世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染拡大で、世界選手権として開催されている各モータースポーツイベントは延期・中止となっていましたが、7月から各国の感染状況が収束に向かい始め、多くの国でモータースポーツイベントが再開されました。
ブリヂストンが参戦する世界耐久ロードレース選手権(EWC)も2019-2020シーズン第3戦 ルマン24時間耐久が4/25-26にが開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で8/29-30に延期となり、まもなく今シーズンのレースが再開します。
今シーズンは今回のルマン24時間、本来は2020-2021シーズン開幕で9/19-20に決勝が行われるボルドール24時間が第4戦に変更、そして7/19から11/1に延期となっていた鈴鹿8耐が最終戦とスケジュールが変更されました。しかし8/12に鈴鹿8耐が新型コロナの影響で中止が発表され、今シーズンは残り2戦となってしまいました。
鈴鹿8耐の開催中止は、準備を進めていたレース関係者や楽しみにしていたファンには残念な発表となりましたが、主催者側も苦渋の決断だったと思います。
さらに8/17にはボルドール24時間のキャンセルが発表となり、1週間後の9/27にポルトガル・エストリルで12時間耐久の代替開催が発表されました。
大波乱となった2019-2020シーズンEWCは新型コロナウイルスの影響で今までに無いシーズンとなります。
通常のスケジュールと違い、4月から8月開催となった事でレースへの戦略、タイヤの状況が変わるのか?
ルマン24時間のレース展開を予想しながら紹介していきます。
ルマン24時間は鈴鹿8耐と同じ1987年から開催されていて今年で43回目となります。開催されるルマンはパリから東南へ約200kmの所にあり、1周4.185kmのブガッティサーキットで行われています。
4輪のルマン24時間ではこのサーキットのメインストレートを含んだ一部と一般道路を使用した1周13.6kmの長いコースを使用します。
2017年に路面が改修され、その年からブリヂストンがサポートしているYARTがスタートから24時間後のゴールまでトップ争いを展開。最後は約20秒差で優勝を逃しましたが、860周と過去最高周回数を記録しました。
2018年にはF.C.C. TSR Honda Franceがヨーロッパ開催のEWC、しかも過酷な24時間で初優勝を達成。当然我々ブリヂストンにとっても鈴鹿8耐を除くEWCでの初優勝となった記念するサーキット・レースとなります。
ルマン24時間は通常4月開催で、気温が低くなる日も多いですが、今シーズンは8月末開催となるので気温が高くなる事が考えられます。
4月中頃の気温は最高平均気温15℃、最低平均気温は5℃となっていますが、8月末は最高平均気温24℃、最低平均気温は10℃となっており、最高‐最低の気温差が大きくなる傾向です。
ブリヂストンがEWC本格参戦を開始した2017年以降は毎年4月開催でも最高気温25℃前後、最低気温12℃前後と平均気温より高い環境下の中でのレースを経験していますので、8月末開催のルマンでも気温・路面温度に対して、タイヤスペックの選定は十分予想できる範囲内になるのではないでしょうか。
2019-20年シーズンは決勝レースで使用できるタイヤ本数制限が撤廃されました。また予選では6本使用可能(初開催・新舗装サーキットは制限無)となっています。
ルマンでは予選で使用できるタイヤ本数制限が適用され、フロント2本・リヤ4本、フロント3本・リヤ3本といった使い方で、チームによって予選の戦い方が変わってくると思われます。
昨シーズンより予選1-5位まではポイントが与えられることとなり、タイトルを争うチームにとっては予選でも上位を積極的に狙う傾向となりました。
24時間レースの場合、決勝時間が長い為、予選順位の位置はあまり重要ではありませんでしたが、ポイントが与えられるとなるとタイトル争いに影響してくるので、チームにとっては重要となりました。
今大会はスタートが12:00に変更となっています。通常15:00スタートですので3時間早くなっていますが、レース序盤での昼間走行が増え、夜間走行の始まりが遅くなることでレースへの展開が変わるのかは予想できません。
参戦台数が通常より少ないので、コース上での走りやすさは向上するのではないかと思います。そうなるとバックマーカーが減ることによって通常よりハイペースのレースが展開される可能性があるかもしれません。またセーフティーカー介入が少なくなくなれば周回数記録が塗り替えられる可能性も考えられます。
ルマンは雨が降ったり止んだりと不安定な天候になる事も多いのですが、4月と8月では若干天候が違うと思われますので、出来れば安定して好天候でレースが開催されることを期待したいと思います。
今年のルマン24時間では42チームがエントリー(7/29現在)。例年60台近くが出場していますが、やはり新型コロナの影響で出場を見合わせたチームも多いのかもしれません。
ブリヂストンがサポートしているチームは#7 YART YAMAHAと#5 F.C.C. TSR Honda France。
YARTは第1戦ボルドール24時間(雨の影響で時間短縮)では決勝リタイヤとなりましたが、第2戦マレーシア・セパン8時間(雨の影響で短縮)で優勝し、現在のランキングはトップから36ポイント差の4位。
TSRはYART同様にボルドールではリタイヤ、セパンでは転倒が影響し13位でゴール、現在ランキング12位となっています。
TSRは今大会より、Newマシンとなる新型CBR1000RR-Rを投入します。新型コロナ過の中、レースが開催されない間もマシン開発を進めてきたTSRの巻き返しには期待したいと思います。
一方、YARTは前戦セパンからライダーラインナップを変更してエントリー。長年YARTのエースライダーとして活躍してきたB.パークスからK.ハニカに変わって今大会を戦います。
大量ポイントが獲得出来る24時間レースでは、まだYARTにもチャンピオン獲得のチャンスが十分あると思います。
鈴鹿8耐中止となった事でタイトル争いも残り2戦で決まります。
予選結果の獲得ポイントもそうですが、24時間レース決勝では8時間・16時間を経過した時点で1-10位までポイントが与えられるので、この途中経過ポイントも重要です。
今回のルマン24時間では残念ながら現地から速報などのレポートをお送りする事が出来ません。
日本での報告となりますが、レース経過などの速報は数時間毎にお送りする予定です。
ブリヂストンがサポートし、チャンピオン獲得を諦めないYART-YAMAHA、Newマシンを得たF.C.C. TSR Honda Franceの応援を宜しくお願いします。
EWCのLIVEタイミングや公式リザルトは下記よりご覧いただけます。
https://www.its-results.com/ewc/2019-20/6634b008-e174-4683-ad4f-c085a658622a