Vol.32 2024年シーズン NEWブリヂストンドライバー紹介 PART5 ~#31 apr LC500h GT~

昨シーズンaprが投入し、大きな注目を集めたレクサスLC500h GT。新車ながらシーズンが進むにつれて速さと強さを発揮し、第7戦オートポリスでは待望の表彰台へ。クルマの熟成が進んだ今シーズン、鋭い速さを見せる小高選手とGT300デビューを果たす中村選手のコンビネーションでどんな活躍を見せてくれるのか、要注目です。


「優勝は必須。目指すのはチャンピオンの座です」
小高 一斗選手

「小高選手との差を詰め、自分の走りを磨いていく」
中村 仁選手

_D7A0686.JPG

――プリウスからレクサスへとマシンをスイッチしてLC500h GTを投入した昨シーズンは、後半になるほど調子を上げてきました。その流れからシーズンオフ、ここまでの仕上がりなどをお聞かせください。
小高一斗選手(以下、小高):まず今年はチームメイトに新しく中村選手を迎えました。クルマは2シーズン目となって、セッティングなどもかなり煮詰まってきています。タイヤ選びが重要なSUPER GTですが、タイヤ選択肢の幅や全体的なクルマとタイヤの相性もより高まってきています。
――LC500h GTは登場したときから大きな注目を集めたクルマですし、高速型のサーキットに強いとも言われています。現時点でのクルマの特徴や強みなど、お聞かせください。
小高:何よりいちばん「でかい」クルマです。いや、「でかい」というより「長い」。このクルマを開発するにあたっては、風洞実験を行ってダウンフォースの確保にも力を入れましたが、実際に走らせて感じたのは富士スピードウェイや鈴鹿サーキットといった、距離が長くて広いコースが合っているということです。ハイブリッドを搭載していることもあってサイズが大きく、重量もある。ですから狭いコースよりは富士や鈴鹿といった広いコースが得意です。

_D7A0656.JPG

――中村選手はこれまでカートからフォーミュラ一辺倒ですね?
中村:LC500h GTは去年の11月にテストで初めて走らせました。ハコ車に乗ったのはほぼ初めてで、前の日までF4で走っていたこともあってものすごく違いを感じました。重量もパワーも桁違いで、2月、3月と結構走る機会を作っていただいて、ようやくクルマに慣れてきたかなって感じです。
――やはり大きく違うのですね。
中村:もう全然違います。重量も大きさも、タイヤのグリップ感ももちろん違う。パワーもありますし、一口にレーシングカーと言ってもまるで別物です。
――これまでのブリヂストンタイヤの印象をお伺いしたいのですが、小高選手は2020年のGT300でADVICS muta MC86に乗って第6戦SUGOで2位、最終戦のもてぎで3位と表彰台にも上がっています。
小高:ブリヂストンタイヤについて言うと、何よりもまず素晴らしいタイヤです。SUPER GTではそこそこ長い距離を走るので、そこでブリヂストンの強さが発揮されます。今年の予選はQ1とQ2を同じタイヤでアタックしなければなりませんが、そういう部分でもアドバンテージはあると思いますし、決勝のレース距離も長くなるので、ブリヂストンの強みを最大限に生かせると思っています。2020年のADVICS muta MC86では1年目の出来たてのチームで色々と苦労しましたが、2回ポールポジションを取ることができました。これはブリヂストンタイヤのおかげもあると思います。前半戦はあまり結果に繋がりませんでしたが、後半戦では2回表彰台に上がり、ブリヂストンのパフォーマンスの高さを実感しましたね。
――中村選手はカートでブリヂストンタイヤを履いていました。
中村:はい。F4はコントロールタイヤですから、ブリヂストンでレースしたのはカートです。SUPER GTに出るということで初めて履いたタイヤがブリヂストンなので、正直、他と比べるようなことはできないんですけれどーーただ、テストでロングランを担当することが多いのですが、ルーキーの僕でもコンスタントに悪くないペースを刻むことができています。これなら予選でも決勝でも、ブリヂストンタイヤが強みを発揮してくれると期待しています。
――GT300の車両を走らせて、クルマそのもの、あるいはタイヤについても、難しい部分やこれまでと違うドライビングを強いられることはありませんか?
中村:何よりもまず重量が違うので、よりていねいに。どんなクルマでもていねいに走らせるのは当たり前ですが、クルマの重さを考えながら走らせるという点が大きな違いだと思います。また、タイヤのグリップも高いので、そのグリップをいかに使いこなすのかも課題です。

