難しいコンディションを会心の戦略で15台中14番手グリッドから追い上げた中笹原右京/ジュリアーノ・アレジ(Deloitte TOM’S GR Supra/BS)が今季2勝目

  • 開催場所:スポーツランドSUGO
  • 開催日:2024年09月21日(土) 〜 2024年09月22日(日)
2024年オートバックスSUPER GT第6戦スポーツランドSUGO【GT500クラス】

第5戦の鈴鹿戦は台風10号の影響で12月に延期が決定されて、スポーツランド菅生開催の第6戦が先に行われた。週末、東北地方は雨に見舞われ、時折コースを打ちつける豪雨によって、予選日からタイムスケジュールは再三変更されて、変則的な決勝グリッド決定。決勝は、コンディション変化に戦略を合わせ込んだ中笹原右京/ジュリアーノ・アレジ(Deloitte TOM’S GR Supra/BS)が第3戦の鈴鹿戦に続き2勝目を記録。ランキング2位へと躍進。

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<練習走行のタイムによって決勝グリッドを決定>午後の予選が開始された時点ではスポーツランド菅生は小雨だった。GT300クラスの予選開始予定時刻から10分遅れてコースインすることとなっていたが、その間に降雨量が増え、急遽チームマネージャーミーティングが招集され、その後予選が中止されることとなった。決勝のグリッドは、午前中に行われた練習走行のタイム順に決することとされた。予選中止の可能性もありと予測していた各チームは、ウエットコンディションの練習走行でタイムアタックを行なっていた。断続的に強弱を繰り返した雨という難しいコンディションの中で行われた練習走行は、コースオフ、クラッシュが続出し、5回赤旗が提示されて中断された。その中で雨量が比較的に少ない中でトップタイムをマークできたのが石浦宏明/大湯都史樹(Keeper CERUMO GR Supra/BS)だった。大嶋和也/福住仁嶺(ENEOS X PRIME GR Supra/BS)が2番手タイムをマークしてブリヂストンタイヤ装着車がフロントローに並んだ。コースインした際の雨量、コース上の水の量によってラップタイムは大きく左右された。なお、予選は中止されているので、グリッド順位3番手までにポイントは付与されない。

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<決勝>決勝日朝に決勝開催が危ぶまれるような強い雨が降ると天気予は報報じていた。事実、午前中に行われていたサポーティングレースは、雨によって中断、終了されていた。決勝前のウォームアップ走行は天候の回復を予想して小雨の中、1時間遅れで行われた。このセッションでトップタイムを記録したのは練習走行でトップタイムを記録した石浦/大湯組。これに大嶋/福住が続いていた。GT500クラスは全車がレインタイヤを装着してセーフティカー(SC)スタートで3周して4周目から競技が開始された。コンディションはウエット。やがて小雨は止んだが、コース上には数カ所でコースサイドから水が流れ込んでいた。気温/路面温度が低く、どの温度レンジに合わせたレインタイヤを選択したかで順位が変動した。レース序盤でトップに躍り出たのは、4番手スタートの坪井 翔/山下健太(au TOM’S GR Supra/BS)だった。ウエットコンディショで一回目のSCが導入されるまでに2位以下を8秒以上突き放す快走を見せた。その背後では、14番手から順位アップしてきていた笹原/アレジ組が迫ってきていた。SC明けで3位に居た笹原/アレジ組は、前の2台をパスしてトップへ。その後、レース半ばにフルコースイエロー(FCY)が展開され、2周後にSCが入った瞬間に各車がピットインしてドライバー交代、そしてスリックタイヤに交換。雨は止んでいたが、コンディションはハーフウエット。一時トップに平峰一貴/ベルトラン・バゲット(MARELLI IMPULZ/BS)、石浦/大湯組が迫るが笹原/アレジ組は、レースの半分を首位堅持して終わってみれば、2位に19秒以上の大差でゴールした。これでチームメイトの坪井/山下組に続いてランキング2位へ躍進した。

