03.gif 「ゼッケン1番のマシン、はげしいスキール音とともにスタート!第1コーナーで白煙とともにブレーキング!派手な四輪ドリフトでコーナーを立ちあがった!」迫力のレーススタート。このドライバーは確かに"速い"かもしれない。でもこのドライビングを毎周繰り返していると、どんな高性能タイヤであっても、熱や摩耗で苦しみグリップが下がる。当然、ラップタイムは落ち、レース中盤以降、後続車に抜かれ表彰台を逃すことになるんだ。基本的には速度が上がれば上がるほど、タイヤは摩耗する。でもそのなかでやさしい運転をすれば、タイヤは一度に負担をかけられないから、摩耗状態も良く、常にグリップが高いんだ。本当に"速い"ドライバーはタイヤにやさしい"うまい"ドライバーじゃなきゃならない。

 ストリートでも同じようなこともある。アクセルを踏んで速度が出ていることが"速い"ドライバーではないと思う。たまに見かけるけど、ストリートでただ飛ばすほど、危険なことはないよね。速度がどうあれ、ナビシートのひとの首があまり動かないドライビングはタイヤにやさしい。もちろん、エンジンやブレーキ、サスペンションにもね。タイヤに負担をかけないドライバーは速度が"速く"なくたって"うまい"ドライバーだよね。"うまい"ってことは限界を知り、状況に応じて限界内で最大から最小まで、適当なポテンシャルを、スムースに引き出すコントロールをすることなんだよ。

04.gif "うまい"ことは、速度が上がれば、上がるほど、路面が滑りやすいほど、難しくなる。ドライバーとして"速い"ってことは、より広い速度の範囲で、どんな条件下でも、より精度が高く"うまい"ことなんだ。より"速く"なるには、より"うまく"なることを欠かすことはできない。

 ボクがこのENJOY!スポーツドライビングで教えてあげたいのは、"うまく"なるヒントなんだ。それは基本的なことであり、とっても重要なことでもある。"うまく"なれば、ドライビングをよりエンジョイできるし、スマートなドライビングにも近づくってことだからね。で、"速い"ことを求めるキミにも、ここで教えたことがきっと役に立つと思う。どんな速さであっても、基本がうまいことは肝心だからね。これを忘れずに、サーキットでとことん速さを追求してほしいんだ。

 さて、具体的なお話に移るのは次回から。ドライビングポジション、キミたちはしっかりできてるかな?