天候の急変が度重なって3度目の赤旗提示でレース終了。野尻智紀/大湯都史樹(ARTA MUGEN NSX-GT/BS)が3位フィニッシュ

  • 開催場所:岡山国際サーキット
  • 開催日:2023年04月15日(土) 〜 2023年04月16日(日)
2023年オートバックスSUPER GT第1戦 岡山国際サーキット [GT500]

これほど天候の急変に見舞われることがあっただろうか。
岡山国際サーキットで開幕した2023年の初戦は、予選、決勝ともに雨の影響を大きく受けるレースとなった。決勝でトップに立ったブリヂストンユーザーがコンディション変化によって起こった混乱で順位を失い、ミスも発生。レースは20周を残して赤旗が振られそのまま終了。開幕戦を制することができなかった。

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<予選>
大会事務局がセッション開始直前に予選の各セッションを5分延長することを通知しての開始となった。GT300クラスの予選Q1で激しく降っていた雨もGT500クラスの予選Q1が始まる頃にはほぼ止み、しかし依然としてとコースはウエット。レインタイヤのヒートアップを抑えるマネージメントをしながらのアタックとなっていた。今シーズンラストイヤーとなるNSXの山本尚貴/牧野任祐(STANLEY NSX-GT/BS)がトップタイムを叩き出し、そのままQ1を終えるかと思われたが、セッションの最後に松田次生/ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH Z/MI)がトップに躍り出た。

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Q2は各セッションの5分延長を受けて当初の開始時刻から20分遅れて開始。完全に雨は止んだがコースコンディションはウエット。松田/クインタレッリ組が毎周回タイムアップしてポールポジションを獲得。それに千代勝正/高星明誠(Niterra MOTUL Z/MI)が続いた。ブリヂストン装着勢最上位は昨年、一昨年と開幕戦を制している大嶋和也/山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra/BS)が、4番手2列目から決勝をスタートすることとなった。

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<決勝>
決勝日の朝は、晴れ。だが、決勝レースの途中で雨が降るという予報が出ていた。
予報は、現実のものとなってSUPER GTの歴史の中でこれまでになかったフルコースイエロー(FCY)とセーフティカー(SC)の出動、赤旗中断が多発。ルーティン以外のピットインだけではなく、タイヤ交換のためのピットインを何度も行わなくてはならず、その度に順位変動が起こってレースは大混乱した。ドライで決勝のスタートが切られ8番手スタートの山本尚貴/牧野任祐(STANLEY NSX-GT/BS)が一気に3位へ順位アップ。この3位に浮上した5周目あたりから雨が降り始め、それが一部では雹となり、15周目には豪雨に。その後GT300車両がコースアウトし最初のFCYとSCが展開された。各車がスリックタイヤからレインタイヤへ交換し、その後空は晴れ、ピットイン後は山本/牧野がトップ。笹原右京/ジュリアーノ・アレジ(Deloitte TOM’S GR Supra/BS)が2位となった。しかし、この2台はSCが展開され始めた後にピットインしたためにピットストップ60秒のペナルティで後退。これに代わってトップに立ったのはレインタイヤで走行を続けた坪井 翔/宮田莉朋(au TOM’S GR Supra/BS)。2番手には松田次生/ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH Z/MI)。しかし41周目に松田/クインタレッリ組が坪井/宮田組をパス。そしてここから路面は乾き始めスリックタイヤへ交換するチームが相次ぐ。坪井/宮田組はスリックに交換して2位のままレースに復帰。しかし、またしても雨が降り始めて48周目にGT300車両がコースアウトしてFCY宣言。50周目にFCYが解除になり、このタイミングで松田/クインタレッリ組はピットインしウエットタイヤに交換。この直後に2台のGT300 車両が絡むアクシデントが発生しSCが導入。そして雨が強まるとともに近隣での落雷で一度目の赤旗中断となる。SC先導からレース再開後に各車は、再びピットインしてレインタイヤへ交換。ここで2番手でコースに復帰した坪井/宮田組にピット作業のミスが発生。左フロントタイヤを完全に装着する前にジャッキダウン。ピットアウトしたものの、コースサイドにストップ。加えてGT300クラスでもストップする車両があって、またしてもSCがコースイン。その後2度目の赤旗中断。この時点で松田/クインタレッリ組がトップ、2位に千代/高星組。そして3位には、大会前にシャシーを交換したために序盤で5秒のピットストップペナルティから順位アップしてきた野尻/大湯組となっていた。中断後にSC先導で再開されたが、コンディションの好転が望めずに63周して3度目の赤旗が提示されて、レースは終了となった。
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<ブリヂストン MSタイヤ開発マネージャー:山本貴彦のコメント>
「予選の段階から直前に5分間の延長が通達されたことや決勝では度重なる中断の判断がBSチームにとって不利に働いた面がありました。技術的にはコンディション変化の中でわれわれに有利なものと、そうでない状況が入り混じった難しい展開がありました。また今回初めての走行となった決勝の序盤のドライ路面では、持ち込んだスリックタイヤの性能は山本/牧野組の快走を見ても良かったと判断しています。次戦以降に向けては、他社対比不利なコンディションがあること自体が課題と捉えており、この部分は今回の結果をしっかり分析して開発を進めていきます」

