bmp今回からはより具体的な走り方を伝授していこう。

今回は低中速コーナリング。カッコよく走る上で、まず最初に出会うポイントだ。でもちょっと待てよ。そのコーナーに飛びこむ前に基本的なことを教えよう。いいコーナリングに必要なことは2つある。
1."クルマの性能を十分に引き出すこと"
2."美しいラインをトレースすること"
このふたつが合体されると、まるでレーシングドライバーのような素晴らしいコーナリングができるんだ。マシンの性能を引き出すコーナリングに関しては、ブレーキング編をよ~く読んでね。もちろん、すぐできるわけじゃないから、長い時間をかけて、そして何百回、何千回と走って体得していくことなんだけどね。2番目の美しいラインのとり方は...そう、いわゆる「アウト・イン・アウト」っていうラインをとるとベストなコーナリングができるわけだ。そのアウト・イン・アウトとは
1.コーナリング進入時に曲がるコーナーに対し、道幅のなかでいちばん遠い場所(アウト)から進入
2.コーナーの中間あたり"クリッピングポイント"でもっとも内側(イン)に寄る
3.コーナー終盤は自然に外側(アウト)にはらむ
これを右コーナーで想定してみよう。まず道幅めいっぱいまで左側にクルマを寄せて、コーナー半ばで右側にしっかりつき、左側に向かって立ち上がっていく。このライントレース方法は平面を速く走ろうとする物体には共通している方法なんだよね。もちろん、自転車やバイクも一緒。でもね、よくよく考えてみると不思議なことに気づくんだよ。

速く走る秘訣ってなんだろう。これまた2つの要素がからんでくるんだ。
1.速度を上げること
2.距離を短くすること
例えば、A地点からB地点まで100メートルあったとしよう。時速100キロで走ったとしてもS字を描きながら行けば距離が長くなってしまい、結果遅くなる。逆に真っ直ぐに向かったとしても時速20キロではこれまた遅い。よって本来、コーナーでクルマを速く走らせようと思ったとき、距離的にはイン・イン・インが速い。それと対照的に、速度的にはアウト・アウト・アウトが速い。速度を乗せつつ、距離を短めにとるという2つの要素を合体させた画期的な走法が「アウト・イン・アウト」になったんだ。どうだい?理解できたかな。


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そうそう、もうひとつタメになることを教えてあげよう。アウト・イン・アウトを実行すべく、走っていたときにブレーキングでミス!おっと行きすぎちゃった!っていうときはムリにクリッピングポイントに向かう必要はない。それは減速を必要以上にすることになり、せっかくの速度が落ちてしまうからだ。そういうときこそ、アウト・アウト・アウトをうま~く使って、速度を乗せたまま、コーナリングしてしまおう。意外とタイムロスはしないぞ。もうひとつの例もあげよう。前方を行くクルマをインからパス!こんなときもムリしてアウトには出ず、イン・イン・アウトのラインをトレースし、距離をかせぐ方法でクリアしよう。これもタイムダウンさせない方法として有効だ。いずれにしても何かの理由で理想のラインをトレースできないときには臨機応変に対応することもテクニックのひとつなんだ。

さらにもうワンポイント、みんなに教えたいことがあるんだ。それはクリッピングポイントの取り方。一昔前のドラテク本を見るとクリッピングポイントはかなり奥、つまりコーナー出口に近い方にある。だけど、最近のクルマはよく止まり、よく曲がり、よく加速するようになってきて、さらにはタイヤのグリップもとても上がってきてるんだ。こうなってくると、クリッピングを一箇所に決める走法ではムダ、つまりタイヤを含んだクルマの性能を十分に引き出さないことになってしまう。こういうときはクリッピングをポイントではなく、ゾーンでとらえるんだ。つまり、インにつくタイミングを早くし、インにいる時間を長くとる。名づけて"クリッピングゾーン"。これでクルマのポテンシャルを十分に発揮できるゾ。

さぁ、これで低中速コーナリングの基本がわかったよね。アタマだけじゃなく、カラダでわかるために、どんどんサーキットに足を運んでくれ。次回は高速コーナリング。リスキーだからこそ、安全な走り方を教えよう。