vol.16 ブリヂストン SUPER GT 2022 シーズンプレビュー前編

ブリヂストンファンのみなさん、お待たせしました。いよいよ今年も4月16日、岡山国際サーキットでSUPER GTが開幕します。ブリヂストンは今年もGT500クラスに9台、GT300クラスに5台、POTENZA RACING TIREを供給します。車両やドライバーの顔ぶれに多少の入れ替わりはあるものの、大枠での変更はありません。(関連記事「2022年ブリヂストンモータースポーツ活動計画」はこちら )。昨年を振り返れば、GT500クラスでは#36 au TOM's GR Supraが最終戦の大逆転でチャンピオンを獲得し、当社タイヤ装着チームは6年連続のタイトル獲得。チームランキングでも上位7チームまでを独占することができました。またGT300クラスでは惜しくもタイトルこそ逃しましたがシーズン2勝を挙げており、結果だけを見るとまずまずだったかに見えます。しかしそこは世界でも数少ないタイヤコンペティションで争われるSUPER GT。このレースの場に立つタイヤメーカーには誰一人として立ち止まることは許されません。ブリヂストンがどのような準備をして新たなシーズンに臨むのか、開幕前に2回に分けてご紹介します。まず前編では、去年との変更点や取り組みの概略をご説明します。

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■2022年の目標と開発体制 チームに寄り添いながら全勝を目指す 
レースに出るからには誰しも勝ちたい、そしてブリヂストンが支えているチームには一つでも多く勝って欲しい。だから今年もブリヂストンの大きな目標は全勝です。サクセスウェイト制のレースで、それが難しいことはもちろん分かっていますが、それでもこの大きな目標を目指すからこそ「克服すべき課題」が浮かび上がります。また、この大きな目標は変わらないので、開発体制は例年と変えません。車両メーカーごと、チームごとに設計担当者を配置して、現場でチームと行動を共にし、支える体制を敷くことで、困りごとや相談に即応していきます。ブリヂストンは今年もチームと寄り添いながら、レースを戦っていきます。


続いては今年のSUPER GTの変更点やチェックポイントを見ていきましょう。

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■今年のレースの変化点 ①使用可能なウェットタイヤを7セットに制限
昨シーズン、1レースで使用できるドライタイヤのセット数が7から6セットに制限されたSUPER GTですが、今シーズンはウェットタイヤのセット数が9から7セットへと制限されます。これはレースによる環境への負荷を少しでも減らす取り組みの一環です。とはいえ、この変更がレースに大きな影響を及ぼすことはないでしょう。これまで通りの9セットの場合、普通に考えればウェットタイヤはソフト、ミディアム、ハードの3種類を各3セット用意することになります。しかし実際にレースとなると、寒い時期はソフトとミディアム、暑い時期はミディアムとハードの2種類からの選択となる場合が圧倒的に多く、残る1種類を使う機会はほとんどなかったとも言えます。もちろん季節外れの天候になる可能性もあり、そのための予備は用意しておきたいところですので、持ち込みセット数が7セットに制限される今年は、メインとして設定する2種類を軸に3+3+1セットという組み合わせか、あるいは2種類に絞った3+4セットという選択をするチームが多くなると予想されます。もちろん、3+2+2セットという選択もあり得ると思いますが、メインのスペックをしっかりと用意することが大切なのは変わりません。

■今年のレースの変化点 ②国内6サーキットで8レースを開催。3大会ではレース距離が450㎞に
今年も海外大会はなく、4月16、17日の岡山国際サーキットを皮切りに、国内6サーキットで全8戦が開催されます。今シーズンのトピックスとしては、富士スピードウェイでの2大会(第2戦と第4戦)と、鈴鹿サーキットでの1大会(第5戦)のレース距離が450㎞となっていることが挙げられます(従来はほとんどの大会が300km開催)。このため決勝中のピットストップ回数が2回に増え、各チームの取りうる戦略のバリエーションが増えます。これがレース展開にどのような影響をもたらすのか、注目ポイントです。

■2022年に向けてのタイヤ開発 総合性能重視の正常進化。ただし鈴鹿は“より速さ”を追求する
ブリヂストンのレースタイヤ開発はトータルバランスを重視し、常にピークタイムとタレの少なさを追求しています。レースでの速さを追求するにあたり、この両方に関して今年も底上げを図り、さらなる磨きをかけて臨みます。なかでも鈴鹿に関しては、これまでサクセスウェイトが増えてくる時期でのレース開催であったことを差し引いても、結果は過去3連敗中で苦戦を認めざるを得ません。開発陣も、鈴鹿に向けての準備に力が入っていることは否定しません。もちろん基本的なタイヤ開発の方向性は変わりませんが、こと鈴鹿に関しては、他の性能を維持しつつも、よりピークタイムを引き出すことを意識しています。また、先日の富士で行われたGTA公式テストの結果を踏まえてウェットタイヤの底上げについても準備を進めています。
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レギュレーション変更やレースフォーマットの変更があった2022シーズンのSUPER GT。ここまでの前半ではSUPER GTへのブリヂストンの取り組みについてご紹介しました。次回後半では今シーズンのSUPER GTについてタイヤメーカーの視点から注目したいポイントをご紹介しますのでお楽しみに。