自動車レースには大きく2つのカテゴリーがある。ひとつは、インディカー・シリーズやF1などに代表される、オープンホイールのクルマ(フォーミュラカー)を使ったレース。そしてもうひとつがアメリカのNASCAR、ヨーロッパのDTM、そして日本のSUPER GTなどに代表される、いわゆる"ハコ車"のレースである。

SUPER GTとは?

国内最高峰のモータースポーツと言われ、圧倒的なパフォーマンスを持つマシンによって、毎年激しいコンペティションが行われているSUPER GT。特に、トヨタ、ホンダ、日産がワークス体制で参戦するGT500クラスは、各社ともその威信を賭けた戦いを繰り広げている。自動車レースはドライバーの戦いであると同時に、技術の戦いでもある。ワークス体制で参戦しているということは、レース結果は自動車メーカーとしての技術力や企業イメージにつながることもあり、開発はヒートアップ。それはそのまま、レースが白熱することにもつながるのである。

開発はマシンだけではない。SUPER GTは、複数のタイヤメーカーのコンペティションがある、世界的に見ても稀有なレース。GT500、GT300両クラス合わせてブリヂストンをはじめ全4メーカーが参戦。熾烈なタイヤ競争を展開している。
この自動車メーカー、そしてタイヤメーカーのそれぞれの誇りと威信を賭けた戦い...それがSUPER GTのおもしろさを生み出しているといえる。

SUPER GTには、前述のように、GT500クラスとGT300クラスがある。GT500クラスには、日産Z、トヨタGR Supra、そしてホンダ陣営は今年から車両を CIVIC TYPE R-GTに変更して参戦する。また今年は車両開発の制限が解除され、各メーカーとも精力的なテストを既に開始しているが、2024年もタイヤの持ち込みSET数削減がなされる為、タイヤの性能が勝負の鍵を握るのは間違いない。今年も各社マシンによる白熱した戦いが繰り広げられそうだ。

GT300クラスは、大きく分けて「FIA GT3」と「GT300」の2種類の規格に準じた車両が参戦している。「FIA GT3」は今世界中でレースが行われている車両規格で、スポーツカーをベースとしたレース専用の市販車両である。SUPER GTにもメルセデスベンツ・BMW・フェラーリ・ランボルギーニ・レクサス・日産・ホンダなどのメーカーのGT3車両が多数参戦している。
一方「GT300」はSUPER GT独自の規格で、車両はレクサスLC・GR86・GRスープラ、スバルBRZといった馴染みのある名前と見た目であるが、中身は完全に別物となっている。またFIA GT3と比較して改造や調整の範囲が広いと言われている。

SUPER GTの決勝レースは、GT500クラスとGT300クラスの2クラスが混走して行われる。まず、ローリングスタート方式でGT500クラスがスタート。それから遅れて、GT300クラスがスタートする。ここがひとつのポイント。スピードの違う、2クラスが同時にレースをすることで、サーキットの至るところでバトルが行われ、サーキットを訪れたファンの方々は、さまざまなバトルを見て楽しむことができる。

そして、SUPER GTのレースをさらにおもしろくしているのが、「サクセスウェイト制」の導入だ。これはクルマのパフォーマンスをレースごとにある程度均一化することで、バトルを増やそうというもの。入賞者には、次戦レースで獲得ポイントと連動したサクセスウェイトが課される。GT500クラスでは、50kgまではウェイトのみが課されるが、それ以降はウェイトと燃料流量リストリクターを併用したサクセスウェイトが課され、マシンのパフォーマンスが引き下げられることになる。一方GT300クラスではサクセスウェイトによる燃料流量の調整はなく、最大80kgまでのウェイトが課される。
このサクセスウェイトをも戦略の中に取り込み、ポイントを積み重ねながら年間のシリーズ戦を戦い抜くことができた者だけが、年間王者の栄誉に浴することができるのである。

ブリヂストンとSUPER GT

SUPER GTの前身である「全日本GT選手権」が、1994年に始まって以来、17年連続でGT500クラスのチャンピオンの足元を支えてきたブリヂストン。2011年、2012年、2014年、2015年は残念ながら優勝から遠のいたが、再び2016年から2023年まで8年連続でブリヂストン装着チームがシリーズ優勝を獲得している。ブリヂストンには、エントリーカテゴリーであるレーシングカートから、世界最高峰のF1までを経験したからこそ蓄えられた技術とノウハウがある。
勝利の探求に終わりはない。そのためにブリヂストン技術陣の魂が込められたレース。SUPER GTは、そのようなレースと言えるのかもしれない。

