みなさん、こんにちは!ブリヂストンの山田宏です。
今回は5/10-13に開催される、スロバキア8時間レースの見所についてお話をしましょう。

その前に、まだ記憶に新しいですが、先月4/20-22に行われた、ルマン24時間レースを振り返ってみましょう。
F.C.C.TSR Hondaは、EWCフル参戦開始3年目で海外レース初優勝、しかも歴史もあり最も過酷なレースの一つルマン24時間での優勝はまさに快挙です!EWCの歴史の中でも、日本のチームが鈴鹿8耐以外で優勝したのは初めてで、表彰台のセンターポールに揚がった日の丸は感動的でした。我々にとっても勿論EWC海外レースでの初優勝で、本当にチームの皆様、関係者の皆様には感謝しています。
思い起こせばTSR藤井総監督とは、1991年に上田昇選手が日本GPで初優勝し、WGP125に急遽フル参戦して、第3戦スペインGP(へレス)で優勝し、我々にとっての海外WGP初優勝を一緒にしました。更に2006年鈴鹿8耐でも、F.C.C.TSRが辻村/伊藤組で優勝。我々のユーザー12連覇のスタート、鈴鹿8耐初優勝を飾ってくれ、今回のEWC海外初優勝を含め、我々の重要なマイルストーンに常に一緒にいてくれたことに本当に感謝しています。

1. ルマン24時間レースを振り返って

ルマン24時間では、2016年にF.C.C.TSR Hondaが初挑戦で3位表彰台獲得、2017年はYART-YAMAHAが初のブリヂストン装着で2位と、我々にとって良い結果を挙げていました。昨年も海外EWCで表彰台を二回獲得していますが、やはり優勝のハードルは高いと感じていましたが、今回F.C.C.TSR Honda Franceが3年目の挑戦で見事に海外EWC初優勝を飾ったのです! 結果については、HPでレポートしているのでご存じの方も多いと思いますが、もう一度下記をご覧ください。
【レースレポート】2017‐2018年 EWC第2戦 ル・マン24時間耐久レース

予選では我々のサポートする#7 YART-YAMAHA(以下#7 YART)が僅差で2位、#5 F.C.C. TSR Honda France(以下#5 TSR)が6位のグリッドを得ました。 
予選の気温/路面温度は、1回目の木曜午後が27℃/45℃、2回目の金曜午前が予選から#5 TSRは決勝を見据えた取り組みをし、予選2回目は、予選決勝で使えるタイヤが45本という規則により、決勝のタイヤを温存する事も含め、無理なアタックはしない状況での6位でした。一方の#7 YARTは、予選2回目も4人のライダーがアタックしました。予選終了後、藤田選手の体調が悪く24時間レースは無理と言う判断で、第4ライダー登録をしていた、M.ノイケーヒナー選手に変更を決断。彼の予選ベストタイムを採用した結果#7 YARTがポールポジションスタートとなりました。
スタートライダーは、#7 YARTがB.パークス、#5 TSRはF.フォレイ。ポールスタートのB.パークスはやや順位を落とし1周目を9位で通過、逆に#5 TSRはポジションを挙げ4位で1周目を終了。長い24時間レースがスタートしました。
スタートから1時間過ぎ、全チームが最初のピットインを終えた後の順位は1位#94 GMT94(Ya,DL) 、2位#7 YART、3位#5 TSR、4位#2 SERT(Su,DL)と続きました。2回目のピットインの辺りで、トップ争いは白熱し、3回目のピットインが終わると、#7 YART B.パークスが109周目にトップに浮上!#5 TSRはその後方で3位をキープします。4回目のピット作業の時、#7 YARTに作業ミスがあり、ピット作業で20秒近くロスしてしまい、#94 GMT94に再びトップを奪われますが、#7 YART M.フリッツが速いペースで挽回。自身のスティント終盤153周目に再びトップに立ちますが、その4周後にまさかの転倒!ライダーは無事でしたが、マシンは大きなダメージを負い、ピットに戻り修復後再スタートをしますが、スタートから6時間後171周でリタイヤとなってしまいます。
その後#5 TSRは2位をキープ。経過ポイントが付くスタートから8時間後は、トップ#94 GMT94と2周差ながら2位で9点獲得。3位には1周遅れで#2 SERTが付けます。我々の市販タイヤV02のユーザー#21 Mercury Racing(BMW、BS)が、大健闘の5位に付けます。(6時間までは4位でした!)
その後も昨年のチャンピオンチーム#94 GMT94は、順調に周回を重ねトップをキープ。レースの折り返し12時間経過時には、2位#5 TSRとの差を4周、2回目の経過ポイントが付く16時間経過時には、5周と少しずつリードを広げました。
しかしレースが残り6時間半に差し掛かった朝8時半ごろに、トップ#94 GMT94が転倒!628周目に#5 TSRが遂にトップに立ちます!#94 GMT94はピットに戻り、マシン修復の後レースに復帰しますが、11位へと大きくポジションを落とします。代わって2位に上がったのは、序盤で大きく遅れたものの挽回してきた#11 1 Honda Endurance Racing(Ho、DL)ですが、トップ#5 TSRとの差はピットタイミングにより2~3周。
その後#5 TSRは、確実に24時間を走り切り見事に優勝を果たしました!

