?
小林:うーん。しょっちゅう走りたいかと言われると・・・ちょっと・・
河本:そうなんだ?意外(笑)
小林:ただリズム感はあってる感じはしますね。
河本:恋の浦は、あの独特なリズムにぴったり合ってる人と合ってない人で得意さが変わるよね。上下方向のリズム感も独特だし。
小林:特にスタートがいやらしいですね。
河本:いやらしいね。いきなりスタートで出落ちする時あるからね。
小林:そうなんです。
河本:そうするとやる気が無くなる時がある・・・イカンイカンやる気無くなっちゃダメだった(笑) で、その年JAFカップを獲ったあとにSAクラスに変わって。この間ずっと同じ車両?
小林:そうです、同じインテグラにずっと乗っていました。
河本:2018年からロードスターになりますが、乗り換えた理由は?
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現在の愛車マツダロードスター

小林:一番の理由は乗っていたインテグラが古くなったからというのが大きいですね。全日本を追いかけるなら現行車、乗って楽しいクルマという事でロードスターに乗り換えました。
河本:2018年まではタイヤはブリヂストンではありませんでしたが、そのあと2019年にブリヂストンに変わりました、僕の中ではすごく衝撃な出来事で。コバちゃん、他メーカーをずっと使っていたのでまさかブリヂストンに変えるとは思わなくて。びっくりしました(笑)ブリヂストンのタイヤを履いて第一印象ってどうでした?
小林:第1印象は縦と横のつながりが分かりやすいという印象で、縦から横もしっかり使えるという感じで、感触は違和感なく乗りやすいなと思いました。
河本:摩擦円の斜めの方向がしっかりした印象ですよね。
小林:そうですね。突然ピークが来ないのでどのコース行ってもその印象は変わらなかったイメージですね。
河本:去年第1戦はRE-05D、極寒の雨でしたね・・・
小林:そうですね。
河本:開幕前のテストは05Dでやってたの?
小林:そうです、ずっと05Dでやってきて、おいしいところがくればタイムが出るんですけど、おいしいところが凄い狭かったんで、そこをうまく使いこなしたいと思って第1戦に挑んだんですけど、見放されましたね。
河本:ちょっと見放されたね~、天気が悪かった・・・。第2戦からRE-12Dになってどんな印象になりました?
小林:冷間の状態から安心して踏んでいけるのでそこは段違いですね。まあ柔らかくなった影響か後半はちょっと重たいかなぁ~っていうのは多少あるんですけど、やっぱりパワーが無いクルマなので、でもグリップしているのでうまく処理してあげれば、全然05Dよりタイムが出る印象ですね。
河本:そういう意味ではグリップが高いレベルであったうえでバランスが取れているタイヤという印象かな? 
小林:そうですね
河本:僕も12Dの印象は同じですね。逆にブリヂストンに変わって苦労した点はありますか?
小林:2018年はロードスターに乗り換えたばかりでクルマにも慣れてなくて、足回りとデフのセッティングも決まっていなくてすごく苦労していた1年だったので。去年ブリヂストンに変更した時は、タイヤももちろん良くなっていますし、クルマも良くなっているので苦労はあまりなかったですね。ただデフのセットはちょっと変えないといけない感じはしました。横は粘るので温かい路面だとひっかかり気味になるんですね。
河本:しかもローパワーだしね
小林:やっぱりそのあたりが難しいので、デフは毎戦ぐらい下ろしてたかもしれませんね。
河本:ほんとまじめだよね(笑) いつも車の下に潜って何かやってたよね?
小林:ほんとは下ろさない方が良いと思うんです。
河本:いやいやそんな事ないと思うけど、気になりだしたらずっと気になっちゃうほう?
小林:良いところ知っているから、そこから落ちちゃうと、気になりだしてずっと気にしちゃいますね。
河本:でも、全日本をこれだけたくさん追ってると、決してベストな状態で走れるって事は少ないじゃないですか?どうしているんですか?
小林:悩むのは前日まで。当日は考えないですね。スタートラインつくときはベストをつくすと思っています。
河本:その割り切りが大切ですよね。

河本:話は変わって、コバちゃんを全日本の会場で見ているとギャップがあって魅力的だなと思っています。コバちゃんのいつもの人柄からすると考えられないくらいガチで攻める時があるじゃないですか? 勢いがものすごく伝わってくる。何かスポーツをやっていたとかあるんですか?
小林:学生まで陸上をやってたんですね。そういう意味では昔から競争が好きなんでしょうね。
河本:その頃から人とせめぎ合うという感覚が身についていたんですね。すごく集中していないとあの走り、タイヤ1本分を攻めるって出来ないと思うんですね。ところでドライバーシートに座った時にやるルーティンワークってあるの?
小林:これといったものは決めていないんですけど、ミンティアは食べてますね。
河本:ミンティア?ミンティアを食べながら出走準備をしている?
小林:そうですね、待機しています。緊張すると口が乾くじゃないですか?なので、毎戦買ってますね。
河本:ゲン担ぎになってる?ちなみに何味なの?
小林:ゲン担ぎではないですね。緑色のカテキンミント味です。 そんな河本さんはルーティンあるんですか?
河本:ヘルメットをかぶってからグローブをはめる、グローブを左手からはめる、ですね。
小林:特にルーティンでは無いですけど、パドックでは出走前は静かにしておきたいとか細かいところを気にしたりしています。
河本:自分のペースを守ってるんですね。


〈編集部〉
小林選手のジムカーナ挑戦経緯と現在までの振り返りのお話を聞いてきましたが、インタビュー前編はここで終了です。インタビュー後編は小林選手のプライベートやジムカーナをこれから始める人へのアドバイアスなどを話して頂きました。お楽しみに。


【小林 規敏 プロフィール】
全日本ジムカーナ選手権にマツダロードスター(ND)で参戦中。2019年はPN1クラスでシリーズ2位を獲得。
広島県出身 9月1日生まれ 35歳  勢いがあるドライビングが持ち味(勢い余って行き過ぎる時があるが・・・)