みなさん、こんにちは!ブリヂストンの山田宏です。
今回は6/7-9に開催される、ドイツ・オシャスレーベン8時間レースの見所についてお話をしましょう。

その前に、先月5/9-11に行われた、スロバキア8時間レースを振り返ってみましょう。

1.スロバキア8時間レースを振り返って


スロバキア8時間耐久は、今年で3回目のコースで、昨年のレースでは、YART-YAMAHAがブリヂストンにスイッチして初優勝を果たし、F.C.C.TSR Honda Franceも3位と、海外で初のダブル表彰台を獲得したレースでした。
過去2回のこのスロバキアは、気温/路面温度も高く暑い中でのレースでしたが、今年は予選まで例年になく低温、かつ予選では初めて雨が降るという異例のコンディションになりました。レースでは、気温こそそれ程低くはなかったのですが、残り2時間辺りで雨が降ったり止んだりで、ウェットタイヤへの交換等で難しいレースとなりました。
レースレポートをもう一度ご覧下さい。

第3戦:スロバキア8時間レースレポートはこちら

予選は木曜の午前に1回目、午後に2回目が行われ、予選1回目はウェットコンディションで、我々のサポートする、#1 F.C.C. TSR Honda France(以下#1 TSR)が2位、#7 YART-YAMAHA(以下#7 YART)が3位とまずまずの滑り出し。午後の予選2回目前に雨は止み、徐々に水量は少なくなり、予選3人目の後半にライン上乾いてきて、スリックタイヤに交換して最終ラップにタイムを更新するライダーが増えました。その結果#7 YARTがポールポジション、#1 TSRが2位で予選終了。
レースでもスタート後には#1 TSR-#7 YARTの1-2体制となりますが、最初のピットインの後、#1 TSRにマシントラブルが発生し、緊急ピットイン!修理に5分程度かかり再スタートした時は、27位まで順位を下げてしまった。
#7 YARTは順調で常に1-2位を争う状況で、レース中盤から終盤を迎える。#1 TSRも驚異的なペースで確実にポジションアップをし、残り3時間辺りでは6位辺りまで挽回し、表彰台が見える位置まできた。 残り2時間半あたりから雨が少し降ってきて、ペースが落ち始める。残り1時間半位で一度雨が強く降り、多くのチームがウェットタイヤに交換するが、その後また雨が止むという難しいコンディションとなり、再びスリックタイヤに交換する。
残り1時間となった所で、不安定な路面状況の中、デットヒートを繰り広げていた#7 YARTが抜かれて2位に落ちた直後、トップが転倒して再びトップとなり、その後は1周のリードを保ち優勝!
#1 TSRは残り1時間で3位に浮上!更に速いペースで2位との差を急速に詰めていくが、46秒差まで詰まった所でチェッカーを受けて3位となった。
この結果#7 YARTは、予選ポイント5を加えて、満点の35点を獲得。ランキング4位に浮上。同じく#1 TSRは25点を加えてランキング5位へと押し上げた。
現在のランキングは下記となります。

順位 チーム マシン ポイント タイヤ
1 #2 Suzuki Endurance Racing Team Su GSX-R1000 113 DL
2 #11 TEAM SRC KAWASAKI FRANCE Ka ZX-10RR 103 PI
3 #13 WEPOL Racing Ya YZF-R1 99 DL
4 #7 YART-YAMAHA Ya YZF-R1 87 BS
5 #1 F.C.C. TSR Honda France Ho CBR1000RR SP2 79 BS
6 #111 Honda Endurance Racing Ho CBR1000RR 75 DL

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#7 YART-YAMAHAのメンバー。左からB.パークス、N.カネパ、M.カインツ代表、M.フリッツ


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F.C.C. TSR Honda Franceは序盤のトラブルを克服し、27位から3位表彰台と驚異的な追い上げで3位表彰台を獲得!  
 

2.コースについて


オシャスレーベンという街は、ドイツ・ベルリンの西約250kmにあり、第3戦が開催されるオシャスレーベン・モーターパークは1997年にオープンしました。翌1998年にはオシャスレーベン24時間耐久レースが始まり、1999年からEWCのシリーズ戦に組み込まれ、昨年で20周年を迎えました。(2008年から8時間耐久へ変更になりました。)
全長3.667km、右9、左7ヶ所のコーナーからなっている時計回りのコースで、ベストラップでの1周の平均速度は153.4km/hと、現在のEWCコースの中では最も低いコースです。ちなみに次がルマンで157.3km/h、スロバキアが171.7km/h、鈴鹿がほぼ同じで171.9km/h、開幕戦のポールリカールが177.8km/hです。
ストレートは約750mで、1コーナーの後、すぐに回り込んだコーナーと、その後も中低速コーナーが続きます。約560mのバックストレートの後は、やや速度の乗ったS字コーナーとなり、その後2つの右コーナーでストレートに戻ってきます。
高低差はほとんどなく、コース全体が見渡せるレイアウトになっています。昨年までの経験では、路面は特殊で、使い込まれた一般道の舗装のようで、引っかかりがなく、かなりグリップが低い路面です。
そのような路面でしっかりグリップして、1スティント約1時間グリップ力の低下が少ないタイヤが必要です。

