【2021年全日本モトクロス選手権 Rd.4 SUGO大会 IA1クラス】山本鯨は3ヒートの厳しい戦いを終え、シーズン後半での巻き返しを誓う！

第2戦中国大会が延期されたことから、シーズン3戦目となった第4戦SUGO大会。全日本モトクロス選手権は今大会終了後に約3ヵ月のインターバルに突入するため、シーズン前半を締めくくり後半戦に向けてモチベーションを高めるためにも重要な1戦となった。ロードレースやトライアル、エンデューロやスーパーモトの全日本選手権も開催するスポーツランドSUGOは、宮城県南部に位置する複合モータースポーツ施設。自然のアップ＆ダウンを活かしながら丘陵部に設けられたそのインターナショナルモトクロスコースは、かつて実際に世界選手権を誘致したこともある。コースは、今大会直前に一部のレイアウトを見直し。ストレート＋タイトターンの構成が増える一方で、高速化が図られた区間もあった。
金曜日に雨が降り、各クラスの予選などが実施された土曜日朝の路面はかなりぬかるんだ状態。決勝日に向けてコース状態を保全する目的もあって、この日はショートカットコースが用いられた。ただし、天候に恵まれたことから路面状況は急激に回復。粘土質の路面は土曜日昼以降に水を適度に含んだベストコンディションとなり、走行により深めのワダチも多く発生したが、土曜日の走行終了後や決勝日の昼休みなどには入念なコース整備が施され、一部区間はその都度フラット化された。日曜日の天候は曇りのち晴れ。最高気温は27度と発表されている。
全日本最高峰クラスのIA1は、今季2度目の3ヒート制を導入。レース時間が通常の半分となる15分＋1周の決勝レースが、日曜日に3度実施された。

■決勝ヒート1
ホールショットを奪ったのは#14道脇右京（Honda,BS）。しかし道脇は序盤から徐々に順位を落とし、ポイントリーダーとして今大会を迎えた#1山本鯨（Honda,BS）がまずはトップに立った。しかし山本は、渡辺祐介（Yamaha,DL）の先行を許して1周目2番手。3番手の富田俊樹（Yamaha,DL）までが、序盤からトップグループを形成していった。レース前半、この3台はそれぞれ2秒前後の間隔を保って周回。山本は再逆転のチャンスをうかがっていた。
ところがレースが早くも後半に入った5周目、腕上がりの症状が発生した山本がペースダウン。3～4周目の2分4秒台フラットに対してこの周は2分6秒台終盤と、3秒近くもラップタイムを落とした。これにより富田に先行された山本は、その後もほぼ同じタイムで周回。一度は大きく離していた小方誠（Honda,DL）に迫られたが、ここはなんとか順位を守り、山本は9周のレースで3位表彰台に上がった。また、序盤からほぼ同じ位置をキープした#8星野優位（Yamaha,BS）が6位となった。

■決勝ヒート2
#1山本鯨（Honda,BS）は1周目5番手と、好スタートを連発した前戦と比べると不本意な立ち上がり。#8星野優位（Yamaha,BS）がこれに続いた。レース序盤、山本は富田俊樹（Yamaha,DL）を僅差でマーク。3周目に富田がミスしたのを見逃すことなくパスすると、今度は3番手の小方誠（Honda,DL）に迫った。ところが4周目、山本は転倒を喫して5番手にポジションダウン。4番手の富田からは5秒ほど遅れてしまった。
それでも諦めることなく挽回を図った山本は、小方を抜けずにいた富田との距離を6～8周目にかけて1周につき1秒前後詰め、最終ラップとなった9周目に突入する段階では3秒程度のところに迫った。しかし最後の勝負を狙ってプッシュしたところで再び山本は転倒。同じ周、2番手を走っていた能塚智寛（Kawasaki,DL）も転倒して5番手まで後退したことから、素早くリスタートした山本は4位でチェッカーを受けた。星野は6位でフィニッシュしている。

■決勝ヒート3
これまで精度にこだわり続けてきたロケットスタートが決まらず、#1山本鯨（Honda,BS）は1周目8番手と苦しい展開。それでも、2周目に7番手、3周目には5番手まで浮上して、さらなる上位進出を狙った。この段階で、すでに4番手を走る小方誠（Honda,DL）は4～5秒も先行していたが、4周目にはライバルを1秒以上も上回るこのヒートのファステストラップタイムを叩き出して一気にこの差を削り、5周目にはあっさりと先行した。
しかし、三つ巴のバトルを繰り広げるトップグループとのギャップは約6秒。山本とのラップタイムはほとんど変わらず、山本はそのまま4位でチェッカーを受けた。このヒートでも、#8星野優位（Yamaha,BS）は1周目からほぼ同じ順位をキープして6位となった。今大会の結果、山本はランキング3番手に後退。トップの渡辺祐介（Yamaha,DL）とは23点差となったが、3ヵ月のインターバルを挟んだ次戦からの巻き返しを狙う。

●山本鯨（決勝ヒート1／3位、ヒート2／4位、ヒート2／4位）
「もちろん今大会も、個々が持つ力を最大限に発揮しながらチームとして全力で臨んだのですが、自分たちが抱える課題が顕著に表れることになってしまいました。IA1というのは日本のトップカテゴリーで、上位勢は実力もかなり拮抗しているので、精一杯走りましたがこの状態で勝つことはできませんでした。ヒート1は途中で腕上がり、ヒート2は2度転倒、ヒート3は本来こだわってきたスタートが決まりませんでした。ただし、次戦以降に向けての心配は一切ありません。今大会はうまく乗れずこういう結果だったという事実があるだけで、自分自身もマシンも絶対に良くなると信じているし、今回ダメだった部分に関してはその原因もちゃんと把握できています。当初のスケジュールどおりなら、次戦の舞台は現在のホームコースとも言える名阪スポーツランド。ここから連勝で、逆転チャンピオンを狙うことしか考えていません。ちなみに今大会も、タイヤは土曜日の練習走行からソフト路面用を履き続けました。量産製品の中ではこのタイヤをもっとも気に入っていて、路面がハード寄りになってきても、まずは一貫してX20で戦うと決めています」