tetsuyayamanokensui1.jpg体力的な部分だけの向上を目的とするなら、スポーツジムがベストであることは間違いないでしょう。私は優先事項を少し違うエリアに求めています。食事に関しては1日3食しっかり摂ります。レース日やテスト日などは3時台に起床することもあります。出発の60分前に目覚ましをかけ、ホテルの部屋で朝食やシャワーを済ませます。サーキットでは早めにランチをとり、夜は21時前に必ず食べ終わります。メニューはいい意味で適当です。その場で食べたい物をオーダーします。
回数や時間には規則性がありますが、食べたい物、飲みたい物はごく自然に取り入れています。トレーニングは朝起きた瞬間から腹筋・背筋・腕立て伏せの3種をします。それぞれの回数はその日の体調に任せています。これは世界中どこにいてもできるメニューでもあり、忘れたりさぼったりしない習慣になっています。
サーキットを走らない日はランニングをします。コースや距離は決めず、行きたい方向に走ります。途中の公園などで懸垂をします。毎日カラダを動かし、汗をかくことを欠かさないようにして、その結果として、自分自身の体型や62.5㎏という体重のベストバランスを保つようにしています。睡眠時間はさらに大切な項目です。8時間の睡眠を維持できるよう、夕食もできる限り早い時間に終わらせるようにしています。


運転は一般的に「①認知→②判断→③操作」と言われています。そこにはある一定の時間がかかります。その時間とは、おそらく100分の数秒、いや、1000分の数秒かもしれません。早ければ早いほど、環境に対応できる運転ということになります。さらに優れたドライバーは①認知の前「⓪予測」という未知の領域を想像して運転していると思っています。"環境に対応できる"とは、どういうことでしょう。変化する路面状況に対して接地しているタイヤのグリップが存在する。ここまでは物理の世界です。
しかし、クルマとドライバーは先に触れた"動物的"な意味合いを持っています。優れた感受性があればあるほど、路面とタイヤのグリップの状況を読み取り、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどの操作への移行時間が短くなります。そのためには莫大な注視力や集中力が必要です。これには睡眠時間が大きく影響します。人間の体力は充電式バッテリーの特性に近いと思っています。バッテリーは放電が進むとパワーが少しずつ落ちてきます。満充電するとパワーが復活します。ドライバーも満充電のときに運転することが最短の⓪→①→②→③の効果が生まれると確信しています。いい運転には優れた体調というバックグラウンドが不可欠です。

年間に100日以上サーキットでクルマを限界走行させている私は、常に100%の感受性をもって運転します。操作から動きを読み取り、性能を引き出し、記憶し、整理し、一連の情報をカラダの中の貯蔵庫に保管します。その情報を必要としている人に伝えます。主に物理的に、稀に感情的に、時には全く違うモノに例え、想像を交えたりもします。情報の共有でもある"雑談"のような会話から次期タイヤの開発につながることも多々あります。スプリントレース、耐久レース、ジムカーナ、ダートトライアル、ラリー、ヒルクライムなどさまざまなモータースポーツカテゴリーの参戦と世界
中のクルマや路面の運転経験は、自分のなかの情報の整理と理想とするクルマの動きの見極める力に大きく貢献しています。
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