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2. コースについて

スロバキアリンクのあるスロバキア共和国は、東ヨーロッパで西側にはチェコとオーストリア、北側はポーランド、南はハンガリー、東はウクライナに囲まれた国です。昔はチェコスロバキアと一つの国だったのですが、1993年に分かれました。チェコはMotoGPのチェコグランプリが行われているので、我々もよく行きましたがスロバキアには昨年まで行った事もなく、あまり知られていないと思います。国土は約49,000平方キロメートルの広さで、日本でいうと九州全部と隣の山口県を足した位の大きさです。
第3戦が開催されるスロバキアリンクは、オーストリアとの国境近くにある、首都のブラチスラヴァの東側郊外にあり、ウィーンから約90kmです。このコースは2008年に着工して2009年にオープンしました。当初はカーメーカーのテストコースとして作られ、全長も今より短かったのですが、4輪の国際レースFIA GT選手権やWTCCの招致に伴い、現在の6km弱に延長されました。そして2011年に最初の国際格式レースFIA GT選手権が開催され、2輪では昨年のEWCが初の国際格式レースで、今年がEWC2回目の開催です。

全長5.922km、右7、左7ヶ所のコーナーからなっている時計回りのコースで、昨年予選でのベストラップ(2'04.200)での1周の平均速度は172km/hと、これまでのルマン(156km/h)、オシャースレーベン(153km/h)と比べると、かなり高速コースと言えます。
メインストレートは長く、1コーナーの後もストレートで、2コーナーは高速、そして3コーナーまでもストレートで、3コーナー後はテクニカルなパートとなります。
12コーナーを抜け最終コーナーまではまたストレートがあり、13コーナーは180度以上回り込むヘアピン状のコーナーですが、スピードは高いのでフロントタイヤの右側に負担が掛かると思います。 路面の舗装については、表面の形状は鈴鹿に近い感じがあり、欧州の平均的な路面と比べると、グリップは高くタイヤへの負担は大きいです。

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3. 予選、決勝の見所

今回のエントリーは、我々がサポートする2チームは、#7 YART-YAMAHAは、B.パークス、M.フリッツに藤田が復活。#5 F.C.C. TSR Hondaは、ルマンの優勝メンバーと同じF.フォレイ、A.テシェ、J.フックスです。 エントリーは34チーム。レギュラー参戦27チームに加えて、スポット参戦が7チームです。

今回は第3戦ですが、全5戦でのタイトル争いを考えると、今回のレース結果も非常に重要といえます。
ちなみに第2戦終了後のランキングは下記となっています。#7 YART-YAMAHAは残念ながら2戦でノーポイントとなってしまいましたが、我々の市販タイヤのユーザーが5位と大健闘しています。

順位チームマシンポイントタイヤ
1 #5 F.C.C. TSR Honda Ho CBR1000RR 95 BS
2 #94 GMT94 YAMAHA Ya YZF-R1 91 DL
3 #111 Honda Endurance Racing Ho CBR1000RR 82 DL
4 #13 Wepol Racing by penz13.com BMW S1000RR 81 PI
5 #21 Mercury Racing BMW S1000RR 48 BS

