9/21-22に決勝レースが行われる2019-2020シーズン EWC 第1戦 ボルドール24時間耐久レース。
レースプレビューVol.3では9/3-4の2日間行われた事前テストの結果情報と、レースウィークのスケジュールを確認しながら、新シーズン第1戦 ボルドール24時間レースの展望と見所を紹介します。
2019/9/3-4 ボルドール24H 事前テスト状況
例年、24時間レースはレースウィークの2週間ほど前に2日間の事前テストが設けられています。レースに参戦するチームはこのテスト日程を利用し、マシンセッティングやペアライダーとのマッチングを確認。我々タイヤメーカーもレース本番に投入予定のタイヤを確認し、レースウィークに備えていきます。
今回のテストでは午前中の涼しい時で気温は24℃前後、最高気温で30℃弱とまだ暑いコンディション。
昨年初めに路面が全面改修されましたが、今年も一部路面が改修されています。
このテストには34チームが参加しており、エントリー数59チームの6割弱が参加。
タイムスケジュールは両日10:00~12:00の2時間と15:00~18:00の3時間の2セッション計5時間、2日間で4セッション計10時間となっています。
ラップタイム結果はブリヂストンサポートチームの#7 YART-Yamahaが全セッションでトップタイムをマーク。2日目に記録した1'54.154は昨年予選で記録されたベストラップタイムの1'54.007に迫るタイムでマシンの仕上がり、タイヤとのマッチングも良好のようです。YARTはボルドール24時間ではエースライダーのブロック・パークスが他のレースとスケジュールが重なってしまう為に不参加が決まったおり、代役としてスーパーバイク世界選手権(WSBK)に参戦しているロリス・バズがレースに加わる事が決定。今回のテストにも参加し、マービン・フリッツ、ニッコロ・カネパとのコンビネーションも順調の様でした。
もう一つのブリヂストンサポートチーム、#5 F.C.C. TSR Hondaは2日間総合で5番手のタイム、1'54.947を記録。TSRは昨シーズンと同じライダー、ジョシュ・フック、フレディ・フォレイ、マイク・ディメリオの3人で順調にマシンセッティングを進めている模様。
24時間耐久では速いラップタイムは必要だが、ベストタイムを上げる事よりもライダー3人のアベレージタイムを上げる事が重要となる事が多い。
TSRは昨シーズンまでのレースではこのレースアベレージタイムが非常に安定しており、その強みを生かして2シーズンで4勝を挙げています。
事前テストでの総合結果トップ10は以下になっています。
Best Time | Team | Tire | Bike | Class | |
1 | 1'54.154 | #7 YART - Yamaha | BS | Yamaha | EWC |
2 | 1'54.398 | #11 Team SRC KAWASAKI FRANCE | PI | Kawasaki | EWC |
3 | 1'54.659 | #333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCES | DL | Yamaha | EWC |
4 | 1'54.860 | #4 TATI TEAM BEAUJOLAIS RACING | DL | Kawasaki | EWC |
5 | 1'54.947 | #5 F.C.C. TSR Honda France | BS | Honda | EWC |
6 | 1'54.968 | #6 ERC Endurance | PI | BMW | EWC |
7 | 1'55.076 | #37 BMW Motorrad World Endurance Team | DL | BMW | EWC |
8 | 1'55.123 | #2 Suzuki Endurance Racing Team | DL | Suzuki | EWC |
9 | 1'55.422 | #96 TEAM MOTO AIN | DL | Yamaha | SST |
10 | 1'55.688 | #33 Team 33 Coyote Louit Moto | PI | Kawasaki | SST |
