小林選手のジムカーナをやるきっかけから現在までを振り返った前編に続いて後編では、プライベートなお話と今後ジムカーナを参戦する人へのアドバイスなどを話して頂きました。
［インタビュー前編は：こちら］
河本：ところで日頃乗っている車は何？
小林：先代デミオですね。
河本：デミオで通勤しているの？
小林：通勤は自転車ですね。
河本：ロードスターでドライブしたりするの？
小林：いや競技車ではしないですね。
河本：ところでコバちゃんにとってジムカーナの魅力、全日本に出ている意味って何があると思う？
小林：元々運転がうまくなりたくて競技を始めたので、どこまでうまくなっているかを確認する場所ですね。まず地区戦に出てチャンピオンを獲ったんですが次は？って考えたときに全日本でした。そこでてっぺんまでいきたいと思いました。なので全日本は運転の上達具合を確認できるところですかね。
河本：魑魅魍魎としたライバルの中で争うからね。
小林：そうなんです。全日本に出るとまわりにはいないレベルのドライバーが集まってくるので、自分の実力を試すには最適な場所なんですが・・・試すにしては労力と費用が・・・。
河本：尋常じゃないけどね(笑) でもさすが日本のトップランカーが集まってるところだよね油断できない。自分磨ぎの場所としては最高だよね。
小林：なかなか無いですねこういう場所は。
河本：去年もPN1には強敵が現れましたけど、色々悔しい思いをしたよね？
小林：めちゃめちゃしましたね。
河本：後半は僅差の戦いをしていたんじゃないかな？
小林：もう少し食らいつきたかったんですけど、詰めが甘かったですね・・・全日本はちょっとの詰めの甘さで大負けするじゃないですか？
河本：その重みは全日本じゃないと語れないよね？ そんな全日本で一番悔しいレースってどこでした？
小林：うーん。インテに乗っていた時は2014年岡山国際サーキットラウンドで2位を獲った時ですね。1本目トップだったんですが、2本目のタイムを上げきれなくて、その後逆転されてしまったんです。
河本：結果を見てみると100分の8秒逆転されてんだね。なるほどこれは悔しいですね。
小林：この時は1本目終わった時に「これなら勝てるかな」という油断がありましたね。
悔しい2位での表彰台
小林：ロードスターに乗り換えてからは、昨年のエビスも悔しかったですが一番悔しかったのはTAMADAですね。金曜日、土曜日と結構良いタイムが出てたんですけど。日曜日の決勝になったら最初のターンがうまくいかなくて・・・。
河本：そこからリズムが崩れてたんだ？
小林：普通に走れば勝てるはずだったんですけど。やっぱりトップになるっていうリズムの作り方をわかっていなくて、そこがうまくいかなかったのがダメでしたね。
河本：やっぱりTAMADAで走ったりすると地元だって意識する？
小林：意識はして無いです。走り慣れているコースをいつも通り走るだけだったんですけど、いざ本番になると意識していないところでなんかひっかかるところがあるんですよね。力が入ったりとか、そういうところが上手くいかなかったのが心残りですね。
河本：そういう悔しいところから次につなげるとか、リズムの切替とか心がけていることってあるんですか？悔しかったら凹むほう？
小林：結構凹みますね(笑)
河本：どのくらい凹む？(笑)
小林：どうしても1週間は気分が乗らないですよね。2週間経つと徐々に回復してくる感じですね。
河本：でも去年なんて10戦あって途中3週間しか空いてないラウンドもあって、そうするとそれで2週間終わっちゃうじゃない(笑) 残り1週間で次のレースの準備をするんだと思うんだけど、レースウィークに突入するとどんな事を考えてる？どんな準備をしています？
小林：まずタイヤですね。金、土、日に使うタイヤをどれにしようかとか、私の場合基本的には、金、土は中古タイヤを使うのでタイヤを綺麗してもっていく。路面が荒れているところなら予備を持たなきゃとかですね。あとは小物部品はこれを持っていくというのは決めているので、それをまとめて持っていける様に準備をしたりですね。あとはもちろん洗車ですね。僕の場合クルマは綺麗にして持っていきたいので。
河本：俺と違うなぁ～。俺は現場で洗車だもん(笑) なるほどね。
小林：必ず洗車はしますね(笑)
河本：会場へは自走で行くの？
小林：関東、東北はトラック、それ以外は自走で行きましたね。
河本：広島からだと関東・東北は遠いよね。
小林：遠いんですよ。フェリーがあると良いんですけどね。
河本：ところで今までトロフィーとか盾とかたくさんもらっていると思いますけど家に飾ってるの？どうしてるの？
小林：嫁さんが厳選して飾ってます。
小林家の盾展示スペース
河本：なるほど、どうやって厳選してるの？
小林：基本はシーズンが始まったら、そのシーズンを残していく、去年のものは片付けるという感じです。
河本：片付けるとどこいっちゃうの？
小林：屋根裏部屋にいってます。
