みなさん、こんにちは! ブリヂストンの山田宏です。
ブリヂストンを装着して鈴鹿8耐に参戦するチームへのインタビュー。今回は『ヨシムラスズキMOTULレーシング』の加藤陽平監督と津田拓也選手にお話を聞きました。
【ヨシムラスズキMOTULレーシング:加藤陽平監督】
(山田) 鈴鹿8耐の優勝奪還に向けてこの1年間どのような取組をなさってきたのでしょうか?
(加藤監督) 2017年の初めからスズキさんと共同で現在の車体の開発を進めてきたのですが、2社共同となると進め方で難しい部分もありました。そのため昨年の鈴鹿8耐後にスズキさんとヨシムラの役割分担を明確にして、スズキさんが強力なバックアップを約束してくれました。この点はソフト面での大きな変化と言えます。加えて、ヨシムラの中でも組織の見直しを行い、従来あったレースグループを廃して、実験(レース)グループと設計グループの2つに分けました。これにより、私たちがサーキットに出ている時でも、例えばトラブル発生時は会社で対策パーツの開発が進められる体制となりました。他メーカーさんがワークス体制で走行と開発を進めている中、ヨシムラとして何ができるかを考えた結果です。
(山田) 今年のヨシムラスズキMOTULレーシングは例年以上に8耐に向けた開発テストを積極的に行ってきましたが?
(加藤監督) 今言ったようなソフト面の変化により、スズキさん側からもヨシムラ側からも様々なテストパーツが沢山出来てくるようになりました。その結果、それらのパーツを評価する機会も多く必要となり、ある意味結果的にテスト機会が増えていきました。他メーカーさんは、現行の車両を開発してきた経緯から十分に実績あったり、テスト部隊・レース部隊がきっちり分かれていたりするのですが、ヨシムラスズキMOTULレーシングは全日本に参戦しながらレースにおいても様々な新しいものを評価・投入しています。データは揃ってきているので、鈴鹿8耐に向けてデータを集約しています。タイヤに関しては、17インチで臨む初めての鈴鹿8耐となりますが、担当エンジニアを通じてブリヂストンさんの基本方針を聞きながら、チームとしてその方針に近づけていこうと考えています。
(山田) 最後に鈴鹿8耐に向けた意気込みは?
(加藤監督) 近年はYAMAHA FACTORY RACING TEAMさんが強く、今年からHRCさんのワークスチーム(Red Bull Honda with日本郵便)が復活し、またKawasaki Team GREENさんも加えると、我々にとっては例年以上に厳しい戦いとなるのは間違いないと感じています。しかし、ファクトリーチームに打ち勝ってきたのが、鈴鹿8耐におけるスズキさんとヨシムラの歴史です。ファクトリーチームを倒すヨシムラスズキMOTULレーシングを鈴鹿8耐の観客に見ていただきたいです。
【ヨシムラスズキMOTULレーシング:津田拓也選手】
(山田) 鈴鹿8耐に繋がる全日本ロードレース選手権の前半戦の結果を御自身ではどのように捉えていますか?
(津田選手) トラブルが続いてしまっていましたが、その中でも流れを少しずつ取り戻せていると自分では感じています。決勝では天候に恵まれなかったりもありましたが、予選では常に上位につけられていて、セットアップはきちんと出来ていると思います。まず予選と同様の力を決勝でも発揮することが第一です。鈴鹿8耐できっちりとチームに流れを引き寄せたいです。
(山田) 去年に引き続き、全日本ロードレース選手権で2台体制ですが、今年は経験豊富な渡辺一樹選手が加わりました。どのような効果があったでしょうか?
(津田選手) 僕と渡辺選手は同じタイミングで1000ccクラスにステップアップしたのですが、その渡辺選手がチームメイトとして一緒に戦っているというのは、心強いです。僕一人ではテストメニューをこなせない時もありますので、彼の存在はとても助かります。また、同じチームに6年もいると、ある意味そのチームのやり方に慣れてしまって、間違いや修正すべき点が見えにくくなってしまうこともあります。そんな時に、去年の濱原選手や今年の渡辺選手、8耐での外国人ライダーのような外からの視点を持ったメンバーが来ることは、客観的に自分の状況がよく分かるので良い刺激となります。
(山田) ヨシムラに所属して6年目。選手としての取組を変えてきている部分はありますか?
(津田選手) 自分ではかなり変えています。レーシングライダーにとってはサーキットに来るまでが重要と考えていますので、常にトレーニングの仕方などを工夫しています。サーキットに入ってからも重要なのですが、どうしても現地でできることは限界があります。バイクに乗っている時間の方が短いですから、乗っていない時間をどう過ごすべきかを重視しています。
(山田) 最後に鈴鹿8耐への意気込みは?
(津田選手) 目標はもちろん優勝です!!。数年前までファクトリー系チームはほとんどいなかったのに、年々ハードルが高くなっていますよね。これに太刀打ちできるように、スズキさんもヨシムラも全力でバックアップしてくれています。自分もその中でしっかり役割を果たしたいと思っています。