04-01.bmpドライブにはバッチリの季節になってきたね。ボク、山野哲也がおくる"ENJOY!スポーツドライビング"のコーナーは第3回に突入!カッコイイドライビングを目指すキミに今回はハンドルの回し方、ステアリング操作の方法を教えちゃおう。
クルマを曲げるにはまずタイヤの向きを変えることが必要。さらに安定した速いコーナリングをするためにはタイヤのグリップを最大限に引き出す動き、すなわち挙動を造ることが絶対条件になるわけ。ステアリング操作を誤るとそのグリップを引き出せず、「ウォー!曲がらなーい」とか「ギョエー、クルクル回ってる~!?」といった状態になることも。ステアリングはマシンの、タイヤの動きを感じる一つのパーツであり、またマシンに自分の意志を伝える一つのパーツでしょ。大事な伝達経路なんだよね。だから自分の意志を伝えるためにはまず適当な操作方法を身に付けておくのが基本。マシンからのインフォメーションを受けること(正しい運転姿勢+経験)、ステアリング、ペダル、シフト、各々の正確な操作=正確な意志の伝達手段ができてから、どういうマシンの挙動を造るかというなるってわけ。

で、まずはステアリングの握り方なんだけど・・・
1.しっかりとした運転姿勢をとる。ー 第2回ドライビングポジション参照。
2.(ステアリングホイールを時計に例えたとき)10時10分の位置に手を置く。
3.軽く握り、親指をステアリングホイールの中に入れない。
親指をステアリングの中に入れない理由は回すときにスポークにひっかからないため。最初は強く握ってしまうかもしれないけど、チカラの入れすぎはよくない。むしろステアリングホイールに"手のひらを押しつける"ようにすると、握るチカラは減るし、ドライビング姿勢もよくなるゾ。
つぎは回し方だ。主に2通りある。
1.ウデが交差する"クロスハンドル"
これはいわゆる教習所で教わる方法。例えば右コーナー。10時10分からステアリングを切り始めて、左手が12時の位置を超えたら右手を10時の位置に持っていく。ほら、ウデがクロスしたでしょ。左コーナなら右手が12時の位置を超えたら左手が2時の位置にいく。このクロスハンドルのメリットは短い時間でたくさん回せること。早く回したいときには有効ってわけ。デメリットはステアリングを片手(曲がる方向と反対の手)で握っている時間が長く、押さえづらい。より正確に舵を当てるのは難しい。
2.ウデが交差しない"送りハンドル"
手をクロスさせないで、切る方向に少しずつ手をずらしていく "送りハンドル"。例えば右コーナー。右手を左手のすぐ右側、およそ11時まで持っていき、右手でステアリングを引き下ろす。このとき左手はステアリングを握らず、滑らせておき、右手が2時まできたら、左手でステアリングをしっかり握りはじめるんだ。なんとなく、"ステアリングを送ってる"って感じでしょ。これは引き手重視の方法だけど、押し上げ重視の方法もある。右コーナーで右手は2時を握ったまま、左手を滑らせながら7時に迎えに行き、押し上げる。どちらでも構わないのでキミに合った操作方法を身につけよう。この送りハンドルのメリットは、ウデが交差しない分、手で握っている時間が長くしっかり握ることができる。正確な操作がしやすい。デメリットは回すのに時間がかかること。素早く大きな舵には向かない。
この2つの回し方は、シチュエーションに応じて使い分けるのがベスト。例えば、スラロームやシケインでステアリングをたくさん回さなければならないときや、急激なリヤのスライドに対するカウンターステアは"クロス"。なぜなら、素早い操作ができるから。低速~中速のコーナーは"送り"でしっかりステアリングを握ろう。もちろん、中速~高速コーナーで持ちかえる必要がないほど、ハンドル角が少ないときは10時10分のままでOKだ。

04-02.bmpつぎはステアリングを回すスピード。
基本的にはゆっくり切り込みゆっくり戻す方がイイ。挙動を徐々に出し、タイヤのグリップを感じ、これを少しずつ高めて使いながら、かつ安定させるためだ。あまり急激に切り込むとタイヤの横方向に対するグリップが感じる間もなく限界を超えて、「曲がらない」もしくは「曲がりすぎ=スピン」状態になってしまうから。ただし、直角コーナーやS字の切り返し、いきなりリヤが滑ったときの対処などでレスポンスが必要なときは素早い操作が向いていることもある。この場合は戻しのスピードも早くする必要があることも。実際にはコーナーの角度や路面の傾斜(バンク角)によっても変わる。クルマの挙動に合わせながら、修正する操作をすることも大切なんだ。これはステアリングインフォメーションっていうハンドルに伝わってくる反動やタイヤのキャーっていうスキール音、それにクルマの向きなどを加味してステアリングを左右に動かし、適正なハンドル角やさらにアクセル操作を加えることもある。これらを感知するにはかなりのキャリアと判断力が必要になるんだ。ちょっとむずかしいかな。

こんなことだけど、なかなか身につけるのは難しい。しっかりと身につけるためにはどうしたらいいんだろう?そうだね、イチバンいいのはキミの駐車場でクロスハンドル、送りハンドルを繰り返しやってみることかな。ボクも学生時代は手から血が出るまで!?練習したこともあるよ。この成果はしっかりレースで活かされてると今でも思ってるね。
さぁ、これでステアリング操作の基本がわたったぞ。合言葉は"シッカリと、確実に、ときにはすばやく"だ!でも過信は禁物。ステアリングをいくらウマく回せても、マシンの挙動を感じ、それに対して的確な操作を判断するかは難しい。いくらステアリングを回したってそれがその場で適切な操作でなかったら、マシンは理想の動きはしない。まず判断に対して正確な操作方法を身につけることはまだまだ基本段階だ。それに操作=クルマへの意思伝達装置はステアリングだけじゃないよね。ってことで、次回の話題はペダル操作だ。お楽しみに!