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3.予選、決勝の見所


第3戦スロバキアの結果、ランキングではYARTがトップから26ポイント差の4位、TSRがトップから34ポイント差の5位となっています。最終戦鈴鹿8耐の前最後のレースですから、タイトルを考えると今回のレースは非常に重要です。ライバルたちも同じ事を考えているので、まず予選から少しでもポイントを稼ごうと考えるでしょう。予選では1位5点、2位4点、以下5位1点までポイントが付くので、1ポイントでも多く稼ぎたい所です。
予選は3人のベストタイムの平均で、そこにタイヤ本数規制で予選全体で6本しか使う事が出来ません。
最初のライダーは前後新品でスタートするので、残り4本のタイヤをどう使うのか戦略が分かれるでしょう。コースのタイヤに対するシビアさにもよりますが、我々のサポートチームは、フロント2本、リア4本を使うのではないでしょうか?その場合でも予選1回目と2回目、またどのライダーに重点を置くのかが難しい所です。
決勝では、やはりスピードと燃費のバランスが大事です。昨年優勝のTSRは、唯一6回ピットで乗り切り、2位に48秒の差を付けました。今年は前戦を見ている感じでは、ラップタイムも上がっているので、燃費は厳しくなる事が予想されます。
今回のレースも、通常通りタイヤ本数規制が適用されます。8時間レースなので、決勝で鈴鹿8耐や前戦のスロバキアと同じ16本のタイヤが使用可能です。(ウェットタイヤは除く)
昨年優勝のTSRは6回ピットでしたが、2位以下のチームは7回か8回ピットでした。
今年は鈴鹿8耐同様7回ピットが基本となるのではないかと予想しますが、途中の天候の変化や、セーフティーカーの導入によって戦略は変わってくるでしょう。
8時間のレースで勝つためにはハイペースが要求されます。パッシングポイントが少ないコースなので、バックマーカーの処理にも気を使い、ミスの無いライディングが重要になります。

8時間耐久レースでは、1位:30点、2位:24点、3位21点、4位19点、5位17点、6位:15点で、以下1点ずつ少なくなり20位までにポイントが与えられます。

4.タイヤ


昨年このコースでTSRが優勝して、タイヤも良く機能しましたが、今年のコースコンディション、天候は分からないので、プラクティスで速く見極めて、レースに向けて適正なスペックを選択する必要があります。
今回は第2戦ルマン、第3戦スロバキアの結果も踏まえ、2チームに対して550本のタイヤを準備します。
今週末の現在(6/3)の天気予報では、気温は最低気温が10℃から15℃、最高気温が20℃から22℃となっていて、かなり涼しいようです。降水確率は刻々と変化しているようですが、土曜日の午前中が40%と雨が降りそうですが、日曜日は今の所大丈夫そうです。とは言っても週の中頃は30℃になる日やシャワーもあるようで、どうなるか分かりません!良いコンディションでレースが出来る事を期待します。

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5.タイムスケジュール


今回は日曜日が決勝レースとなります。タイムスケジュールはやや変則的となり、6/6木曜日の走行は、19:45~21:00のナイトプラクティスのみ。そして6/7金曜日の午前中2時間のフリープラクティス、午後14:00~15:20に予選1回目が行われます。予選は通常通り3人のライダーが、それぞれ20分ずつです。
6/8土曜日11:00~12:20に予選2回目が行われグリッドが決定します。
6/9日曜日は9時から45分間のウォームアップがあり、13時にスタートして、21時にゴールです。ちなみに日没は21:25くらいとなっています。日本との時差は7時間なので、日本時間では6/9の20時スタート、6/10(月)の明け方4時ゴールです。

今週のレースも、日テレG+で生放送が予定されています。スタート前の日本時間19:30からゴールまで放送予定です。
またFIM EWC公式ホームページでライブタイミング(順位とラップタイムが分かります)は見られますのでチェックして下さい。
EWC(公式サイト)

またブリヂストンモータースポーツのHPでは、現地から速報をお届けしますので、下記をご覧ください。
EWC/鈴鹿8時間耐久ロードレース 速報

今週末も、ブリヂストンタイヤ装着チームの活躍に期待し、応援よろしくお願いします。