2023 FIM 世界耐久ロードレース選手権 EWC。第2戦は6/17-18にベルギーにあるスパ・フランコルシャンサーキットで開催されたスパ24時間。
山の緑に囲まれた自然が美しいサーキットですが、高速区間とアップダウンが激しく、今年は気温が高かった影響もあって、マシンとタイヤに大きな負担が掛かるレースとなりました。
そんな状況の中、ブリヂストンがサポートする3チーム、#1 F.C.C. TSR Honda France、#7 YART Yamaha Official EWC Team、#12 YOSHIMURA SERT MOTULは序盤からトップ3を独占するレース展開。
各チームいくつかのトラブルを乗り越えながらYART Yamaha Official EWC TeamとF.C.C. TSR Honda Franceが1ー2フィニッシュ。YOSHIMURA SERT MOTULが表彰台まであと一歩の4位と素晴らしい成績を残しました。
今回はこのチームを支えるブリヂストンのタイヤサービスとピットボックスの裏側で扱われているレースタイヤを各チーム協力の下、少し紹介していきます。
ブリヂストンでは今回のスパ24時間では約1,000本のタイヤを現場に持ち込んでいます。24時間耐久レースの場合、昼間と夜の気温差が大きい場合、昼間の高温時と夜間の低温時でスペックを使い分けるケースがあります。その為、レース開催時の気温がどれくらいになるかを天気予報等で情報収集し、予報の温度から少し幅を持たせてタイヤスペックを選択し現地にトラックで輸送。今大会では大型トレーラー2台にタイヤを分けて積み込み、スパ・フランコルシャンサーキットにタイヤを持ちこみました。
24時間レースですから、決勝レース中は24時間サービススタッフが待機し、チームスタッフが持ってくる使用済みタイヤを新品に交換する作業が行われます。ブリヂストンのサービスでは2班2交代でサービススタッフが業務を行います。24時間の決勝レースでは各チームピットインしてタイヤ交換を行った後はエンジニアがタイヤの状況をチェック。ライダーから現状のタイヤのフィーリングを聞き、夜間で気温・路面温度が下がってきた時など、状況によっては次のライダー交代時にスペックを変更する等を判断していきます。
これらの走行済みタイヤはタイヤサービスに持って来て、新品タイヤに交換していきます。
各チームはリムに組んだタイヤにタイヤウォーマーを巻き、タイヤラックにて管理しています。このタイヤラックはチームによって様々で、ブリヂストンサポートチームはそれぞれの考え方でタイヤラックに載せたタイヤを管理。それぞれのタイヤラックと管理状況を紹介します。
まずは昨年のチャンピオンチームであるF.C.C. TSR Honda Franceはタイヤラックがこのようなカバーに覆われてタイヤを管理。特にごく低温時にはとても有効で、リムまでしっかり温まりますから、タイヤの温度が狙い通りの温度まで上がる利点があります。またWetタイヤはカバーの無いラックに載せられています。Dryタイヤと比べWeyタイヤはタイヤウォーマーの温度が低く、タイヤ温度に管理にあまり神経質になる必要がありません。続いてはスパ24時間で14年振りに24時間レース優勝を達成したYART Yamaha Official EWC Team。こちらもF.C.C. TSR Honda Franceと同様にタイヤラックをカバーで覆うタイプを使用。これと同じものが反対側にも設置されており、トータル前後10セットのタイヤウォーマーをセットして管理できるようになっています。次は耐久レースのスペシャリストであるYOSHIMURA SERT MOTULのタイヤラックです。こちらのチームでは移動出来るような大きなボックス上の中にタイヤをセット。上段にフロントタイヤ8本、下段にリヤタイヤ7本がセットできるようになっていて、このラックをL字型に配置し、最大Fr 16本、Rr14本までセット出来ます。また耐久レーススペシャリストチームらしく、フロントのブレーキディスクを管理する木製ラックが格好いいです!
今回はほんの少しですがEWCの内側、タイヤサービスとチームのタイヤ管理状況を紹介しました。EWCは24時間レースの場合、スプリントレースには無い様々な裏方の業務があります。
これからもEWCで活躍するライダーやチームを支える裏側の情報をお届けしますのでお楽しみに!
ブリヂストンはF.C.C. TSR Honda France、YART YAMAHA、YOSHIMURA SERT Motulと共に3年連続4度目のEWCタイトル獲得を目指します!