昨年のレースでは初開催だった為に、タイヤの本数制限はありませんでした。したがって予選では、各ライダー2回の予選で新品タイヤを最低でも2セットは使っていましたが、今年は予選、決勝を通して各チーム20本しか使えません。ルマンでは#5 TSRが、決勝レースに向けてタイヤを温存する為、予選2回目のアタックを行いませんでしたが、今回もそれに近い作戦を取るチームが多いでしょう。
又昨年のレースでは、このコースは燃費に厳しい事もあり、ピット回数は上位3チームが、トップから9回、10回、8回と、7回ピットが定石の鈴鹿8耐より多くのピット回数となりました。という事は、レースでのタイヤの使い方も戦略上かなり重要になります。
また昨年の結果では、6月開催だったこともあり、スタート時気温30℃路面温度52℃と高かったので、タイヤに対しても厳しい状況でした。今年はそこまで気温は上がらないとは思いますが、タイヤにシビアなコースである事には変わりません。
レースは12:30スタート、20:30ゴールです。ゴール時には気温29℃路面温度33℃と、特に路面温度が下がりましたが、依然高いレベルでした。
まず予選までにレースでのピット回数を決める必要があるでしょう。ある程度燃費を優先して8回ピットにするか、パワーや乗り易さを重視して燃料を多く使い9回ピットにするか?8回ピットにしても、9スティントで毎回前後のタイヤを新品に替えると18本使用で、予選では1セットしか使えません!現実的には、予選で1アタック数周したタイヤをレースに使う事になると思いますが、その使い方、読みが難しいでしょう。
昨年の結果では、タイヤに厳しいコースなので、使用タイヤのスペックによっては、スティント後半のラップタイムの落ちが大きくなりました。
その点タイヤの耐久性に関しては、我々のタイヤはライバルより多少有利にあったと思います。
昨年のレースでは、#7 YARTがポールポジション、#5 TSRが予選5位からスタートして、序盤は#5 TSR―#7 YARTの1-2体制を築きます。しかし4時間を過ぎた所で#5 TSRがマシントラブルで緊急ピットイン。#7 YARTもトップ快走中の5時間半過ぎに予定外のピットイン。その後ももう一度マシンの修復を行い、5位にポジションダウンし、追い上げたものの4位でゴール。#5 TSRは原因不明のマシントラブルで修復に時間が掛かり、21位という結果に終わりました。
昨年も両チーム共に勝つ速さ、チャンスはあったので、今週末に期待しましょう!

8時間耐久レースでは、1位:30点、2位:24点、3位21点、4位19点、5位17点、6位:15点で、以下1点ずつ少なくなり20位までにポイントが与えられます。
ポイントリーダーの#5 TSRは取りこぼしなく、#7 YART-YAMAHAには、まず今シーズン初表彰台を、本音を言えば勿論1-2で初のダブル表彰台を期待したいです!

4.タイヤ

上記にも書きましたがスロバキアリンクはタイヤにシビアです。タイヤの発熱についても特に右側の発熱が高くなります。気温も上がる事も予想されるので、先月のルマンよりハード目のコンパウンドを準備します。

準備するタイヤ本数は、ウェットも含め合計約450本のタイヤを搬入します。
今週末の天気予報は、予選が始まる木曜日から天気は不安定のようです!毎日にわか雨のマークがあり、金曜日は降水確率50%、レースの行われる土曜日は30%となっています。気温は最低が12~14℃、最高は24~27℃と、朝晩は涼しく、昼はまずまず暑くなりそうです。

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5. タイムスケジュール

今回の公式スケジュールは、土曜日が決勝レースとなりますので、5/10木曜日の午前中に2時間のフリープラクティス、午後と5/11金曜日の午前中に20分間の予選が1回ずつあり、決勝は5/12土曜日12:30にスタートして、20:30にゴールです。日本との時差は7時間なので、日本時間では5/13の明け方5:30ゴールです。また昨年同様に火曜と水曜に合同テストがあり、我々スタッフは月曜日から現地入りしています。

今週のレースも、テレビ放送では見られないのですが、FIM EWC公式ホームページでライブタイミング(順位とラップタイムが分かります)は見られますのでチェックして下さい。
【FIM EWC公式ホームページ】http://www.fimewc.com/live-timing/

またブリヂストンモータースポーツのHPでは、現地から速報をお届けしますので、下記をご覧ください。
【速報】EWC/鈴鹿8時間耐久ロードレース

今週末も、ブリヂストンタイヤ装着チームの活躍に期待し、応援よろしくお願いします。