レース結果

コース:岡山国際サーキット

[GT500]

決勝

  • 開催日:2023/04/16
  • 天候:Cloudy-Rain
  • 路面:Dry-Wet
  • 路面温度:30°C〜14°C
  • 決勝出走:15
  • 完走:15
  • (3.703km x 61laps = 225.883km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 23 松田 次生/R.クインタレッリ MI MOTUL AUTECH Z 61 2:44'47.342
2 3 千代 勝正/高星 明誠 MI Niterra MOTUL Z 61 2:44'48.838
3 8 野尻 智紀/大湯 都史樹 BS Bridgestone ARTA MUGEN NSX-GT 61 2:44'52.130
4 14 大嶋 和也/山下 健太 BS Bridgestone ENEOS X PRIME GR Supra 61 2:44'54.419
5 38 立川 祐路/石浦 宏明 BS Bridgestone ZENT CERUMO GR Supra 61 2:45'01.714
6 1 平峰 一貴/B.バゲット BS Bridgestone MARELLI IMPUL Z 61 2:45'06.284
7 17 塚越 広大/松下 信治 BS Bridgestone Astemo NSX-GT 61 2:45'09.920
8 39 関口 雄飛/中山 雄一 BS Bridgestone DENSO KOBELCO SARD GR Supra 61 2:45'12.319
9 19 国本 雄資/阪口 晴南 YH WedsSport ADVAN GR Supra 61 2:45'15.365
10 64 伊沢 拓也/太田 格之進 DL Modulo NSX-GT 61 2:45'23.223
11 16 福住 仁嶺/大津 弘樹 BS Bridgestone ARTA MUGEN NSX-GT 61 2:46'38.956
12 100 山本 尚貴/牧野 任祐 BS Bridgestone STANLEY NSX-GT 60 2:44'56.217
13 37 笹原 右京/G.アレジ BS Bridgestone Deloitte TOM'S GR Supra 60 2:45'19.094
14 24 佐々木 大樹/平手 晃平 YH リアライズコーポレーションADVAN Z 59 2:45'43.382
15 36 坪井 翔/宮田 莉朋 BS Bridgestone au TOM'S GR Supra 56 2:07'28.714
[GT500]

予選

  • 開催日:2023/04/15
  • 天候:Cloudy
  • 路面:Wet
  • 路面温度:14°C〜16°C
  • 決勝出走:15
  • (3.703km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 23 松田 次生/R.クインタレッリ MI MOTUL AUTECH Z 9 1'27.860
2 3 千代 勝正/高星 明誠 MI Niterra MOTUL Z 10 1'29.035
3 64 伊沢 拓也/太田 格之進 DL Modulo NSX-GT 9 1'29.347
4 14 大嶋 和也/山下 健太 BS Bridgestone ENEOS X PRIME GR Supra 9 1'29.742
5 19 国本 雄資/阪口 晴南 YH WedsSport ADVAN GR Supra 9 1'30.322
6 37 笹原 右京/G.アレジ BS Bridgestone Deloitte TOM'S GR Supra 8 1'30.772
7 8 野尻 智紀/大湯 都史樹 BS Bridgestone ARTA MUGEN NSX-GT 9 1'31.589
8 100 山本 尚貴/牧野 任祐 BS Bridgestone STANLEY NSX-GT 9 1'31.717
9 16 福住 仁嶺/大津 弘樹 BS Bridgestone ARTA MUGEN NSX-GT 8 1'30.511
10 36 坪井 翔/宮田 莉朋 BS Bridgestone au TOM'S GR Supra 9 1'30.565
11 24 佐々木 大樹/平手 晃平 YH リアライズコーポレーションADVAN Z 8 1'30.600
12 1 平峰 一貴/B.バゲット BS Bridgestone MARELLI IMPUL Z 4 1'30.811
13 17 塚越 広大/松下 信治 BS Bridgestone Astemo NSX-GT 4 1'30.939
14 38 立川 祐路/石浦 宏明 BS Bridgestone ZENT CERUMO GR Supra 8 1'31.279
- 39 関口 雄飛/中山 雄一 BS Bridgestone DENSO KOBELCO SARD GR Supra DNS