2024年シーズンの見どころ

GT500クラスはこれまで以上にトヨタ、ホンダ、日産による激しい戦いが展開されると予想される。2024年ブリヂストンは、トヨタ勢5チーム、ホンダ勢4チーム、日産勢3チームの、合計12台にタイヤを供給する。
GT300クラスは合計4台にタイヤを供給する。FIA GT3車両、GT300車両いずれにおいてもブリヂストンはパフォーマンスを発揮しており、ブリヂストン装着チームどうしの熱い闘いが見られるはずだ。
加えて今シーズンもタイヤの持込セット数が1台当たり1セット削減となった。これによりレースフォーマットが下記のように大きく変更される。
1)GT500クラス、GT300クラスともにQ1、Q2の「タイム合算方式」とする
2)Q1、Q2を通じて使用できるタイヤセット数を1セットに制限する
※決勝スタートタイヤは予選で使用したタイヤとする
3)以下の新ルールを設定
➀ 予選上位に付与するポイントを3位まで拡大(1位 3pt、2位 2pt、3位 1pt)
※予選上位ポイント、ポールポジション獲得回数はドライバー2名ともに付与
② 予選不出走車両は決勝レースをピットスタートとする
③ Q2基準タイムを採用(未達チームのピットスタートなどを検討)
タイヤメーカーにとってはさらに少ないタイヤ本数で昨年以上のパフォーマンスを発揮する技術力が求められるシーズンとなるが、「チャンピオンチームの足元を支える」というブリヂストンの熱い思いに変わりは無い。常に新たな技術が積極的に盛り込まれているブリヂストンタイヤによる、さらなるパフォーマンスの向上が期待されている。

ブリヂストンサポートチーム

◆GT500クラス
3. NISMO NDDP
8. ARTA
12. TEAM IMPUL
14. TGR TEAM ENEOS ROOKIE
16. ARTA
17. Astemo REAL RACING
23. NISMO
36. TGR TEAM au TOM'S
37. TGR TEAM Deloitte TOM'S
38. TGR TEAM KeePer CERUMO
39. TGR TEAM SARD
100. STANLEY TEAM KUNIMITSU

◆GT300クラス
2. muta Racing INGING
31. apr
52. Green Brave
65. K2 R&D LEON RACING

タイヤについて

自動車メーカーが、さまざまなレースに参戦し、コンペティションの中で技術力を向上させてきた歴史があるように、タイヤもまた、レースを通じて進化してきた。

1960年代からレース・フィールドに参戦してきたブリヂストン。やがてその舞台を世界にも広げ、ル・マン24時間レース、DTM、INDY、そしてF1といった、最高峰クラスに参戦し、そこでさまざまなタイヤメーカーと戦うことで、技術力を高めてきたという歴史を持つ。

しかし現在のモータースポーツ・シーンにおいて、タイヤ競争が行われているカテゴリーを探すのは難しい。「イコール・コンディションでクルマ同士を戦わせること」「天井知らずの開発競争に歯止めをかけること」理由はいろいろあろうが、タイヤについては"ワンメイク"となっているレースが多いのが事実だ。そのような中でSUPER GTは、複数のタイヤメーカーが参戦し、コンペティションを繰り広げているシリーズである。

2024年シーズン、ブリヂストンは「GT500クラス」については15台中12台、「GT300クラス」には4台にタイヤを供給。両クラス合わせて4つものタイヤメーカーが激しいコンペティションを展開している中で、ブリヂストンは主力チームの足元を支える役割を担っている。

タイヤに関するRegulation~レギュレーション~

レースウィークでのタイヤの持ち込み数については1台につき、300kmレースの場合ドライタイヤ4セット、ウェットタイヤ5セットまで持ち込むことができる。(ただしレース距離の長いレースについては別途持ち込み可能セット数が発表される)
ただし、前年度優勝できなかったタイヤメーカーは、第1戦から優勝するまでの間、ドライタイヤの持込本数を1セット追加できる。なお、ウェットタイヤは、ウェット宣言が出された場合のみ装着できる。

加えて、タイヤ開発のテストにおいてもスポーティングレギュレーションによって各種制限が設けられており、下記に概要を記載する。
・タイヤメーカーテストは最大16時間を限度として実施できる。
ただし、GT500クラスについて前年のシリーズ戦で未勝利のタイヤメーカーは、これに加え最大16時間、合計32時間のタイヤメーカーテストを実施できる。これに加え、非主タイヤ開発メーカーはGT500 クラスのタイヤメーカーテスト時間を装着車両1 台あたり年間12時間まで拡大できる。

なお、F1などに見られるタイヤウォーマーの使用は、いずれのタイヤにも禁じられている。