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<優勝ドライバーのコメント>笹原右京選手「気持ちとしてはもうとにかく”うれしい“の一言ですね。 昨日は予選が残念ながら悪天候になって中止になってしまったので、僕らはあまり満足に走れる状態ではなく、グリッドは、14番手から。スタート前のタイヤチョイスに関しては、他のチームもすごく悩んだ状況だったと思います。ただ、最後決めるのは…っていうのも変ですけれど、もう自分である程度覚悟していくしかないかなっていうところと、もちろんギリギリまで悩んだんですけれど、そのタイヤ選択が正解だったかなっていうのがまず勝因だった思います。ブリヂストンさんに感謝です。最初の数周はもう気合。気合でしかないっていうか、もうとにかくコース上に生き残って、自分のいい状況が出てくるのをとにかく耐えて待つしかないっていう状態だった。そこでしっかり耐えきれたことが、周りと違うストラテジーを採れたことで、ファーストスティントは最終的にセーフティカーとかもあって、トップまで追い上げることができた。その後のFCYが出るタイミングも、チームが冷静に素晴らしい判断でコールしてくれたので、ピット入ることができました。そこからは、ジュリアーノ選手がとにかくがんばってくれたので。スタートした時はビリに落ちていたので、実質、テール・トゥ・ウインですね。優勝できたのはチームワークのおかげだと思います」
ジュリアーノ・アレジ選手「昨日予選ができなかったことは、とても残念だったと思っています。雨で天気が良くなく、いいラップタイムを出すこともできず、タイヤ選択もうまくいかなかったこともあり、14位からのスタートになってしまいました。一方、レースではとても積極的なスタートを切ることができました。僕たちチームが選択したタイヤ、そしてクルマのセットアップがものすごく良かったと思っています。SUGOは後方からのスタートでオーバーテイクがとても難しいサーキットです。そのなかでもアグレッシブに攻めの走りができたことが本当に僕たちにとって良かったと思います。右京選手は14番手スタートでしたが、とても難しい状況でも僕にトップの位置でクルマを渡してくれました。本当にすばらしい走りをしてくれて、最高でした。また、タイヤに関してですが、レイン、スリックその両方の選択が最高のものでした。本当にチームとブリヂストンに感謝したいですね。」

<ブリヂストン MSタイヤ開発マネージャー:山本貴彦のコメント>
「まず、予選は中止されましたが、各チームは練習走行のタイムがグリッドを決定することを予測して走行した結果、フロントローを獲得することができました。決勝もとても難しいコンディションでタイヤ選択、レインタイヤのレンジをどこに合わせるかを判断するのは難しかったと思います。レースのちょうど半ばでSCが入って各車がピットイン、そこからスリックへ。レイン、スリックともに今回持ち込んだタイヤ、チームに供給したタイヤがマッチして、それと戦略が嵌ったチームが優勝、上位フィニッシュしたという結果でした」

レース結果

コース:スポーツランドSUGO

[GT500]

決勝

  • 開催日:2024/09/22
  • 天候:Rain-Cloudy
  • 路面:Wet-Dry
  • 路面温度:24°C〜21°C
  • 決勝出走:15
  • 完走:15
  • (3.586km x 84laps = 301.224km)
順位 No ドライバー タイヤ チーム マシン シャシー エンジン 周回数 Delay(Lap) ベストタイム ベストラップ タイム
1 37 笹原 右京 /G.アレジ BS Bridgestone Deloitte TOM'S GR Supra 84 2:11'57.509
2 38 石浦 宏明 /大湯 都史樹 BS Bridgestone KeePer CERUMO GR Supra 84 2:12'17.466
3 12 平峰 一貴 /B.バゲット BS Bridgestone MARELLI IMPUL Z 84 2:12'23.453
4 36 坪井 翔 /山下 健太 BS Bridgestone au TOM'S GR Supra 84 2:12'39.142
5 100 山本 尚貴 /牧野 任祐 BS Bridgestone STANLEY CIVIC TYPE R-GT 84 2:12'42.361
6 3 高星 明誠 /三宅 淳詞 BS Bridgestone Niterra MOTUL Z 84 2:12'52.410
7 17 塚越 広大 /太田 格之進 BS Bridgestone Astemo CIVIC TYPE R-GT 84 2:13'14.321
8 19 国本 雄資 /阪口 晴南 YH WedsSport ADVAN GR Supra 84 2:13'17.061
9 14 大嶋 和也 /福住 仁嶺 BS Bridgestone ENEOS X PRIME GR Supra 83 2:12'15.524
10 16 大津 弘樹 /佐藤 蓮 BS Bridgestone ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 83 2:12'27.804
11 39 関口 雄飛 /中山 雄一 BS Bridgestone DENSO KOBELCO SARD GR Supra 83 2:12'36.610
12 23 千代 勝正 /R.クインタレッリ BS Bridgestone MOTUL AUTECH Z 83 2:12'53.062
13 24 松田 次生 /名取 鉄平 YH リアライズコーポレーションADVAN Z 83 2:12'56.816
14 64 伊沢 拓也 /大草 りき DL Modulo CIVIC TYPE R-GT 83 2:13'14.743
15 8 野尻 智紀 /松下 信治 BS Bridgestone ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 82 2:12'03.633