山本尚貴/ジェンソン・バトン(RAYBRIG NSX-GT/BS)が平川亮/ニック・キャシディ(KeePer TOM’S LC500/BS)の猛追を抑えてチャンピオンを獲得。野尻智紀/伊沢拓也(ARTA NSX-GT/BS)が有終の美を飾る
- 開催場所:ツインリンクもてぎ
- 開催日:2018年11月10日(土) 〜 2018年11月11日(日)
栃木県のツインリンクもてぎで行われた2018年シーズンのSUPER GT最終戦。快晴の下で行われた250キロレースは、ランキングトップ、同ポイントでこのレースに臨んだ2チームがレースの終盤に接戦を展開した末に山本/バトン組が平川/キャシディ組を従えて3位フィニッシュ、チャンピオンに輝いた。また、ポールポジションからスタートした野尻/伊沢組が常にトップを快走、レース中のファステストタイムも叩き出して優勝した。
<予選>
今シーズン、予選で速さを発揮しているブリヂストン装着のHonda NSXが今回も主導権を握っての展開となった。Q1でポイントリーダーの山本/バトン組がベストタイムを叩き出して始まり、Q2で野尻/伊沢組がコースレコードを更新するタイムでポールポジションを獲得。2番手に山本/バトン組が位置した。チャンピオン連覇をかけ、山本/バトン組と並んでポイントトップで最終戦に臨んだ平川/キャシディ組は、6番手のグリッドからスタートすることとなった。
<決勝>
素晴らしい秋の快晴に恵まれた。レース開始直後からポールスタートの野尻/伊沢組がリードを奪って快走、2位以下との差を広げて行った。その背後では、山本/バトン組が2位をキープしてレース序盤が展開。平川/キャシディは1周目にひとつ順位をアップ、5位となっていた。53周レースの前半でトップグループはピットインを行なってドライバー交代、タイヤ交換、給油の作業を済ませ再びコースへとマシンを送り出した。しかし、チャンピオンを争う2台はレースの折り返しを過ぎてもピットインせず、上位陣がピットインした関係で、山本/バトン組と平川/キャシディ組がその時点で1位、2位を走行していた。29周してその2台が同時にピットイン。山本/バトン組は3位でレースに復帰、平川/キャシディ組は7位となっていた。そこからレースの終盤へ向けて平川/キャシディ組の猛追が始まった。37周までに4位へ順位アップ。そして周を重ねる毎に差を詰めて、残り5周で完全にテールtoノーズ状態となったチャンピオンを争う2台。どちらも前でゴールすればチャンピオン獲得という状況の中での接戦だった。追う平川、逃げるバトン。2車の勝負は、結局バトンに軍配が上がった。8年ぶりにHonda陣営がチャンピオンを獲得。平川/キャシディ組の連覇はならなかった。優勝の野尻/伊沢組以下、トップ4をブリヂストンユーザーが占め、年間のポイントランキングでは上位7位までを独占した。
<ドライバーコメント>
第8戦優勝ドライバー
野尻智紀選手「レース前半を伊沢(拓也)選手がいいペースで走ってくれていたので、自分の走行でも自信を持って走り出すことができました。クルマのパフォーマンスは素晴らしく、最後に38号車に少し迫られた時も、ギャップを見ながらタイヤをマネージメントしていたので、特に心配はありませんでした。優勝できたのは嬉しいです。最後の最後まで安定した性能だったブリヂストンさんにお礼申し上げます」
伊沢拓也選手「僕が走った前半は作戦でショートスティントになりましたが、あれはパフォーマンスとかの問題ではなく、ピットアウトした際の位置取りなどを考えての判断でした。それがピタリとはまり、トップを再び維持できました。セカンドスティントを担当した野尻(智紀)選手は長い走行になったのですが、最後までブリヂストンタイヤのパフォーマンスも安定していて、良いペースで走りきって優勝することができました。でも今年タイトルを逃して、悔しい気持ちでいっぱいです」
チャンピオンドライバー
山本尚貴選手「応援ありがとうございました。嬉しいことばかりでなく、辛いことも苦しいこともいっぱいありました。それよりも苦しい状況の中でNSX-GTの開発を続け、応援してくれたHondaとHondaファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えたいです。また今回もタイヤのパフォーマンスは最高でした。まだ僕が無名だった時にチームに呼んでくださった高橋国光総監督とチームをサポートしてくれたRAYBRIGさん。もちろんタイトル獲得に大きく貢献してくれたJB(ジェンソン・バトン)にも感謝したいです」
