みなさん、こんにちは! ブリヂストンの山田宏です。
ブリヂストンを装着して鈴鹿8耐に参戦するチームへのインタビュー。今回は『F.C.C. TSR Honda France』の藤井正和監督とフレディ・フォーレイ選手にお話を聞きました。
【F.C.C. TSR Honda France:藤井正和監督】
(山田) 現在EWCランキングトップで最終戦の鈴鹿8耐を迎えます。今年の鈴鹿8耐を迎える取り組み、心境はいかがですか?
(藤井監督) これまでの8耐とは全く違うね。取り組みに関しては180度違うと言っていいと思う。これまではとにかく勝つ為に戦ってきた。勝つか負けるかだから、勝てなければ何位でも同じと思っていたので、例えばレース中に転倒したらライダーには戻らなくても良いと言っていた。しかし今年は何が何でも走り切る必要がある。
(山田) EWCのタイトルを獲る事が一番となると思いますが、レースでの戦い方もかなり変わりますか?
(藤井監督) 勿論。とにかくタイトルを取る為に全てを掛ける。トップ10を走れなくても良いと思っている。6位に入れたら上出来すぎるくらいだろう。とにかくタイトルが目標となるが、鈴鹿8耐の難しさも良く分かっている。何が起こるか分からないのが8耐だ。その為に当然直接のライバルであるGMT94の動向を見ながら、リスクを極力少なくする戦い方となるだろう。またどんなトラブルが起こっても走り切って、目標達成が出来るよう、あらゆる事を想定している。
(山田) 公開テストも終わりましたが、マシン、ライダーの仕上がり具合はいかがですか?
(藤井監督) マシンに関しては、今シーズン少しずつバージョンアップをしてきた。鈴鹿8耐でも新しいものを投入するが、次のシーズンに向けても全て予定通りに進んでいる。鈴鹿でのマシンに関しては、かなり色々とテストをしたが、正直まだまだ詰めたい所はある。しかし目標達成の為には十分なレベルにまで仕上がっている。 ライダーに関しては、アラン(テシェ)が、6月のテストで怪我をして、今回のテストでは無理をせずに乗らせなかった。しかし彼は鈴鹿も走りこんでいるし、問題ないだろう。ジョシュ(フック)も鈴鹿は良く知っているし、フレディ(フォレイ)も調子は良い。 今シーズンはずっとこの3人で戦ってきて、ルマン24時間も含め2勝している。最終戦も同じメンバーでタイトル獲得するよ!
(山田) レースに向けての抱負をお願いします。
(藤井監督) とにかく日本チームとして初のEWCタイトル獲得の為に全力を尽くします。その為に、今シーズン開幕戦からやって来た事の集大成を鈴鹿で見せて、世界一になりますよ!
【F.C.C. TSR Honda France: フレディ・フォーレイ選手】
(山田) フランス人ライダーとして、伝統のルマン24時間耐久レースの勝利はどのようなものだったのでしょうか?
(フォーレイ選手) 昨年のボルドール24時間耐久レースでF.C.C.TSR Honda Franceに加わった際にフジイさん(藤井正和チーム監督)にも言いましたが、チーム・バイク・ライダーの全てにおいてTSRは強いチームだと思いました。ボルドールでは残念ながら途中クラッシュしてしまいましたが、実際に優勝するだけの力があることが分かりましたからね。それでも、チームとしてわずか2戦目で実際に優勝を達成することができたことには、大きな驚き(『Big Surprise』)でした。というのは、24時間レースは長丁場ですし、運の要素も必要です。幸運にも恵まれた勝利だったと思いますし、また日本チームやブリヂストンにとってのルマン初優勝だったことも素晴らしいことだと感じます。
(山田) ブリヂストンタイヤは、ルマンでの優勝はどのように貢献できたのでしょうか?
(フォーレイ選手) ボルドールで大きな課題と認識したのは、(走行開始直後の)ウォームアップラップの性能でした。そのためルマンまでの冬の期間、チームとブリヂストンは日本でも欧州でもテストを重ね、課題の克服に努めました。その結果、ウォームアップ性能の大きな改善を感じることができましたし、この努力がなければルマンでの優勝はなかったと思います。ブリヂストンはとてもいい仕事をしてくれた、と断言できます。
(山田) 鈴鹿8耐はEWCで唯一の欧州外のレース。何か違いはありますか?
(フォーレイ選手) もちろん、欧州から来るライダーにとっては、時差ボケという違いがありますが、大きな問題にはなりませんね(笑)。最大の違いは、日本開催の鈴鹿8耐にだけ多くの日本のバイクメーカーがワークス参戦し、TSRのようなプライベートチームがワークス勢を競い合わなければいけないことです。GMT94・SERT・YARTといった欧州戦でのライバル達は、EWCに通年エントリーしていますから、8時間レースから24時間レースまで対応するようにチーム体制やバイクを作り上げています。しかし日本のワークスチームは完全に鈴鹿8耐仕様のチームとバイクであり、これは大きな違いです。ただこの違いに、私はとてもやりがいを感じています。というのは私がTSRとの契約することを決めた際、一番意識したのは『鈴鹿8耐で優勝したい!!』ということでした。TSRとブリヂストンなら鈴鹿8耐優勝を狙えるパッケージですからね。
(山田) EWCタイトルが懸かったレース。これまでと取り組み方は変わりますか?
(フォーレイ選手) No。フジイさんにもチームにも、『これまでのレースと全く同じように仕事しよう』と言いました。優勝や表彰台を逃してもタイトルは獲得できるのだから、常に落ち着いていることが大事だと思います。プッシュしたくなる時も常に平常心を保ち、レースをきちんとフィニッシュできれば、ブリヂストンとともにタイトルは獲得できると思います。