河本：ちゃんと保管してるんだね(笑) この前、山野さんの自宅にお邪魔したんですけど山野さんは盾を全部とってあって、すごい量のダンボールに全部入ってて、直近数年分はガレージの壁一面に飾ってありました。すごかったです。
小林：増えたに越したことはないですね。
河本：貰えないより良いよね。これからも貰えるように頑張りましょう。話は変わりますが事前に書いてもらったアンケート用紙の趣味の欄に書いてあったDIYが気になったんだけど、具体的に何をつくってるの？
小林：今回のジムカーナ休み期間は時間があったので、庭にテラスの屋根をつくりました。
実際につくったテラスの屋根
河本：（上記写真を見て）おぉぉ！！
小林：元々なにもなかったんですけど、土台を埋めて、柱を立てて、屋根をつけて、ゆくゆくはウッドデッキみたいなかたちにしたいと思っているんです。
河本：休日にチャカチャカつくっているとはコバちゃんの意外な一面ですね。設計図とか書くの？
小林：一応測って簡易的に絵を描いてから材料を買いにいきます。イメージがある程度分かればいいかなという感じで。
河本：イメージが湧いて、材料をある程度適当な寸法で切って、あとは現場合わせ？
小林：そうですね。
河本：出た！ジムカーナドライバーが得意な現場合わせ(笑) これ以外の趣味はやってないの？
小林：時間とお金に余裕があれば本当はバイクに乗りたいんですよ。
河本：バイクの免許はあるの？
小林：大型まであるんです！
河本：大型まで持ってるの？ 昔は乗ってたとか？
小林：学生の頃は125ccまでしか乗っていなかったんですが、そのあと乗ろうと思って免許は大型までとったんです。ただクルマを始めてしまったので大型バイクは結局乗っていないんです。
河本：大型バイクはジムカーナを引退するまでお預けかな？
小林：そうですね(笑)
河本：ここまで話を聞いていて、コバちゃんは非常に凝り性だ言う事が良く分かりました。
小林：元々釣りもやってたんですよ。
河本：何釣り？
小林：バス釣りです。
河本：僕はフライでマス釣りをしてました。最近は海釣りに行ってますけど。広島は海も近いのに海釣りには行かなかったんだ？
小林：クルマばかりやってたからに尽きますね。
河本：同世代って誰になるの？
小林：ユウくんが同い年ですね。
河本：そうかコバちゃん、ユウくん、一色選手、その下の世代だと若林拳人選手、隼人選手、SHUN選手って感じだね。
小林：そうですね。
河本：みんなインテグラ乗りなんだね。
小林：若者はそこが登竜門になるんですかね？
河本：では先輩として20代のこれからジムカーナを始めようかな？と思っている若い人たちにアドバイスをお願いします。
小林：アドバイスするとしたら、「お金がかからない車に乗りましょう」ですね(笑)
河本：（深くうなずく）ほんとそれ言えると思う(笑)
小林：自分がランサー乗っているときにエンジンを2回直したんですよ、それでターボ車とハイパワー車は懲りたので、それがなければもっと走れてたと思うんですよ。
河本：でも良く心折れなかったね、お金と手間暇かかると心が折れちゃうじゃない。
小林：いや結構うなだれてましたよ(笑)でも好きだったんで直して乗ろうと思って復活させましたけどね。
河本：でもそういう余計な苦労をかけずにジムカーナを続ける為にも、お金のかからない車を選択するのは大切かもしれないね。
小林：乗りたいクルマはあるかもしれないけど・・・。
河本：そういう意味ではロードスターはおすすめ？
2020年カラーリング
小林：お勧めですね。基本的な動きを学べるし良いと思います。
河本：FRを勧める？
小林：今のラインナップでいうと、FRが良いんじゃないですかね？でもFFのスイフトも値段が安くて良いかもしれませんね。
河本：俺も同感だな。やっぱりインテグラやシビックとかじゃなくて新車で販売しているPN系の車両がお勧めかな？
小林：そうですね、古いクルマだと廃番になっている部品が多いので、部品を探すのに苦労します。そうやって余計にお金かかっちゃうこともあるので、あの辺はお金がある人に乗ってもらうのが良いと思います。
河本：メンテナンスに余計な時間がかかったりしちゃうしね？
小林：５、６年前ならインテグラ、シビックもお勧めめだったんですけどね。やはり今から始めるならPN車両をお勧めします。
河本：ありがとうございました。これからジムカーナが少しでも盛り上がっていくように一緒に頑張りましょう。
小林：よろしくお願いします。
〈編集部〉
第4回リレーインタビューお楽しみ頂けましたでしょうか？ 次回はジムカーナにも若手がいるという事を紹介したい！という事でSHUN選手にインタビューをいたします。お楽しみに！
【小林 規敏 プロフィール】
全日本ジムカーナ選手権にマツダロードスター（ND）で参戦中。2019年はPN1クラスでシリーズ2位を獲得。
広島県出身 9月1日生まれ 35歳 勢いがあるドライビングが持ち味
