第1回 筑波サーキット <その1>
山野哲也 (ジムカーナ&レーシングドライバー)
基本的なタイヤの使い方、ドライビングの方法がだいたいわかったところで、次はいよいよ実際のサーキットの攻略法を解説しながら、実践的なテクニックを伝授しよう。その第1弾は筑波サーキット。
筑波というと、毎月必ずどこかの雑誌やビデオに出てくるとってもメジャーなサーキットだよね。ボクもレースやり始めた頃はここを中心に戦っていて、いろんな思い出がいっぱい詰まった感慨深いサーキットのひとつなんだ。レースで初優勝したのもここだしね。雨のなかポールtoフィニッシュで勝ったんだよ。
場所は茨城県、常磐道の谷和原が最寄りのインターで都内からも渋滞がなければ1時間ちょっとで行けちゃうアクセスのよさ! おかげで走行会も盛んに行なわれていて、首都圏にあるサーキットのなかでは身近で人気が高いんだ。
コースレイアウトは、低速コーナーと高速の最終コーナーに、短いストレートが組み合わされる、全長約2Kmのショートコース。ローパワー車からハイパワー車まで楽しめる、初心者からエキスパートまで万人向けのサーキット。ただし、ほとんどのコーナーがふたつのRからなる複合コーナーになっていて、一見簡単そうに見えて実は奥が深いサーキットなんだ。タイヤの使い方も当然だけど重要で、コーナリングというよりは立ち上がりのトラクションでタイムを稼ぐタイプのサーキットっていえるね。
じゃあ、さっそく具体的な攻略法にいこう。まずは第1コーナー。おっといきなり難しいコーナーから始まっちゃった。というのも、ここは途中まで登り勾配になっていて、さらにその奥は平らになってる。登り勾配のところは比較的簡単に減速できるけど、平らなところだとなかなかクルマは止まらないでしょ? そういうことを想定してブレーキングしなくちゃならないんだ。だからボクは登り勾配の部分では、できるだけ減速しておくようにイメージして走ってるんだ。
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ブレーキングポイントは、シビックなどのライトウェイトクラスだったら勾配の登り始めくらいからでもOK。GT-RやRX-7クラスはスピードも速いし、車重もあるからもっと手前くらいが目安。もちろんブレーキやタイヤ、そしてコースコンディションによってポイントは変わってくるから、あくまでも目安として覚えてね。
コーナーのRはわずかだけど出口がきつくなっているので、当然CPは奥にとる。小回りの効くライトウェイトクラスは、CPを「ポイント」として捉えるのではなく、ナメる感じで「ゾーン」として考えよう。細かくいえば、アウト・イン・イン・イン・アウトって感じ。ハイパワー車の場合は、ブレーキを長めに残してCPを奥にとり、立ち上がりで直線的に走るライン。アウト・ミドル・イン・イン・ミドルって感じかな。
シフトは2速で回るのがほとんどで、クルマによっては3速の場合もあるよ。
続くS字は、その先の第1ヘアピンへ真直ぐ進入できるようにラインをとる。ブレーキングの時にもっともクルマが不安定になるのは横方向にGが残ってる場合だから、極力この状態を避けるために、その手前からラインを選ぶんだ。たとえば1ヘアにインから入る場合はS字を直線的に抜けてかまわない。アウトから入る場合は、1コーナーを立ち上がった後、いったんコースの真ん中あたりまでふくらんで、それから途中の左側の縁石に寄せる感じでゆるやかに蛇行しながら抜けるんだ。そうやってクリアすれば、1ヘアのアウト側に直線的に進入できるってわけ。S字の後半に右側に縁石があるけど、ここは目一杯踏もう。ただし雨の時は滑るから乗らない方がいい。あと注意することは、ちょうどブレーキングするところの路面がうねっているので、リヤタイヤが浮いて思わぬところでロックしちゃうんだ。だからいきなりスピンすることもあるので、充分気をつけよう。シフトは1コーナーを立ち上がったところで3速、または速いクルマだと4速に入れてそのままS字を抜ける。 (→第1回 筑波サーキット <その2>へ続く)