ジェンソン・バトン選手「今日は本当にタフなレースだった。でも何とか最後まで走り切って3位に入ることができたし、その結果タイトルを手に入れることもできた。(山本)尚貴にとってはスーパーフォーミュラに続いての今季2つめのタイトル。僕にとっては2009年のF1ワールドチャンピオン以来9年ぶりだから本当に嬉しいシーズンエンドとなった。長年戦ってきたチームと高橋国光総監督に、初タイトルをプレゼントできたことも嬉しい。そして、常に素晴らしいサポートをしてくれたブリヂストンに感謝」
<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:松本真幸のコメント>
「ARTAさん、優勝おめでとうございます。そしてチームクニミツさん、チャンピオン獲得おめでとうございます。KeePer TOM’S LC500とのチャンピオン争い、接戦をしっかりとサポートさせていただきました。お陰様でGT500クラスは3年連続でブリヂストン装着チームからチャンピオンが誕生しました。特に今年は、懸案であったNSXのタイヤ開発、ピックアップ対策をHondaのHRDさんとさせていただき、それが実を結びました。レース結果、年間ランキングの上位を占めることができました。来シーズンも勝利とチャンピオンへ向けて努力してまいります」
決勝
- 開催日:2018/11/11
- 天候:Fine
- 路面:Dry
- 路面温度:29℃〜24℃
- 決勝出走:15
- 完走:15
- (4.801km x 53laps = 254.453km)
順位 | No | ドライバー | タイヤ | チーム | マシン | シャシー | エンジン | 周回数 | Delay(Lap) | ベストタイム | ベストラップ | タイム |
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1 | 8 | 野尻 智紀/伊沢 拓也 | BS | TGR中ジHSR旭ロードスター | 53 | 1:31:09.252 | ||||||
2 | 38 | 立川 祐路/L.ジャトン | BS | ZENT CERUMO LC500 | 53 | +1.806 | ||||||
3 | 100 | 山本 尚貴/J.バトン | BS | RAYBRIG NSX-GT | 53 | +8.096 | ||||||
4 | 1 | 平川 亮/N.キャシディ | BS | KeePer TOM'S LC500 | 53 | +9.672 | ||||||
5 | 19 | 国本 雄資/山下 健太 | YH | WedsSport ADVAN LC500 | 53 | +23.171 | ||||||
6 | 6 | 大嶋 和也/F.ローゼンクヴィスト | BS | WAKO'S 4CR LC500 | 53 | +35.697 | ||||||
7 | 23 | 松田 次生/R.クインタレッリ | MI | MOTUL AUTECH Z | 53 | +36.167 | ||||||
8 | 39 | H.コバライネン /小林 可夢偉 | BS | DENSO KOBELCO SARD LC500 | 53 | +40.731 | ||||||
9 | 3 | 本山 哲/千代 勝正 | MI | CRAFTSPORTS MOTUL Z | 53 | +40.803 | ||||||
10 | 24 | J.P.デ・オリベイラ/高星 明誠 | YH | フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R | 53 | +44.458 | ||||||
11 | 12 | 佐々木 大樹/J.マーデンボロー | BS | カルソニック IMPUL GT-R | 53 | +45.226 | ||||||
12 | 64 | B.バゲット/松浦 孝亮 | DL | Modulo Epson NSX-GT | 53 | +47.861 | ||||||
13 | 36 | 中嶋 一貴/関口 雄飛 | BS | au TOM'S LC500 | 53 | +1:00.811 | ||||||
14 | 16 | 武藤 英紀/中嶋 大祐 | YH | MOTUL MUGEN NSX-GT | 53 | +1:07.524 | ||||||
15 | 17 | 岩澤 優吾/小暮 卓史 | BS | KEIHIN NSX-GT | 53 | +1:29.483 |