【2021年全日本ロードレース選手権 第3戦 SUGO ST600 】　荒川晃大が全日本初優勝 大荒れのレースで若手が大活躍

全日本ロードレース選手権第3戦SUGOラウンドは、ST600クラスにとっては2レース目。31台のエントリーを集めての戦いとなった。梅雨入りの話題が日本中を駆け巡る中、スポーツランドSUGOでのレースウイークも悪天候で始まった。金曜日の特別合同走行も午前中こそウエットコンディションで走ることができたが、午後は濃霧のためにキャンセル。予選が行なわれた土曜日も朝から雨が降ったりやんだりの不安定な天候になった。

35分間の予選セッション。真っ先に1分31秒台にタイムを入れたのは「ST600クラスはよく赤旗が出るから早めにタイムを出すべきだと思った」という荒川晃大。荒川がにらんだとおり、セッション中盤で赤旗中断があり、残り19分でセッションが再開される。さらに残り7分で突然コースが霧に包まれて再び赤旗が出ると、そのままセッション終了となった。結局、荒川が2番手の小山知良にコンマ583秒の差をつけてのポールポジション獲得。唯一の1分31秒台だった。荒川は「事前テストから調子がよく、ドライコンディションにはかなり自信があった。レースはアベレージが大事。テストではそれを課題として、うまくまとまってきた」と語る。「ドライなら自信がある。明日の天候は分からないが、やるべきことをやればいい結果につながると思う」と気合いを入れていた。

決勝日の朝の霧はレーススケジュールが始まるまでに晴れた。午前中は路面が濡れている状況だったが、昼頃には薄日も差し、路面は他クラスのレースごとに乾いていった。ST600クラス決勝がスタート時は再び曇り空。そんな中で好スタートを切ってホールショットを奪ったのは長尾健吾。鈴木光来、横山尚太、荒川、小山知良、國峰啄磨と続き、この6台でトップグループを形成。後方では埜口遥希と阿部恵斗が転倒。トップは長尾から荒川へと入れ替わる。その背後につけたのは小山。その小山のテールにぴたりとつける鈴木。この3台が少し集団から抜け出す。9周目。小山が「荒川選手と走り方が全く違って、至る所で突っ込みそうになっていた。リズムが崩れた」と、ハイポイントコーナーでまさかの転倒。これで荒川がトップ独走体制に移行。鈴木の背後には國峰が迫り2位争いを挑む。14周目。今度は鈴木が転倒。これで國峰は単独2番手。横山と長尾のバトルが表彰台争いに変わる。　荒川は最後までハイペースで周回。最後は10秒近いアドバンテージを築いて全日本初優勝。國峰が2位。3位争いは横山が制して全日本初表彰台を獲得した。これで國峰はランキングトップに浮上。テストで手と胸を負傷したという國峰は「この状態で2戦連続表彰台に乗れたのはよかった」とコメント。初表彰台獲得の横山は「宮城県出身だしチームも地元。ここで初めての表彰台だから素直にうれしい」と笑顔を見せた。

●荒川晃大（予選１位／決勝１位）
「素直にうれしいです。今までトップ集団での走行経験が少なかった。でも自分のペースを刻めば逃げ切れると思いました。できるかぎり転ばないタイムで周回しようと。最後までラップタイムを落とすことなく周回できました。作戦どおりにいってうれしいです」