12-1.jpgさて、今回は高速コーナリングだ。誰もがあこがれる、そして挑戦してみたくなるハイスピードコーナリング。でも速度が高い分、リスクも大きいぞ。ちょっとしたミスで即スピンやクラッシュにもつながるからね。速く駆け抜けたい気持ちと裏腹に、安全にコーナリングしてあげるのがポイント。さっそくその走り方をみんなに伝えよう。

高速コーナリングといってもコーナリングであることにはかわらない。つまり、低中速コーナリングと基本的な考え方は一緒。クルマのポテンシャルを引き出すことと美しいラインをトレースすることがイチバンだ。これができたらパターン別に走り方を考えてみよう。

1. 角度が浅い、かつその先が直線の高速コーナー 
たとえば鈴鹿の130R。日本屈指の超高速コーナー。ここの速さがドライバーの腕と度胸の見せ所だ。レーシングドライバーたちはどうやって走っているのか。「アクセル全開でイケるだけイク!」と思うでしょ。でも、このコーナー、以外とみんなやさしく走ってるんだ。
A.ストレート上で軽くブレーキング
B.コーナーのクリップに向けてやさしくステアリングを切る
C.クリップ手前からアクセルON
D.アウトに向かってコーナリングGを逃がすように自然にはらむ
という操作をしてる。本当は突っ込むだけ突っ込みたい。でも速度が高いからチョットした操作ミスや挙動変化で大きく姿勢を乱し、結果スピン→クラッシュ→リタイヤなんてことにもなりかねない。もしスピンしなくても姿勢を整えるまでに時間がかかるからその間にクルマも失速しちゃうんだ。だから結果遅くなる。ましてその先がストレートだから立ち上がるスピードが落ちて次のブレーキングまでにバンバン抜かれちゃうよね。コーナリング中は駆動をかけているほうが安定もする。だから早めのアクセルON。そのためには早めのブレーキングということになるんだ。

2. 角度が浅く、その先がすぐコーナーになっている高速コーナー
たとえば鈴鹿の第1コーナー。ここは比較的コーナーのRがゆるく、角度も浅い。でもその直後に第2コーナーが待っていて速度をしっかり落とさないと曲がれない。こんなコーナーの走り方はどうだろう。
A.ストレートではブレーキングをできるだけガマンする
B.ブレーキを残したまま(軽く踏んだまま)一つ目のコーナーのクリップを通過
C.アクセルを踏めるなら踏む、踏めなければブレーキを軽く残したまま2つ目のコーナーアウト側へ向かう
D.2つ目のコーナー手前アウト側でしっかり減速し、クリップに向けてステアを切る
どちらかというと突っ込み重視の走り方だ。もちろん度胸も必要だけど、ブレーキング中にハイスピードでコーナリングするわけだから、相当のテクニックがいる。もしクルマがブレーキングドリフトをはじめようものなら、速度が高いから流れ出すと止まらない。しかもその先にもっとキツいコーナーが待っているから、ドリフトしながら速度を少しずつ落とし、かつスピンさせない、いわゆる「たたみ込む」というスーパードライビングテクニックが必要な場合がある。なぜわざわざこんな走り方をするのか。それは2つのコーナーを1つのコーナーに見ているからだ。結果的に2つ目のコーナーで減速するなら1つ目のコーナーの立ちあがり加速はいらない。だからなるべく速度を高く維持しながらつっこみ、2つ目のコーナーに照準を合わせているわけなんだよ。ちょっとむずかしいけど、複合コーナーには有効な走り方だから試すのもいいだろう。考え方はわかったよね。でもリスクが高いことも忘れずにね。

12-2.jpg

12-3.jpg3. 角度が深く、同じRがしばらく続く高速コーナー
あまり日本にないパターンだね。マレーシアセパンサーキットのS字コーナーや富士の100Rが近いかな。速度が高い上にずーっとGがかかりっぱなしだから身体には厳しいコーナーだね。もちろん、タイヤへの負担も大きく、横方向のグリップを最大限に使うコーナーだ。
A.ストレートではブレーキをできるだけガマン
B.高い速度のまま、かつ軽いブレーキを残しながらステアをインに切りこむ
C.クリッピングをポイントではなくゾーンとして捕らえ、なるべく長い間クルマをインに寄せておく
D.アウトに向かってコーナリングGを逃がすように自然にはらむ
どうだい?よくみるとこのコーナーは進入が上記「2.角度が浅く、その先がすぐコーナーになっている高速コーナー」。立ち上がりが「上記1.角度が浅い、かつその先が直線の高速コーナー」になっているでしょ。気をつけるポイントは進入でのブレーキのかけすぎ。落ちすぎた速度をまた上げるのが大変。それから、インを長くキープすること。アウトにすぐはらまずに、タイヤの横方向のグリップと戦うんだ。その間、アクセルはハーフのままか、やや開けながらという感じ。出口がしっかり見えてからアクセルをフルに踏みこみ、クルマをアウトにもっていこう。アウトに向かうのが早過ぎると「おっとっと現象」でコースアウトしてしまうか、コースアウトしなくてもアクセルを戻すことになるのは必至だ。結果、遅くなってしまうよね。いずれにしてもインキープ、速度キープがポイントだ。

ここでは高速コーナーを大きく3つにわけて走り方を紹介したわけだけど、だいだいわかってくれたかな?アタマで理解してもすぐにサーキットでトライしないように気をつけるんだよ。高速コーナーはとってもリスクが高いからね。レーシングドライバーでも少しずつ、少しずつ速度を上げていくんだ。もちろん、マシンのバランスやタイヤのグリップも大事。気合や度胸でごまかさずにシッカリとクルマを安定させるコーナリングをマスターすることを祈ってるよ。