2023年オートバックスSUPER GT第8戦 もてぎ [GT300]

チャンピオンを争う2台。第6戦、第7戦を勝ち大量のポイントリードで最終戦を迎えた吉田広樹/川合孝汰（埼玉トヨペットGB GR Supra GT/BS）と予選でポールポジションを得られなければ、チャンピオンへのチャレンジ権を失う堤　優威/平良　響（muta Racing GR86 GT/BS）の争いは、予選から白熱した。蒲生尚弥/篠原拓朗（LEON PYRAMID AMG/BS）が予選3番手から2位へ順位アップして開幕戦以来、同じく2位で表彰台に立った。そして、チャンピオンの栄冠は吉田/川合組の頭上に輝いた。

＜予選＞ランキングトップの吉田/川合組と2位の堤/平良組のポイント差は、20点。堤/平良組がポールポジションを獲得できなければ、最終戦の予選でチャンピオンが決定するというSUPER GT史上初めてのシーンとなるかもしれなかった。堤/平良組は、練習走行の各セッションでトップタイムをマークし、その好調さをそのまま予選でも発揮してQ1のグループトップ。そして、Q2でもトップで見事ポールポジションを獲得。予選時点でのチャンピオン決定を阻止した。吉田/川合組は、7番手と遅れをとってしまったが、チャンピオン争いの優位性は変わらなかった。蒲生/篠原組が3番手、小高一斗/根本悠生（aprLC500h GT/BS）が6番手グリッドからから決勝をスタートすることとなった。

＜決勝＞サクセスウエイトが無くなる最終戦。そして、給油回数の義務も無く、ドライバーの周回数規定だけをクリアするのみ。ブリヂストンユーザーの各車は、タイヤ無交換で決勝を走り切る作戦だった。しかし、決勝前の段階からサーキットの上空には黒い雲が広がり始めていた。レースの序盤、ポールポジションからスタートした堤/平良組が首位をキープ。断続的に雨がパラついていたが、コースコンディションに影響するほどではなかった。2番手からスタートした小暮卓史/元嶋祐弥（JLOCランボルギーニGT3/YH）がトップに迫っていた。堤/平良組にとってチャンピオン獲得の可能性は、優勝して吉田/川合組がノーポイントに終わるという条件だったが15周目に小暮/元嶋にパスされてチャンピオン獲得の可能性を失ってしまった。断続的に降る雨の中で吉田/川合組は、序盤に5位に順位をアップして周回を重ねていた時折雨が強くなる中でもスリックタイヤで蒲生/篠原組は2位に順位アップ。小高/根本組も着実にポジションアップして上位を目指し、僅か0.47秒差で表彰台を逃したが4位でゴール。吉田/川合組は、7位ゴールでチャンピオン獲得。堤/平良組は9位でレースを終えてランキング2位で2023年シーズンを終えた。

＜チャンピオンドライバーのコメント＞
吉田広樹選手「このチームに移籍して5年目。毎年チャンピオン争いをすることができていたのですが、詰めが甘くてこれまでチャンピオンになれなかった。しかし、今シーズンは、確実に結果を残すことを目標としていたのですが、結果を残せなかったレースもありました。いつものようにタイヤ無交換作戦で川合選手からバトンタッチして40周くらい走行するためにタイヤをケアし、コンディション変化の中でスリックのままリスクを犯さず、一つでも前にという気持ちでライバルに負けられないという強い気持ちを持続してゴールし、初のチャンピオンを獲得できました」

川合孝汰選手「無交換作戦ですからできるだけタイヤを残して吉田選手に渡すために頑張りました。このコースの特徴で前に詰まることもあって思うようにペースを上げられなかったですが、それがなかったらもっと良いペースで走れたと思います。なんとか無事に手渡すことができて、雨の中で吉田選手が頑張ってくれて、ゴールした時のスタッフの笑顔を見て本当にほっとしました。連勝して大量リードで迎えた最終戦でしたが、ゴールして本当にホッとしました」

＜ブリヂストン　MSタイヤ開発マネージャー：山本貴彦のコメント＞
「ブリヂストンユーザー同士のチャピオン争いは、予選で決まるかもしれないという状況だったので吉田/川合組と異なるタイヤ選択によって堤/平良組がポールポジションを獲得できました。もてぎでは定番となるタイヤ無交換作戦に関しては優位性を示すことができ、蒲生/篠原組、小高/根本組の上位フィニッシュに貢献できました。埼玉トヨペットGBさんチャンピオン獲得おめでとうございます。GT300クラス、GT500クラスの両クラスチャンピオン獲得が達成できました」