次はシフトダウン。これは難しい。こちらは早さが必要ない分、"確実丁寧"が合言葉だ。で、忘れちゃならないのが、スポーツドライビングにおいては「ヒール&トゥ」は必須科目だってこと。ここでは、ご存知「ヒール&トゥ」の操作の基本をヘアピンコーナーの進入を想定して説明しよう。
1. 右足(つま先部分)フットブレーキで十分ブレーキングする
<100km/h→70km/h、3速、6000回転→4000回転>
2. そのままブレーキを踏みつづけながら、左足でクラッチを切る
<70km/h→50km/h、3速、4000回転→3000回転>
3. 直後にブレーキを踏んでいる右足のかかと部分(もしくは足の右半分)でアクセルを吹かす
<50km/h→40km/h、3速、3000回転→5000回転>
4. とほぼ同時にギアをシフトダウン。
<40km/h、3速→2速、4000回転>
5. 左足で踏んでいたクラッチを戻し、丁寧に繋げる
<40km/h→30km/h、2速、3000回転>
6. ブレーキングが終了したら右足をアクセルへ移行
<30km/h→加速、2速、3000回転→回転アップ>
というステップだ。ハイスピードからの急減速、例えば、5速から2速まで落としたいときは、2.から5.までのステップをシフトダウンの回数だけ繰り返すことになる。ただ、Hパターンのクルマはギアを飛ばしてのシフトダウンも可能。例えば、5速→4速→3速→2速と落とすところを、5速→3速→2速や5速→4速→2速でもかまわない。ただし、エンジン回転の差が大きくなるから、回転をしっかりあわせることが条件だ。
ヒール&トゥはシフトやペダル操作に気をとられがち。でもここで重要なのは
① ブレーキングをしっかりしていること。
シフト操作ばかりに気をとられてブレーキングがアマくなってはいけない。またクラッチやアクセルの操作につられてブレーキに強弱がついてしまってもNGだ。一定の減速Gがかかる状態でブレーキングを行わなければならない。
もうひとつ重要なことがある。
② エンジンの回転をしっかり合わせることだ。
これはサーキットでいきなりやってもうまくいかない。ボクでも6ヶ月くらいはかかったんだから。いますぐマスターしようとせず、地道に練習していれば自然にうまくなるよ。
そんなキミたちにエンジン回転を合わせるのが得意になる方法をおしえよう。
1. 2速で時速50キロに固定する
2. その時速をキープしたまま2速→3速→4速→5速とシフトアップ
3. ブレーキは使わず、アクセルとクラッチだけで回転を合わせながら5速→4速→3速→2速とシフトダウンする
これがスムーズにできるようになったら、固定時速を60キロ→70キロ→80キロ→90キロとあげていこう。
これがスムーズにできるようになったら、①と②の複合操作。こんどはブレーキを使い、すなわちヒール&トゥでシフトダウンをしてみよう。一定の減速Gでシフトダウンできるようになればもう一人前だ。これでサーキットも安心して走れるようになるぞ。他人の迷惑にならない限り、この程度の練習ならストリートでもできるから、明日からさっそく実践してみよう。

これでだいぶカッコついてきたね。次回はブレーキング。操作項目では最後の砦だ。F1の世界でさえ、速いドライバーの条件は「ウマいブレーキングにある」といわれている。なぜそんなにむずかしいことなのか...次回まで首を長くして待っててくれ!

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