_76A5424.JPG

――2年目を迎えてクルマの開発も進む中で、私たちブリヂストンへのリクエストも高まると思います。
小高:予選方式やレース距離といったフォーマットが変わったことで、今まで以上にロングライフなタイヤが求められるので、クルマとしてもそれを意識したセッティングを追求していきますし、タイヤもより長持ちすることを目指して開発というか、一緒にそういうタイヤを見つけていきたいと思っています。いいタイヤって、自分のドライビングが上手くなったと勘違いしちゃうぐらい運転が簡単になります。SUPER GTのタイヤは気温や路面温度に非常に敏感で、そこはとてもシビアなんですけれど、そこさえしっかりコントロールしてタイヤの性能を100パーセント引き出すことができれば、あとはタイヤが僕らを引っ張ってくれます。ドライバーからすると本当にいいタイヤ。元々持っているパフォーマンスが高いので、それさえ出し切ることができればドライビングがどうこうというよりも、ステアリングを切ったら自ずと曲がるし、ブレーキを踏んだら止まる。とにかくポテンシャルが高いので、僕らが意識するのはタイヤの性能をいかに出し切るか、です。
――開幕戦への意気込み、そして今年の目標をお願いします。
小高:今年はもう、完全にシリーズチャンピオンを目指して戦える位置にいると思っています。常に全力で走りますが、SUPER GTって勝ったらサクセスウェイトを積んだりするので色々難しいというか、考えてレースしなきゃいけない部分があります。クルマが2年目となりチームとしても進化し、セットアップも完成に近いところまで煮詰まってきている。タイヤとクルマのマッチングも良くなってきている。優勝は絶対に必要ですが、それ以上にタイトルを狙うことができなければ、一緒に戦う仲間たちに申し訳ない。そこをしっかり意識して戦っていきます。もちろんレースなので接触してしまうこともありますし、タイヤ交換でロスすることだってある。何が起こるか分からないのがレースですから、チームもドライバーも、それは十分に気をつけます。気になるのは僕ら以外のブリヂストンを履いているチームですね。そこが標的になると思うので、同じタイヤを使っているライバルを意識しています。
中村:1年目で分からないことばかりですし、まだ実際のレースを経験していません。距離にしても、こんなに長いレースを走った経験もありません。まずはチームメイトである小高選手にどれだけ近づけるかが課題です。ドライビングにしても、クルマの操作で足りない部分はあります。精細さというところで今ちょっと欠けている気がするので、そこをもっと磨いていきたいですし、チームやタイヤエンジニアへのフィードバックにしても、自分より小高選手のほうがずっと多くのことを伝えている。データロガーにも繊細さが欠けている部分は表れますし、すべてにおいてより繊細に、ということ意識していきます。僕が小高選手に少しでも近づくことができれば、それに合わせてシリーズチャンピオンの座も近づいてくると思っています。しっかり自分の課題と向き合って、日々成長していきたいと思います。
小高:きっといい走り、してくれると思います。GT500とGT300が混走という普通のレースではないところは、実際に走ってみるしかないし慣れるしかない。でも、そういうところを除けば、速く走るポテンシャルは持っていますから。僕ら、強いチームになってきていると思います。きっとトップ争いをしますから、ぜひ応援お願いします。今年は結果を追求していきます。