みなさん、こんにちは! ブリヂストンの山田宏です。
ブリヂストンを装着して鈴鹿8耐に参戦するチームへのインタビュー。今回は『MuSASHi RT HARC-PRO Honda』の本田光太郎監督と水野涼選手にお話を聞きました。

【MuSASHi RT HARC-PRO HONDA:本田光太郎監督】

(山田) 長年チームのエースだった高橋巧選手が抜けて、若手の水野涼選手が加わりました。この変更の影響について教えていただけますか?

(本田監督) 高橋選手は8年間のチーム在籍で、鈴鹿8耐に3回優勝し、表彰台もありました。"高橋選手が持っていた経験がMuSASHi RT HARC-PRO Hondaが8耐を戦う上で大きな武器なっていた"というのは事実です。その高橋選手が移籍したことで、武器が活かせなくなってしまい、その分厳しい状況にはなると思います。ただ、水野選手もスピードを持っているライダーなので、MuSASHi RT HARC-PRO Hondaが培ってきた鈴鹿8耐の経験値を水野に伝えてフォローしていきたいと思っています。水野選手は経験を積んでいけば、もっと強いライダーになれるはずです。

(山田) HRCワークス(Red Bull Honda with 日本郵便)の復活で、ホンダ系有力チームとしてのMuSASHi RT HARC-PRO Hondaのレースへの取組は何か変わるのでしょうか?

(本田監督) 特に影響はないですね。HRCワークスさんが復活して鈴鹿8耐優勝を期すのは当然のことですが、ホンダさん全体の考え方として、HRCワークスさんの1チームのみに注力しているということはなく、MuSASHi RT HARC-PRO Hondaのほか、F.C.C.TSR Honda FranceさんやKYB MORIWAKI MOTUL RACINGさんにもしっかりとハードウェア面や技術面でサポートをしてくださっています。テストの進み具合やラップタイムペースとしては、全く問題ないです。

(山田) 2014年以来の鈴鹿8耐優勝に向けてどんな取組をしてきましたか? またその過程でブリヂストンはどのような役割を果たせたでしょうか?

(本田監督) 水野選手が1000ccクラス車両で1年目であり、他のライバルチームと選手のレベルまではまだ達していないと思います。ですから、"ライバルチームに勝つために何をするか?"という視点ではなく、まずは"どうやってライバルに肩を並べるところまで行くか?"という考えで、全日本ロードレース選手権の前半戦を戦っていました。その状況下で、ホンダさんから様々なサポートを得られ、且つブリヂストンさんからはトップチーム・選手と同スペックのタイヤを供給されていましたから、非常にチャレンジしやすい環境を整えていただけていたと感じています。

(山田) 鈴鹿8耐への意気込みは?

(本田監督) 狙うのは間違いなく優勝です。耐久レースですからレース中に何が起こるか分かりませんから、どんな状況下でもチームと選手が速さを発揮できるように、車両セットアップを煮詰め、チーム全体のコミュニケーションを高めて、準備万端でレースに臨みたいです。

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【MuSASHi RT HARC-PRO Honda: 水野涼選手】

(山田) 全日本ロードレース選手権ではJGP2クラスチャンピオンとして、鈴鹿8耐に繋がるJSB1000クラスにステップアップしました。前半戦の結果を御自身ではどのように捉えていますか?

(水野選手) もちろん、常に優勝を目指していますが、直近のRd4スポーツランドSUGOではこれまでで一番車両を自分でコントロールできていた上で4位になれたので、少しずつ身になってきている段階と感じます。JGP2クラスチャンピオンとしてチャンピオンチームでJSB1000クラスに上がって、プレッシャーに感じる部分もあります。シーズン初めは流れが良くなったですが、今は乗れば乗るほど分かることがあり、乗れば乗るほど順位が上がってきているので、少しずつですが鈴鹿8耐に向けて良い方向に進んでいると思います。

(山田) 全日本ロードレース選手権と鈴鹿8耐とでは、ライダーとして臨むにあたってどのように異なるのでしょうか?

(水野選手) いつもは選手としては僕一人ですが、鈴鹿8耐では外国人ライダーが2人いて、もちろん言葉の壁はあります。全日本では僕がエースと位置付けてもらっていますが、今回チームメイトの2名は経験も速さもありますので、僕より速いタイムを出されてしまうプレッシャーになりますね。MuSASHi RT HARC-PRO Hondaのライダーであることでも、他チームで参戦した昨年以上に責任やプレッシャーを感じています。しかし、選手として出るからにはプレッシャーがあった方が、自分の成長にもなると思いますから、プレッシャーがあることを自分では良い方に捉えています。

(山田) 経験豊富なチームメイト2人から感じる違いはどんな点でしょうか?

(水野選手) 自分との大きな違いと感じたのは、"ライダー自身がチームを動かそうとする強い姿勢"ですね。ガレージに帰ってきて、フィードバックをチームに伝える時もとても真剣な表情でした。例えばセットアップがあまり良くないときは、『こんなバイクに乗れない!!』とハッキリ言ってしまうことも。実際、メーカーテストでウェットコンディションが続いていた時、最後何とかドライタイヤで走れそうな感じになってきて、ド・プニエ選手が『ドライタイヤで走りたい』と主張したのにチーム判断でドライタイヤ走行なしでした。そしたら彼が明らかに不機嫌になっているのを見て、"何が何でも乗りたい"という意志の表れだなと僕は感じました。もちろん、2人ともすごく良い人で、とくにエガーター選手は気さくに話してくれました。

(山田) 鈴鹿8耐への意気込みは?

(水野選手) 同じホンダでも復活したHRCさんのワークスチームがいて、他メーカーにも強力なファクトリー系チームがいて、優勝へのハードルはかなり高いと思います。やるべきことを着実に進めていって、表彰台を目指します。