昨シーズンのチャンピオンチーム#11 Team SRC KAWASAKI FRANCEは今回のテストでも好調。#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESは昨シーズンSSTクラスからEWCクラスに変更、同時に使用するタイヤメーカーも変更し、常に上位に入ってくるチーム。
新シーズンから新規参入するチームで注目なのが総合7番手タイムの#37 BMW Motorrad World Endurance Team。BMWのファクトリーチームが遂にEWCに参戦を開始。#6 ERC Enduranceと2台のBMWが好タイムを記録しており、レースでもトップ争いに加わって来るのではないかと思います。
これらの事前テストでの情報とラップタイム総合順位から今年のボルドール24時間の展望と見所を紹介します。
2019/9/3-4 ボルドール24時間耐久レース展望と見所紹介
ボルドール24時間では例年レースウィークの火曜日に事前走行のセッションが行われ、水曜日にテクニカルコントロールとブリーフィング。木曜日から公式走行スケジュールが始まります。
今年の公式走行スケジュールは以下になっています。
9/19(木):
9:45 - 11:45 フリープラクティス
14:25 - 14:45 青腕章ライダー 予選1回目
14:55 - 15:15 黄腕章ライダー 予選1回目
15:25 - 15:45 赤腕章ライダー 予選1回目
15:55 - 16:15 緑腕章ライダー(リザーブライダー) 予選1回目
20:30 - 21:30 ナイトプラクティス
9/20(金):
9:00 - 9:20 青腕章ライダー 予選2回目
9:30 - 9:50 黄腕章ライダー 予選2回目
10:00 - 10:20 赤腕章ライダー 予選2回目
10:30 - 10:50 緑腕章ライダー(リザーブライダー) 予選2回目
9/21(土):
11:30 - 12:15 ウォームアップ走行
15:00 - ボルドール24時間耐久レース スタート
9/22(日):
15:00 ボルドール24時間耐久レース ゴール
昨シーズンのボルドール24時間ではTSR-YARTの1-2フィニッシュを達成!
9月後半の南フランスは夏が終わり、日中の気温が徐々に変わりつつある季節の変わり目になります。昨年は夜間の最低気温が19℃までしか下がりませんでしたが初めてボルドール24時間に参戦した2016年は夜間最低気温13℃、翌2017年は10℃まで気温が下がり、風が吹くと体感では非常に寒かった記憶があります。
日中の最高気温も下がる可能性がありますので、事前テスト時のコンディションから大きく変化があった場合はタイヤエンジニアがチームと相談してスペックを変更する可能性があるかもしれません。
昨シーズンはスタートから数時間は数台のトップ争いの展開。時間経過と共に転倒で脱落したり、気温と路面温度が下がってきた時にタイム差が大きくなってトップ集団ついていけなくなり遅れてしまうといった展開でした。
レースでは少しでも速いアベレージタイムで3人が走れるように仕上げているチームが確実に上位につけてくるでしょう。
チームはライバルとの争いと同時にトラブルとも戦わなければなりません。近年の24時間耐久レースで何もトラブルが発生せずに優勝したチームは見た事が無いほど、大小さまざまなトラブルがチームを襲います。これらのトラブルに対し素早い判断と原因の追究、的確な修復作業でロスタイムを短縮し、マシンをコースに再び送りだすメカニック達の作業は素晴らしいの一言に尽きます。
特に転倒後の修復作業は驚くほど素早く、かなりダメージを追ったマシンをあっという間に元の姿に戻してしまいます。
昨年のTSRとYARTもトラブルや転倒がありましたが、24時間を走り切った時には1位―2位とこれ以上無い結果でした。途中でトップとの差が大きくなっても最後には挽回できる可能性があるのが24時間耐久レースの面白くて結果が予測できないところです。
昨シーズンのYARTは6時間経過時に転倒。すぐに修復作業を行い、最後は2位でゴールした。
昨シーズンに引き続き今年も日テレG+と動画配信サービスHuluでは2019-2020シーズンEWCが見られるようですので、ぜひ映像でもご覧ください。
またブリヂストンモータースポーツWebサイトでは木曜日の公式フリー走行から速報をアップする予定です。24時間レース中も随時速報をアップしていきますのでお楽しみに。
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