TGR 86/BRZ Race 2019 Rd.6 CLUBMAN Series EXPERT

このレースで実績を残してきたベテランドライバーと、ステップアップしてきたばかりの若手ドライバーの争いが今シーズンのエキスパートクラスの注目点のひとつ。十勝での第6戦は、それが明確となったレースであった。
チャンピオンに最も近いポイントリーダーは、ベテラン＃84橋本洋平(ブリヂストン)。21.5ポイント差で追う2位は、若手＃305水野大(DL)。3位はチャンピオン経験のあるベテラン＃38神谷裕幸(DL)、そして4位に上がってきたのは新鋭＃56鶴賀義幸(ブリヂストン)。この4人がシリーズ争いだけでなく、十勝でのレースの主役でもあった。
エントリー台数は16台。2ヒート制のため、予選＋2ヒートを1セットのタイヤで走りきることが求められる。やや荒れた十勝スピードウェイの路面は、タイヤの磨耗が厳しくタイヤマネージメントが勝敗を左右すると予想された。

●予選
チャンピオン奪還を狙う神谷が、最初にトップタイムをマーク。タイヤ温存のため、そのワンアタックだけでピットにマシンを戻す。そのタイムをターゲットに予選は進行していくが、上回るドライバーは出てこない。86/BRZでの十勝スピードウェイでの初レースとなった鶴賀は、わずかに届かず暫定3番手タイムに留まる。
そして予選後半、水野がトップへと躍り出る。昨年の十勝では初走行でありながらコースレコードでポールポジションを獲得しているだけに、十勝にマッチしているのだろう。そして満を持して橋本がアタックに入るがアタックラップでイエローフラッグが出て、完全なアタックにはならず水野から約0.9秒遅れの8位となった。
ブリヂストン装着勢は、鶴賀が4位、橋本が8位となった他、＃89池島実紅(ブリヂストン)が9位、＃77上野浩(ブリヂストン)が10位と、トップ10に4台が入った。

●決勝レース
与えられるポイントが第2ヒートには第1ヒートの2倍というだけでなく、最終的なポイント獲得を考えると慎重にならざるを得ない第1ヒートであり、特に上位陣の中ではあまり激しい展開にならないことは予想されていた。その中でブリヂストン装着勢は、着実にポジションを上げていた。
橋本は抜群のスタートを見せてオープニングラップで6位へ。「ポテンザの優位点であるトラクション性能の高さを活かして、スタートで前に出るのは狙っていた」という。オーバーテイクポイントが見当たらない十勝スピードウェイで、確実にポジションを上げられるチャンスはスタートだけかもしれない。
鶴賀もまたスタートで3位へとポジションを上げ、10周目にはベテラン神谷を攻略して2位へ。結果的には、上位陣でポジションを上げたのは、ブリヂストン装着勢だけだった。ポールポジションからスタートした水野が、そのまま1位でフィニッシュした。
翌日の第2ヒート、すでに1レース相当を走ったタイヤで、もう1レースを走らせることになる。そのスタート、鶴賀は再びスタートを決め、水野の前に出て、トップに立つ。だがコース上では十勝を得意とする水野にアドバンテージがあり、5周目の1コーナーでトップを明け渡すことに。
スタートでは、神谷が大きく出遅れてしまい、14位にまでポジションを落とすというアクシデントがあった。6位からスタートした橋本は、その神谷に詰まって混乱した中を上手く抜け出し、1コーナーで3位に。その後、激しいアタックを受けるものの、そのまま3位でチェッカーフラッグを受けた。
レースは水野が鶴賀との差をジリジリとリードを拡げ、第2ヒートも制した。2位鶴賀、3位橋本と表彰台に上がった他、ブリヂストン装着勢は8位に上野、10位に池島が入った。
予選結果が悪かった橋本洋平だったが、最終的には15ポイントを上乗せし、水野大選手に差を詰められたものの、シリーズポイントではトップをキープしている。

●2位を獲得した＃56鶴賀義幸選手のコメント
「2番グリッドだったので、スタートに勝負をかけていました。それが見事にあたってトップに立てたのですが、途中でフィーリングがおかしくなってしまって、オーバーテイクを許してしまいました。マシンのセットアップも悪くなかったし、ミスもしていません。タイヤのパフォーマンスも十分戦えるものだったんですけど、相手のほうが一枚上手でしたね。初めてのコースで2位という結果を残せたのは良かったと思います。次のツインリンクもてぎは、チーム（栃木トヨタ）の地元なので、優勝を狙っていきたいですね」